歪みエフェクターを外したところにギタリストの素顔がある
YG:弾いている時は完全に無意識なんですよね? 前に出て来たフレーズであっても構わずとにかく弾き倒すという迫力が凄まじくて…。
梶山:極端なことを言えば、延々1フレーズだけだって良いんですよ。それがグルーヴしてれば。「さっき上手く弾けなかったから、今度は上手くやるぞ」って。それが自分なりのロックですからね。
YG:トーンのこだわりも相当強かったのではと思いますが。
梶山:ギタリストの本質っていうのは、歪みエフェクターで隠された帯域にいるものだと思うんです。それを外した時にギターを弾く人間の仮面を外した素顔があると。それを聴かせられないなら何のためにギターを弾いているんだということですよ。
YG:トレブル・ブースターはその本質を押し出すために使っていると。
梶山:そうです。本質がとにかく前に出るように。今の僕がそれをできているかどうかはまだ分からないですけどね。僕が生まれて初めてマーシャルのアンプを鳴らした時、「帰れ!」って言われた気がしたんですよ、マーシャルに。
YG:マーシャルに!?
梶山:ええ、自信満々に弾いたらマーシャルに「帰っていいよ」って言われてるような音しか出せなかったんです(笑)。それ以来、ストラトをマーシャルにつないでどうやっていい音を出すかが課題になりましたからね。そこが僕にとってのロック・ギターでしたから。
YG:弾き倒しっぷりといい、むき出しの音といい、梶山さんの本能的な部分がこれだけ出た作品というのは、梶山さんにとっては初めてだったのでは?
梶山:初めてでしょうね。この機会を作ってくれたレコード会社にはひたすら感謝しつつ(笑)、僕としてもリスナーの方々にその気持ちを共有してもらえれば嬉しいですね。