エクリブリウム:2017年初来日インタビュー

エクリブリウム:2017年初来日インタビュー

ドイツのエピック・フォーク・メタラー:エクリブリウムが遂に日本初上陸! ’05年のデビューから約12年──昨年の悪夢の来日キャンセルを経て、フォーク/ペイガン/ヴァイキング・メタラー大集結のライヴ・イべント“Pagan Metal Horde Vol.1”へと参戦を果たした。

イベントのレポートはYG5月号に掲載済みだが、ここでは、東京公演のサウンド・チェック後に行なった、レネ・ベルティアオメ&ドム・R・クレイのインタビューをお届けしよう!!

エクリブリウム ミニ・バイオ

ギタリスト兼コンポーザーのレネを中心として2001年に南ドイツで結成。2005年の『TURIS FRATYR』でデビューを果たし、これまでに5枚のアルバムをリリース。スピーディーなデス・メタルのグルーヴが映画音楽のようなシンフォニック・サウンドに包まれ、パン・フルートやアコーディオンなどのフォーク要素で彩られる音楽性がこれまでに多くのファンを惹き付けてきた。これまでに幾度かの人員交替を経た結果、残るオリジナル・メンバーはレネのみとなっているが、主軸となるスタイルは今も保たれており、作を重ねるごとにより柔軟で深みのある内容に進化している。昨年(2016年)発表された最新作『ARMAGEDDON』は、テンポを落としてより聴かせるタイプの楽曲が重視された印象だ。現在のラインナップはロブセ(vo)、レネ(g)、ドム(g)、マッキ(b)、ハティ(dr)の5人。

armageddon

『ARMAGEDDON』EQUILIBRIUM

CD | ワードレコーズ | 2016年8月12日発売

俺が主に情熱を注ぎたいのは作曲だね(レネ)

YG:初めての日本はいかがですか?
ドム:最高だよ! 日本の人達はとても素晴らしいし、食べ物も気に入った。それに、東京が凄く清潔な街だというのもイイね。あと、昨日はESPのショップにも行けたんだ。
レネ:そうそう。それに、皇居へ行ったりして、少し観光することも出来た。あちこち見て廻る時間はなかったけど、色々と感動したよ。あと、俺とドラムのハティはヴィーガンなんだけど、食事の選択肢がとても幅広くて助かっている。日本のレストランのように沢山のオプションが選べるところは、ドイツにはないからね。そして…勿論、今夜のショウも楽しみだ!

YG:来日前、過去にジャパン・ツアーを行なったバンド仲間などから、日本のオーディエンスについて何か聞いていましたか?
レネ:うん。多くのバンドから、「日本滞在を大いに楽しんだ」「オーディエンスは熱狂的だ」と聞いている。というか、日本について悪い噂なんて聞いたことがないよ。日本でライヴを行なったバンドの映像も、インターネットを通じてよく観ていた。どれも素晴らしいライヴだったね!

YG:ところで、ドムがこのバンドに加入したのは’14年のことでしたが、どんなキッカケで?
ドム:キッカケは(シンガーの)ロブセだよ。
レネ:ああ、そうだな。
ドム:俺が元々いたバンド(NOTHGARD)のアルバムで、以前ロブセがゲスト・ヴォーカルを務めてくれたことがあって、その頃から連絡を取り合うようになり、一緒にツアーする計画も立てていたんだ。ところが、(’14年4月に)突然ザンドラ(ファン・エルディク:前b)とアンディ(アンドレアス・フェルクル:前g)が脱退することになり、ロブセから「もし良ければ、このバンドに加入してくれないか」とメッセージが送られてきてね。当時レネとは、面識はあったもののそれほど親しいワケではなかった。俺はザンドラとアンディが最後に出演したショウにも顔を出していたのに、あとで電話した時に訊いてみたら、彼は俺のことをよく憶えてなかったらしい(笑)。でも、それからよく話し合って加入が決定したのさ。

YG:レネにとって、ドム加入の決定打となったのは?
レネ:勿論、才能があるかどうかは言うまでもないけど、人柄がどうか、それとフィーリングやヴァイブも重視したよ。電話で何度かやり取りをしてから、最終的に俺の家でメンバー全員と会ったんだけど、そこで話をしてみたら、良いケミストリーが期待出来そうだったから、それで加入に到ったのさ。

YG:お2人はドイツの同じ地域の出身ですか?
ドム:元々は同じ地域(南部バイエルン)に住んでいたけど、今はみんなバラバラだね。俺は今、北ドイツのハンブルクに近い町にいて、レネは南部のままだ。
レネ:ああ。ミュンヘンの近くだよ。
ドム:昔はみんな45〜70kmぐらいの範囲にいたけど、今じゃ700kmも離れてしまったよ…。

René Berthiaume
René Berthiaume

YG:では、お2人のバックグラウンドについて教えてください。それぞれ、ギターを始めたキッカケと年齢は?
レネ:俺がギターを始めたのは13〜14歳ぐらいだったと思う。年齢的にはちょっと遅かったかな…。キッカケは──よく分からないんだけど、子供の頃から歪んだギターの音が好きでね。最初はそれが何であるか分からずに聴いていたんだけど、ある時ギターだと分かって、自分も同じような音を出したくなり、エレクトリック・ギターを買ったんだ。ドイツには教会の正会員となる儀式(堅信礼)があってね。そのお祝いでもらったお金で買ったのさ。
ドム:俺は8歳の時にキーボードを始めて、しばらく続けていたんだけど、先生が嫌いで(笑)…辞めちゃったんだ。やっぱり子供には、良い先生がついて、楽しい曲を弾かせてくれて、時には励ましてくれる方がイイよ。いつも「これを弾けるようになりなさい!」なんて言われるんじゃなくてね。それで、ギターはその2年後──12歳の時に始めた。最初のギターは、叔父から買ったんだけど、彼はフォーク・バンドでプレイしていたんだ。フォーク・メタルじゃないよ(笑)。バイエルンのただの民族音楽だ。ただ、叔父が売ってくれたのはエレクトリック・ギターで、アコースティックに手を出すのはその後だったよ。普通はアコから入るのが順番みたいだけど、俺にとってはどっちも全く違う楽器だからね。

YG:レッスンは受けましたか?
レネ:先生について1年ぐらいは通ったかな。でも、殆ど独学と言ってイイよ。
ドム:俺は最初、とてもクールな先生に2〜3年ほど教わっていた。その後は独学で頑張ったけど、もう1人先生がいて、そこで和声や理論を学んだよ。その先生が引退してからは、俺がその跡を継いで、6年ほど生徒を取って教えていた。エレクトリック・ギターとベースをね。アコは上手くなくてさ…(苦笑)。

YG:ティーンエイジャーの頃のギター・ヒーローというと? 
レネ:ドリーム・シアターのジョン・ペトルーシだな。最初に「もっとメタルやロックのギタリストについて知りたい」と思うキッカケになった人だね。凄まじい速弾きに目と耳を奪われたのさ。俺達の音楽性はドリーム・シアターとは異なるけど、ギターのフィーリングとか、色々な影響を組み合わせてこの音楽を作っている。その中のひとつとして、ジョンからかなりインスパイアされているよ。
ドム:俺はイングヴェイ・マルムスティーンかな。あとは、ジョン・ペトルーシ、ポール・ギルバート、メタリカのカーク・ハメット。それから、アレキシ・ライホにランディ・ローズも。最初に買った“クールなギター”は、カークのシグネチュア・モデル。14歳の頃だったと思う。

YG:ドムは最初からリード志向だったようですね?
ドム:うん、その通りだ。どっちかというとソロを弾く方が好きだし、ネオ・クラシカルな音楽が好きだから、イングヴェイが大好きなんだよ。

YG:一方レネは、ギタリストというよりも作曲家タイプなのでは?
レネ:ああ。俺が主に情熱を注ぎたいのはそこだね。勿論、ギターを弾くのは大好きだけど、家にいる時は曲を書いているよ。

YG:フォーク・メタル・バンドとしては、ドイツや北欧の伝統音楽からの影響が強いのですか?
レネ:確かに影響はされているけど、それだけじゃない。唯一、バイエルンの音楽からの影響が反映されているのは、「Wirsthaus Gaudi」(’14年『ERDENTEMPEL』収録)という曲だけだ。それ以外の曲は、南米の音楽からも影響を受けているし、中国や日本といった極東のヴァイブを備えているようなところもある。その手の楽器を使ったりすることもあるしね。そもそも、正統派のフォークをやろうとしているんじゃない。ただ影響を取り入れているだけなのさ。

YG:各地の民族音楽には、子供の頃から親しんでいたのですか?
レネ:子供の頃は、ドイツの民族音楽そのものを演奏していたよ。フルートでバイエルンの民謡をやっていたんだ。でも、凄く気に入っていたというワケではなかったな(笑)。

Dom R. Crey
Dom R. Crey