宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

ただただ純粋にギターが好きなんですよ

Blu-BiLLioN 2015

YG:冒頭に少し話していただきましたが、Blu-BiLLioN加入以前の話も詳しく聞かせてください。最初に始めた楽器はドラムだったとのことですが。

宗弥:そうでしたね。地元で組んだバンドで一番最初に出たライヴは、おそらく市が主催する音楽イベントでした。市民会館を1日借り切ってやるようなイベントで、おじさんバンドに混じってギラついた若造たちがデス・メタルをやるっていう(笑)。そのイベントで使わせてもらったドラム・セットの所有者がプロの方で、その人に「自分が所属している事務所のあるバンドがドラマーを探しているから、参加してみない?」と誘われて加入したんです。そこのリーダーがギターで曲作りをしていて、僕もそれに影響され、ドラムと平行してギターを始めたんですよ。一番最初に買ったギターは、ジャクソンの“Kelly Star”。そのバンドがやっていたのはポップな音楽だったんですが、僕自身メタルへの憧れを捨て切れず、ずっと家ではメタル・ソングを作っていましたね。ただそのバンドは2年くらいで脱退することになり、その後は再び地元のバンドに合流して、念願のメロディック・デス・メタルを改めてギタリストとしてやり始めました。ネミックというデンマークのバンドの来日公演の前座をやったこともあるんですよ。長続きしませんでしたけど、僕にとってメロデスは青春であり人生です(笑)。

YG:そもそもロックやメタルを聴き始めたのは、いつ頃だったんですか?

宗弥:バンドを始めたのとほぼ同時期でしたね。中学2〜3年生ぐらい。地元の友達がギターを買ったんですけど、その彼にはメタル好きのお兄ちゃんがいて、その影響で僕もスレイヤーとかをわりと早い段階で知ることができました。とにかくその頃は尖りたい時期だったので、以前はジャニーズが好きで聴いていたのに、一気にパンテラ、エンペラー、クリプトプシーなんかに走りましたね(笑)。とにかく「速いものが良いもの」と思っていましたから。

YG:極端ですね! 憧れていたギター・ヒーローは誰かいました?

宗弥:大きな意味でのヒーローで言うと、メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドだったかも知れませんね。借りて観たビデオの中で、白のEXシェイプをストラップを長くして弾いている姿がメチャクチャかっこ良く思えて。あの人、ピックを指3本で持つんですよね。その独特なスタイルもいいと思ったし。だから一番最初にハマったバンドと言えば、メタリカかも。『ST.ANGER』(’03年)に伴う日本公演も、代々木体育館へ観に行きましたしね。それ以降は色々なギタリストが好きになって、アレキシ・ライホがギター・ヒーローの日もあれば、キコ・ルーレイロの日もあったり。

YG:Blu-BiLLioNのライヴDVD『「Sincerely 7 colours」2015.1.3 渋谷公会堂』も観せていただいたんですが、そこではSTシェイプのギターを弾いていましたね。あれはどこのメーカーのものですか?

宗弥:あれは地元にある弦奏工房というメーカーのものなんですよ。僕がメタル・バンドを辞めた頃に、その工房を紹介されたんです。そこで勧められたのがシングルコイルのSTシェイプだったんですが、当時はアホみたいにチューニングを下げていたので(笑)、最初は少し抵抗があって。ただ「ギターってそれだけの楽器じゃないよ」と教えてもらって、クランチの良さも知り、今のスタイルにつながって行きましたね。

YG:そのギターを見た時、「イングヴェイかインペリテリに影響されて持ち始めたのかな?」と思ったんですが、そうではなかったわけですね。

宗弥:もちろん好きですよ。ただその頃は、例えばスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなギタリストのことはあまり知らなくて。でもそのギターを使っているうちに、「ああ、シングルコイルって奥が深いんだな」とか「ギターってこういう音もいいんだな」ということを知りました。いわゆるギタリストが言う“良い音”というのは、こういうものだったのかと。昔はとにかくマーシャルをフル・アップで歪ませて、ミドルを削ってブースターを1個かませば大丈夫、みたいな世界でやっていたので(笑)。そういうきっかけで、スティーヴィー・レイ・ヴォーンやジミ・ヘンドリックスなどを改めてさかのぼって聴くようになりました。

YG:確かにBlu-BiLLioNのサウンドは、シングルコイルのイメージが強いですね。

宗弥:少なくとも僕はそうですね。ハムバッカーのパワーが欲しいと思う瞬間もなくはないんですけど、シングルコイルのシャープな音色は、ハムに比べて色彩が豊かな気がするんですよね。Blu-BiLLioNには色んなタイプの曲があるので、様々な雰囲気に合わせて手元でコントロールできるのはシングルコイルかなと。今はTLシェイプをメインで使っています。セミ・ホロウ構造になっているんですが、fホールを空けていないので、シングルコイルだけど音が太いんですよ。それとピックアップにはすごくこだわりがあって、すべてオーダーメイドで作ってもらっています。

YG:どんな注文をしたんですか?

宗弥:ターン数を減らしてくれとお願いしましたね。でもその代わりに、強いマグネットを使ってくださいと。クリーン・トーンで歪んでしまうのが嫌なんですよね。あと高域をちゃんと出したいというのもありました。

YG:ターン数が多いと、特に歪ませた時に低域に寄ってしまいますよね。

宗弥:そうなんですよ。ただその膨らみが欲しい時もあって、そのバランスを取るためにボディーの中をくり抜いているんです。

YG:メイン・アンプは何ですか?

宗弥:ヘッドはマーシャルの“JCM800”をメインで使っています。50Wのモデルなんですが、6550管が載っているので、プチ・ザック・ワイルドといった感じですね。

YG:改造したんですか?

宗弥:いや、最初からこの状態で売りに出されていたんですよ。あまりにも深く歪むアンプだから、何故だろうと思って中を開けて見てみたんです。そうしたらソルダーノのモディファイ品だということが分かって。それをけっこう安い値段で買えちゃったので、ラッキーでしたね。ちなみにプリアンプはゲインが3倍になっていることが判明して、馬鹿だなぁ〜と思いながらそれを使っています(笑)。音作りはそのアンプがメインで、クリーンは手元のヴォリューム操作で作り出していますね。ペダルもほとんど使ってなくて、ワウとオーヴァードライヴぐらい。ソロの時はヴォリュームがあまり上がらないので、PAさんにあらかじめ「音量を上げて下さい」とお願いする形で対応しています。

YG:ワウはどんなものを?

宗弥:ジム・ダンロップの“Cry Baby”ですが、これも若干イジっていて、ちょっとブッダのワウに音質を寄せています。ピークの周波数をやや下げるようなイメージにしていますね。

YG:なるほど。あらゆる方面に強いこだわりがあるんですね。

宗弥:やっぱり楽器が好きなんですよね。楽器店の広告を見るのも好きだし、他の人の機材を見るのも好きなんですよ。「これってどんな音がするんだろう?」とイメージするのが楽しくて、そうやっているうちに機材に関する知識が増えていきました。ただただ純粋にギターが好きなんですよ。

Blu-BiLLioN 最新リリース

Blu-BiLLioN - Refrain / 心灯 -こころび-【通常盤】
『Refrain / 心灯 -こころび-』

Blu-BiLLioN

CD | Resistar Records | RSCD-203 | 2015年10月28日発売

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