ツアー中の“奇才”を直撃:スティーヴ・ヴァイ最新インタビュー!

ツアー中の“奇才”を直撃:スティーヴ・ヴァイ最新インタビュー!

1月10日発売のヤング・ギター2023年2月号では、1月25日にリリースされる“ギター・イリュージョニスト”スティーヴ・ヴァイのニュー・アルバム『VAI / GASH』に関する本誌独占インタビューを掲載している。スティーヴが1991年に、今は亡き友人ジョニー“ガッシュ”ソンブロット(vo)と制作した同作の内容についてはぜひそちらをお読みいただくとして、ここでは本誌未掲載となる直近のツアーにまつわるインタビュー部分を先行公開しよう。

この取材当日(2022年11月末)、スティーヴはツアーで米ワシントン州シアトルに滞在しており、なんとショウ開始の1時間前(!)に会場の楽屋にてこのインタビューを受けてくれた(Thank you, Steve!!)。「ツアーはうまく行っているよ!」とご機嫌かつ快調な様子の“奇才”が語る…!!

肝心なのは、もっと上手くなろうという気持ちなんだ

YG:『INVIOLATE』(2022年)のツアー中で、今日はシアトル公演だそうですね?

スティーヴ・ヴァイ(以下SV):そう、あと1時間ほどでライヴ本番なんだよ!(笑)

YG:そんな時に…ありがとうございます! ツアーは順調ですか?

SV:ああ、うまく行っているよ。ヨーロッパ・ツアーはCOVIDのせいでちょっと厄介だったけど、全米ツアーはスムーズに進んでいて、あと数公演で一旦終了するんだ。

YG:「Teeth Of The Hydra」を筆頭に『INVIOLATE』からの曲に対する観客の反応はいかがでしょうか?

SV:「Teeth Of The Hydra」に対するオーディエンスの反応は間違いなく素晴らしいものだよ! 今のツアーでは『INVIOLATE』からの曲をたくさんプレイしていて、オープニングは「Avalancha」で大盛り上がりだし、「Little Pretty」をプレイするのはもの凄く楽しくて、観客もとても気に入ってくれている。それから「Candlepower」や「Zeus In Chains」「Greenish Blues」もプレイしているけど、どれも本当にウケがいい。こうした新曲に対するオーディエンスの反応をじかに感じられることは、本当に素敵なことだ。まぁ、そもそも私が『INVIOLATE』を作ったのは、こうやってツアーに出てプレイするためだったんだから(笑)。

YG:そうでしたね。私はYouTubeで「Teeth Of The Hydra」のライヴ映像を観たのですが、先に公開されていた同曲のミュージック・ビデオを観た時よりもさらに衝撃を受けました。ステージ上で実際にあの前代未聞の楽器(7弦ギター/12弦ギター/ベースのトリプル・ネック楽器=ハイドラ)を使って、あのような演奏を実現してしまうなんて…。あなたは真にワン&オンリーな存在だと改めて感動しました!

SV:ありがとう。ヨーロッパ・ツアー(2022年6月〜7月)で「Teeth Of The Hydra」をプレイできなかったのは本当に申し訳なかったな…。まだ私の肩が十分に回復していなかったからなんだけど(編注:スティーヴは2021年の夏に再び肩を負傷し、再度手術を受けている)、帰国するとまた“ハイドラ”を弾くようになって、アメリカ・ツアー(2022年9月末〜12月)では披露できるようになったんだ。どんなことも同じだけど、ゆっくり始めて一歩一歩進んで行けば必ずできるようになるのさ!

YG:ライヴで“ハイドラ”を使ってプレイすることにはもう慣れましたか?

SV:ツアーでの習慣にはなったけど、果たしてあれに慣れる日が来るかどうか…(笑)。少なくとも「Teeth Of The Hydra」は弾けているけど、あれを使って他のものを弾いたことはまだないしね。何かはやれるだろうけど…。弾き続けていればどんどん上手くなっていくだろう。肝心なのは、もっと上手くなろうという気持ちなんだ。私自身にとって一番厳しい人間は、私なんだよ。私はすべてのことに対して、常にもっと上手くなろうとしている。いまだに「For The Love Of God」だってもっとうまく弾こうとしているんだから! だから、“ハイドラ”だって常にもっと上手く弾きこなそうとしているんだ。

YG:演奏前にはまだ緊張したりナーバスになったりもしますか…?

SV:いや、今となってはあれを弾くのが楽しみになっているよ。今日はサウンド・チェックで2度プレイしたけど、とっても楽しかった。

YG:“ハイドラ”を使った新たな曲のアイデアなどはありますか?

SV:あるよ、かなりワイルドなアイデアがね! 「Teeth Of The Hydra」のプレイを見ると、かなりリニア(直線的)であることが分かる。2つのことを同時にやっていないんだ。で、しばらく前に“ハイドラ”を使った曲の構想を思いついたんだけど、かなりワイルドで「Teeth Of The Hydra」とは似ても似つかないものだ。すべてを(「Teeth Of The Hydra」とは)まったく異なるやり方で使って、その大半は複数のプレイを同時に行なうものなんだ。これを完成させるには、まだしばらく時間がかかるだろうな。

YG:完成を楽しみにしています! ツアーに出てから、“ハイドラ”に何か手を加えた部分、改造した部分などはありますか?

SV:最初にあれを手に入れてからは元々付いていたアームやランプを取り外したぐらいで、特に変えたところはないな。いや、ヴォリューム・スライダーとピックアップ・セレクター、それにピックアップのオン/オフ・ボタンにちょっと手を加えたな…。ステージでプレイしている時、不意にそれらに手やピックが当たってしまうことがあったからね。

D・ウェイナーがバンドを離れるのは寂しいけど、納得している

YG:これまで20年以上に渡ってツアー・バンドのセカンド・ギタリストを務めてきたデイヴ・ウェイナーが、今回のツアーを最後にバンドから離れることがアナウンスされました。YouTubeの動画でデイヴ本人が事情を説明してはいますが、スティーヴから改めて彼がバンドを離れる理由について教えていただけますか?

SV:デイヴは本当に素晴らしい仕事をしてくれたよ。彼は20年以上このバンドにいて、私にとっては常にやりやすいパートナーだった。素晴らしいプレイヤーで、ギターを弾くことが大好きで、完璧なプロフェッショナルだった。記憶力が素晴らしくて、私が教えたことは絶対に忘れない。逆に、私のパートを彼が教えてくれることがあったくらいさ!(笑) いつも時間に正確だったし、アティテュードも素晴らしかった。私をよく笑わせてくれたよ。本当に兄弟のような存在だね。でも、ある程度の時間が経つと人は違うことをやりたくなるものだ。人生において別の道を進んでみたくなるのさ。私にはそれが完璧に理解できる。彼がバンドを離れるのはもちろん寂しいことだけど、私は納得しているよ。

YG:デイヴの後任であるダンテ・フリジエッロ(Dante Frisiello)について教えてください。

SV:ダンテはデイヴのギター・テックとして働いていて、デイヴから(スティーヴの)曲を教わっていたんだ。ダンテもギターはとても上手いよ。それに凄く面白いヤツなんで、すっかり馴染んでいるよ。

YG:2023年には来日ツアーが実現し、日本で“ハイドラ”とあなたのプレイを観られることを期待しています!

SV:ああ、日本にも行けるように調整中だよ。おそらく、秋頃になるんじゃないかな。このツアーはかなり大規模なものでね。すでにヨーロッパとアメリカを廻り──予定は変わるかもしれないけど──今の時点では3月から5月にかけてまたヨーロッパを廻り、6月と7月にまたアメリカ、8月にはメキシコと南米を廻ることになっている。そして9月から12月にかけてはその他の地域──オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、日本を含むアジア、南アフリカ、インドにも行くことになるだろう。

スティーヴ・ヴァイ
Pic: Larry DiMarzio

1月10日発売のヤング・ギター2023年2月号には、スティーヴ・ヴァイのニュー・アルバム『VAI / GASH』に関する本誌独占インタビューを掲載!!

INFO

VAI/GASH - VAI/GASH

VAI/GASH /STEVE VAI

CD|ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル
2023年1月25日 日本先行発売(海外では1月27日にデジタル/CD発売
アナログ盤は2月24日発売予定)

収録曲
1. In The Wind
2. Busted
3. Let’s Jam
4. Woman fever
5. She Saved My Life Tonight
6. Danger Zone
7. New Generation
8. Flowers Of Fire

公式インフォメーション
今は亡きシンガーと30年前に録音していたバイカーのためのストレートなロックンロール・アルバム『ヴァイ/ガッシュ』を来年1月に発売! | スティーヴ・ヴァイ | ソニーミュージックオフィシャルサイト