ギターのエクササイズみたいなアルバムは作りたくない
YG:さて、あなたの最新ソロ音源にはもう1つ、今年(2021年)4月からデジタル配信されたゲイリー・ムーアのトリビュート曲「Forever Moore」があります。こちらはトレードマークのシュレッドとは打って変わって、エモーショナルなプレイを乗せたスロー・バラードになっていますね。
JS:本来ならこの曲はゲイリーの命日となった2月6日にリリースしたかったけど、まだ準備が出来ていなかったんで、彼の誕生月である4月に出したんだ。彼の音を彷彿させるエッジーでより厚みのある音を出したくて、ギターはストラトを使って、ペダルはマクソン“OD8 Extreme”(編註:おそらく“OD808X Overdrive Extreme”)にしたよ。これから出る俺の新しいソロ・アルバムにも収録されるよ。でも、全編こんな感じのアルバムかって? それは違う。ネオ・クラシカルなシュレッドにメタルが満載だけど、中にはこういう曲もある、ということだよ。
YG:具体的に、新作はどんな内容ですか?
JS:『DIABOLICAL FEROCITY』と言って、アルカトラスの新作よりもこっちの方が先に出るんじゃないかな(編註:アルカトラスは、ヴォーカルにドゥギー・ホワイトを迎えた新編成での新作を秋にリリース予定)。完成して久しいからね。すごくいい出来になった。全体的にも楽曲としても、とっても満足しているよ。強力なメロディーにクールなリフが満載だからね。俺にとってはそれが重要なんだ。単なるギターのエクササイズみたいなアルバムは作りたくないからね。
YG:レコーディング・メンバーは?
JS:パンデミック中に作ったんで、初めて打ち込みドラムを使ったよ。選択の余地がなかった。つまり、今回のソロは俺とエンジニアのフランシスコ・パローモ(Francisco Palomo)だけで作ったんだ。彼は才能あるキーボーディストで、シンフォニック・パワー・バンドのホーリー・ヘルでも一緒にやっている。俺がギターとベースを弾いて、フランシスコが打ち込みドラムとキーボードを担当したというわけ。なんだかおかしな気分だったな。打ち込みドラムを使っているプレイヤーは他にも大勢いるよね。イングヴェイも、『RELENTLESS』(2010年)で少し、『SPELLBOUND』(2012年)からニュー・アルバム『PARABELLUM』に至るまで、全般的に打ち込みドラムを使っている。『PARABELLUM』を聴いたけど、素晴らしいね!
それはともかく、フランシスコがちょうど『DIABOLICAL FEROCITY』のマスタリングをやっていた最中に、今回の『Neo-Classical Master Class』の話が来たんで、そっちは遅れてしまったんだよ(笑)。
YG:それは失礼いたしました…(笑)。さて、アルカトラスとソロの2作品のリリースを控えた今、ライヴの可能性も探っているかとは思いますが、現在アメリカの状況はいかがですか?
JS:アメリカはほぼ全開だ。状況は良くなって来ているよ、特に北東部はね。俺はNY出身でボストン在住だけど、マサチューセッツやNYといったエリアではワクチンを接種した人が多いんだ。だからライヴも始まっている。それから俺はアルカトラスとソロの他にもいろいろバンドをやっていて…、JOE STUMP’S TOWER OF BABELもそうだし、ディープ・パープルとレインボーのトリビュート・バンドもそれぞれやっている。ちなみに明日は、ディープ・パープル・トリビュートのライヴなんだ。俺が一番やりたかったのはライヴだね。2019年にはアルカトラスとソロであれだけツアーしたのに、2020年にはライヴがなくなってしまったから、本当に辛かった。再開されるのが楽しみだ。
YG:アルカトラスなどでも決まった日程はありますか?
JS:11月に英国でのツアーが予定されている。イングランド、アイルランド、そしてスコットランドで行なわれる予定だ。これがまた、とっても嬉しいんだけど悲しくもあって…。ちょうどその頃、イングヴェイがアメリカでツアーをやるけど、観に行けないんだよ。2019年にも同じことがあった。ウリ・ジョン・ロート、マイケル・シェンカー、イングヴェイが地元の東海岸に来たのに、全員観られなかったんだ。しかもドイツのミュンヘンでリッチー・ブラックモアズ・レインボーを観ようとチケットを用意しておいたのに、その時俺はアルカトラスでオーストリアに行くことに…。でも、文句は言えないよ! たくさんプレイ出来るのはいいことだ。
YG:まだもう少し先になるかもしれませんが、日本にもぜひ来ていただけるのをお待ちしています。来年でも、2023年でも。
JS:そうだね。すぐに終息するだろうとみんな思っていたのに、一向に終わらないな。でも少なくとも、状況は良くなって来ているからね。
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