宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

1コーラスのアイデアを出し終わったら全パートのアレンジに入るんです

宗弥(Blu-BiLLioN)

YG:10月にリリースされた最新シングル『Refrain / 心灯-こころび-』の「Refrain」も、中央にあるのはピアノの音で、聴いた人はまずそこに耳が行くと思います。

宗弥:あの曲はベースの珀が作曲したんですが、アレンジは’90年代のポップスを意識しました。「自分たちがノスタルジックな気持ちになれるような音でやりたいね」と。例えばGLAYさんだったり、WANDSさんだったり。だからピアノがガッツリ鳴っていて、コードの使い方もちょっと懐かしいテイストにしたんです。ギター的には、僕が左チャンネルを担当しているんですが、アコースティックで1曲を通したのが挑戦と言えますね。

YG:なるほど。エレクトリックを弾く時とアコースティックを弾く時、意識はやっぱりかなり違います?

宗弥:違いますね。頭に浮かぶアーティストが変わって来ます。ベタかも知れませんが、アコースティックだとマイケル・ヘッジスやトミー・エマニュエル。トミーは本当にすごい人だと思います。実は意外と生音が小さいらしいですよね。

YG:アコースティックに極限までこだわると、どんどん音が小さくなる…という話を聞いたことがありますね。

宗弥:あ、そうかも知れませんね! ブルース・ギタリストのトモ藤田さんが「基本的にみんなピッキングの音がでか過ぎる」とおっしゃっていたのを聞いたことがあって、小さい音って大事なんだなと思いました。だから僕もレコーディングでは意識して小さめに弾いたんですが、エンジニアさんに「それじゃマイクで拾えないよ」って言われちゃって(笑)。まだまだ技術が足りないということですね。

YG:このシングルで宗弥さんが作曲したのは、3曲目の「心灯-こころび-」ですね。これはどういったプロセスで作って行ったんでしょう?

宗弥:これもピアノから作ったと思います。バラードのシングルになることが決まっていたので、歌が一番響く形にしたいと考えていたんですよ。だから最初からギターをガシャガシャ入れてしまうのは違うかな、と。コードも基本的な3和音のスタンダードなものを使って、そういうベタな形から歌のアプローチを考えました。で、僕はいつも1コーラスのアイデアを出し終わったら、一旦そこで作業を止めて、全パートのアレンジに入るんです。それである程度形が見えて来たら、そこから先はフル・アレンジをしながら続きを作って行くんですよ。

YG:なかなか珍しい作り方ですね。

宗弥:そうですね。それにアレンジしながらだから、時間がかかる。でもやっぱり自分でアレンジする方が絶対良いものになる気がするし、メンバーにヴィジョンが明確に伝えられると思うんです。

YG:ギター的には、聴こえるか聴こえないかぐらいの音量で左チャンネルに入っているオブリがポイントですね。主張が小さめながら、しっかりと聴いて欲しいパートだというのは、ひしひしと感じました。

宗弥:そうですね(笑)。僕はアニソンも好きなので、シンセをセンターに置いて曲作りすることも昔は多かったんですが、『GENESIS』以降はギターやベースといった生の楽器が持つ力を重視しているので、ギターはけっこう色々と重ねています。Bメロのアーバンな雰囲気は、我ながら好きですね。

YG:シングルにはもう1曲「Day of Fate」も収録されていますが、ファンが最もこのバンドらしいと思う曲かも知れませんね。

宗弥:

そうですね。アップ・テンポだし、テンション感は収録された3曲の中で一番高いですね。

YG:冒頭の、9thコードを用いたリフが面白いと思いました。

宗弥:あ〜、分かっていただけましたか。この辺りはソイルワークの影響ですね(笑)。元メンバーのピーター・ウィッチャーズの浮遊感を持たせた曲作りが好きで、それが僕の1つのこだわりでもあるんです。シンセを入れる時も、9thや11thがあるだけで嬉しくなるんですよ。

YG:でも9thや11thって、歌い手からするとあまり嬉しくない音でもありますよね。9thはルートと1音違い、11thは5thと1音違いなので、慣れないと歌いにくいかと思うんですが、そこで何か文句を言われたりは?

宗弥:たぶんミケは、良い意味で鈍感なんですよね。ベースがしっかり聴こえていれば、歌うのは問題ないタイプ。まあそこに甘えさせてもらって、コードは自由にやっています。本当は気持ち悪くてしょうがないはずなんですけどね。他のメンバーがカラオケで自分たちの曲を歌ったことがあるみたいなんですが、「めちゃくちゃ歌い辛い」って言ってましたから(笑)。

YG:この曲もベースの珀さんによる作曲ですね。

宗弥:そうです。原案を彼に出してもらって、それを僕がアレンジする形。最近はそういうやり方も増えましたね。昔は1人1人が勝手に作っていて、楽曲の個性がバラバラだったんですが、今は自然と全部のデータが僕に集まってくるようになりました。

YG:ギター・ソロも曲調に合わせてハイ・テンションですね。冒頭のタッピングは、ちょっとレトロなシューティング・ゲームっぽいというか(笑)。

宗弥:あれはザック・ワイルド方式のタッピングなんですよ。例えば左手人差指で12f、薬指で15fをトリルしながら、右手で15fをTAPするというヤツですね。そこから先はスキッピングとフル・ピッキングで展開して行きますね。それこそまさにソイルワークです(笑)。