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「このバンドでプレイするのは“楽しい挑戦”」クリス&マット・ブルックス/ライク・ア・ストーム 2019来日インタビュー

「このバンドでプレイするのは“楽しい挑戦”」クリス&マット・ブルックス/ライク・ア・ストーム 2019来日インタビュー
インタビュー●奥村裕司 Yuzi Okumura 写真●©DOWNLOAD JAPAN All Rights Reserved

去る3月に初来日して“DOWNLOAD JAPAN”に出演し、ヘヴィかつエモーショナルなサウンドと、ディジュリドゥ(オーストラリア先住民:アボリジニの民族楽器)を大胆導入した鮮烈パフォーマンスで喝采を浴びた、ニュージーランド出身の4人組:ライク・ア・ストーム。そのギター・チーム(いずれもヴォーカルを兼任):クリス(vo, g, didgeridoo)とマット(g,vo)のブルックス兄弟のインタビューをお届けしよう! 早くも今年9月に単独来日ツアーが決まっている彼等のルーツ、そしてバックグラウンドとは…!?

アルバム制作では兄弟全員がギターを担当する

YG:まずは“DOWNLOAD JAPAN”に出演し、日本での初ショウを終えた感想からお願いします。

クリス・ブルックス(以下CB):ずっと日本でプレイしたいと思っていたから、凄く嬉しかったよ!

マット・ブルックス(以下MB):ああ、夢が叶ったね!

CB:俺達の出番は朝の10時半からだったのに、沢山のオーディエンスが集まっていたのには驚いたし、ありがたかったな。俺なんて、普段ツアーに出ていると、正午ぐらいまで起きてこないのに…(苦笑)。

MB:多分、これまでで最大の観客数だったんじゃない?

CB:そうだな。まぁ、他にも素晴らしいバンドが出演するから、俺達だけが目当てってワケじゃないだろうけど、その一員に加われただけでも光栄だよ。

MB:ああ。みんな凄く熱中してくれて、本当に最高だった。また戻ってくるのが待ちきれないね!

YG:このあと、お2人が観ようと思っているバンドは?

MB:全バンド観たいな。1〜2曲ずつでもイイから。そういえば、さっきヘイルストームのアージェイ(ヘイル)にバッタリ会ってさ。世界中を旅しながら、知り合いのバンドとフェスで出くわすのって凄く楽しいよ。

CB:うん、世界は狭いな。

MB:ロックの世界は本当に狭い。ヘイルストームとは色んなフェスで一緒になったけど、あの時はアメリカで、今は日本だなんて…!

YG:お2人のバックグラウンドについて教えてください。そもそも、ギターを始めた年齢とキッカケは?

CB:俺がギターを始めたのは13歳の頃だったよ。元々両親は、俺達がまだ小さかった時にピアノのレッスンを受けさせてくれたんだけど、自分で楽器を選ぶ際、何故だか分からないけど俺はギターを選んだ。ずっと魅了されていたんだろうな。ニルヴァーナやグリーン・デイといったバンドが大好きだったから。実際、曲もイイし、ギターのリフがとてもカッコ良かった。それでギターに惹き寄せられたんじゃないかな。

MB:俺は最初、ドラムをやっていたんだ。でも14歳になった時、曲が書きたくなって、作曲にはギターが適しているんじゃないかと思ってね。それ以来ずっと、ギターに惹かれ続けているよ。曲を書く上で、とても素晴らしい役目を果たしてくれる楽器だと思っている。ドラムもずっと大好きだけど、今やギターは俺の人生の大半を占めているのさ。

ライク・ア・ストーム:マット・ブルックス

YG:兄弟で教え合ったりもしましたか?

CB:今でもそうしているよ。沢山のバンドとツアーを行ない、ステージに上がって演奏していると、凄く刺激をもらう。ツアーが終わる度に、「もっと練習しなきゃ」とも思わされるよ。俺達は今、ラスヴェガスで一緒に住んでいるから、ツアーが終わったらいつもギターを弾きまくって、お互いにインスパイアし合っているんだ。これまでもそうだったし、これからもずっとそうやっていくつもりさ。

YG:ご両親もギターを弾くのですか?

CB:実家には、クローゼットの中にクラシック・ギターが1本あって、俺はそのギターを手にし、独学で弾き方を覚えたのさ。母親はピアノを弾く。ただ、ちょっとおかしな話があってさ。俺達がニュージーランドを離れて、ツアーに出るようになると、親父がギターを習い始めたんだ。俺達と旅路を共にするかのように…ね。ギターも5〜6本揃えるようになった。ギブソンもあればフェンダーもあって、素晴らしいギターばかりだ。だから俺達は、「どうして13歳の時に買ってくれなかったんだ?」といつも言っているよ(苦笑)。

YG:先生について習ったことは?

CB:あったよ。2〜3ヵ月ぐらい習ったかな? でも、一度コツを掴んだら、もうレッスンは続けないで、あとは手当たり次第に曲を聴いて、耳で覚えていった。曲を聴いては自分で解読していったのさ。お前もそうじゃなかった?

MB:そうだな。俺が初めてギターを手にしたのは友人の家だったんだけど、結局、正式なギター・レッスンは一度も受けなかった。但し、ツアーに出ていない時は、ずっと教則ビデオを観続けているよ。今回のツアーの前には、エリック・ジョンソンのビデオを幾つか観ていたんだ。それも毎日、1日中ね。俺達はそうやって、多くのことを学んできた。あと、(ツアーで)共演するギタリスト達からもね。

YG:子供の時のギター・ヒーローというと?

CB:ジミ・ヘンドリックスだな。両親か叔父の影響だと思う。他と全く違うギター・スタイルやサウンド・メイクなどに衝撃を受けたんだ。今でも聴いているぐらいで、とてつもなく凄いギタリストだね。

MB:俺のアイドルはマーク・トレモンティ。俺達はラッキーなことに、何度も彼とツアーをしてきたんだ。アルター・ブリッジ、クリード、そして(ソロ・バンドの)トレモンティともね。彼が進化を遂げていく様子を目の当たりに出来たし、それを追いかけようと頑張ることも出来た。彼は物凄く大きな刺激を与えてくれる。あんなに素晴らしいギタリストとツアーが出来るなんて、俺達は本当に運がイイよ。

YG:シュレッド・ギタリストには興味ありませんか? 例えば…(とYG4月号の表紙を見せる)。

MB:イングヴェイ(マルムスティーン)か! 凄いギタリストだけど、俺達にはちょっと手に余るというか…(苦笑)。

CB:(シュレッドにも)興味は湧いてきているんだけど、俺はブルースに惹かれることが多いからな。沢山の音数を詰め込むことなく、一音だけで凄いソロを弾くことだって可能だ。そういうブルース・ミュージックの持つフィーリングが好きなのさ。

YG:ちなみに、イングヴェイの新作(『BLUE LIGHTNING』)はブルース・アルバムなんですよ。

CB:えっ…そいつは凄いな! 

MB:だから、俺達は呼ばれたのか!(笑) うん、聴いてみるよ。でも、俺が最近気に入ってるギタリストはジョー・ボナマッサなんだ。彼はブルースのフィールと、スピードやテクニックを併せ持った凄いギタリストだと思う。ツアーがない時は、彼がやっていることの1つや2つは出来るようになりたい…と研究しているところでね。しかし──世の中には凄いギタリスト、巧いギタリストが多過ぎるな…。

CB:マイルズ・ケネディも凄いよね。スラッシュと一緒にやっているバンドと、2週間ほど一緒にツアーしたことがあったけど、彼もやっぱり、速弾きがコナせる一方、音数少なく弾いても素晴らしいプレイが残せるギタリストだ。

YG:お2人は現在、それぞれギターとヴォーカルを兼任していますが、どちらかというとクリスはヴォーカル、マットはギターがメインという印象があります。それは、兄弟で話し合って決めたのですか? それとも、何となくそうなってきたのでしょうか? 

CB:俺達は2人とも、どっちのパートも好きだ。でも確かに、マットの方がギターを多めに弾いている。マットが歌って、俺がギターを弾くところもあるけどね。

MB:アルバム制作においては、兄弟全員がギターを担当するんだ。そう、長男のケント(b,vo)もギターを弾くからね。でもライヴでは、「この曲はクリスが歌に専念するから、俺がギターをやる」とか、そんな感じになる。勿論、俺の歌が大半を占める場合もあるから、ライヴ・ヴァージョンだと、アルバムに収録されているのとかなり違った形になることもあるんだよ。誰がどのパートを弾くのか、(アルバムと)全く変わることだってあるしね。

CB:ライヴでは、ヴォーカル・パートも分担していて、バック・ヴォーカルを(アルバムと)違うヤツが歌うこともある。メイン・ヴォーカルはアルバム通りにしているけどね。ショウだと、音楽とパフォーマンスのどっちも重要だろ? だから、俺がギターを弾く方がキマる場合もあるし、ギターを置いて走り回って、観客を煽ることに徹する方がイイ場合もあるんだ。その方が楽しいしね。ライヴでは、その時々で映えると思ったことを選んでやっていくのさ。

MB:このバンドでプレイするのは“楽しい挑戦”なんだ。俺やクリス、ケント…と全員がリフを書くから、ライヴで自分が書いていないパートを担当することも少なくない。そうすることで、新たなテクニックを学んでいくのさ。それぞれがツアー中に聴いていた音楽の影響を、自分も受けることにもなるしね。

YG:兄弟同士だと、教え合うのも楽ですよね?

CB:えーと…そうでもないよ。兄弟のおもりなんかしたくないから!(笑)

MB:ハハハハ…! でも確かに、話さなくても通じるというか、相手に説明する必要は99%ないな。弾いているうちに分かることが多いから。

CB:わざわざ時間を作って、「ここでお前はこう弾いてくれ」なんて説明しなくても、何となく察するんだよ。それも非常に良い学習方法だと思う。子供の頃、好きなバンドの曲を聴いて、「どうやって弾いてるんだろう?」と覚えていったのと同じさ。まぁ、時には説明することもあるけど、大抵はジャムっているうちに、弾くべきプレイを把握していくことが出来る。

MB:さっき99%と言ったけど──残りの1%は、速いリックをスロー・ダウンして合わせる時だな(笑)。

YG:アルバム『CATACOMBS』('18年)で、ケントがメインでギターを弾いた曲はありますか?

MB:うん、あるよ。「The Bitterness」と「Death Defying」だ。

YG:後者はボーナス・トラックですね?

MB:そうそう。このアルバムはかなり短期間で仕上げなきゃならなかったんで、クリスが歌入れで忙しい時は、俺達がギターを録ったりしていたんだ。「The Bitterness」はケントが書いた曲だから、ギター・パートも彼が作ったんだよ。それで、彼も腕が立つから、そのままギター・パートを録ってもらったのさ。とにかくみんなで、最短で作業を終えられるよう頑張った。その点では、(兄弟が揃っていて)ラッキーだったね。あとケントは、その2曲以外にもオーヴァーダブの際、テクスチャーとして上に重ねるパートも沢山やってくれたんだ。

YG:マットはドラムが叩けるし、全員歌えて、ギターも弾けて──マルチな音楽兄弟ですね!

CB:みんな、音楽が大好きだからね。ケントはドラムも上手い。というか、彼も初めての楽器はドラムだったんだ。兄弟全員、何か曲を聴いては「演奏してみたい」と思い、楽器を問わずに試してきたのさ。

MB:みんな子供の時にピアノをやっているから、キーボードやプログラミングにも興味があってね。エレクトロニクス系の音も、自分達で作っているんだよ。おかげで全員、手の空く暇もないぐらい忙しくしている(笑)。

ライク・ア・ストーム:ケント・ブルックス

ライク・ア・ストーム:ザック・ウッド