アルテミスのアンディ・マートンジェリが超絶メタルな最新ギター・インスト作『ULTRADEAD』を語る!

アルテミスのアンディ・マートンジェリが超絶メタルな最新ギター・インスト作『ULTRADEAD』を語る!

ソロになると突然何かが起きて、別のパラレル・ワールドに引きずり込まれる

アンディ・マートンジェリ

YG:5曲目「Battle On The Ices」は約1分の短い曲ですが、アルバムの中で箸休め的な役割を果たしているのでしょうか? “Battle”という名前の通り、エネルギーの高いメタル・インストに仕上がっており、ギターも1本のみながら弾きまくってますね?

AM:短い曲で、敵対する相手がとても強く、そこに奇襲をかけるような素早い戦いをイメージしている。地面を揺らしながら、言葉を失い息も絶え絶えになりながらすぐに終わる。とても激しく荒々しい。だからギターは1本しか入ってない。強力な楽曲で転換の局面にあり、そして突然、すべてが消えてしまう…といった流れだよ。

YG:6曲目「Save Us」。メイン・メロディーではシタールのような音が鳴っていたり、楽器パートもたくさん重なったりと壮大な雰囲気を感じますが、どんなテーマがあるのでしょうか?

AM:この曲は、混乱と絶望の狭間にいる様子を作り出している。未知の世界に迷い込んで助けを求めているところが、イントロの星が煌いているような雰囲気に表れている。壮大なハモりによるコーラス・セクションは、何らかの希望を見出すというシーンだね。全体的に、SF映画のサントラにありそうな雰囲気を作り出してみた。各楽器が重要な役割を果たしているんだよ。

YG:1:00から、ギター3本のハモリによるロング・トーンのメロディーになりますが、あなたのプレイにはこういったハモりを使うことが多い印象です。そうすることでよりサウンドが多彩になりますよね。 

AM:もちろん! 特にここでは、3本のギターが一緒になって、ブライアン・メイのメロディーにステロイドを加えたようなバランスで曲の雰囲気にひねりを与え、より多くの色と感覚を生み出している。元アルテミスのシンガー:アレッシオ・ガラヴェッロはプロデューサー/サウンド・エンジニアでもあり、イギリス、ウェンブリーにある“Rogue Studios”において、この曲のミキシングで素晴らしい仕事をしてくれた。アレッシオは親友の1人で、俺たちは常に100%の力を出し切って、最高のものを提供しようとお互いをプッシュし合っているんだ。デイヴィッド・エレフソンのベース・ラインはまさに魔法のようで、パオロの壮大なドラムとともに真の原動力となっている。

YG:7曲目「Facemelt」。MVを観るとメイン・リフはベンディングで音程を変えていますが、低音弦のロー・ポジションでのベンドはかなりの力技になりますよね。アーミングを使った方が楽だと思いましたが、スティーヴ・ヴァイも同じ弾き方を「Gravity Storm」などでしていましたよね。

AM: アルバム中、かなりのお気に入りに入る曲だ。曲の90%はオクターヴァーを使っているよ。スティーヴはめちゃくちゃ尊敬しているけど、それ以上のものを考えた。初期ブラック・サバスやアリス・イン・チェインズといった印象で、ゴジラが街を闊歩する姿を想像したんだ。家屋や高層ビルを蹴散らしながら突き進んでいく様子をね! 低音弦での音程コントロールは大変だったよ! しくじったら間抜けな音に聴こえてしまうから(笑)。

YG:テンポも遅く、重厚な曲調ですが、逆にソロは“顔が溶けるような”という曲名の通り、フル・ピッキングの6連符やレガート、タッピングといったテクニック満載のシュレッド・プレイですね。こういった様々な奏法を盛り込むことで、リスナーの耳を惹き続けるものになっていると思いますが、いかがでしょうか?

AM:そうだね、ソロはかなりひねりを加えていて、いくつかのテクニックを組み合わせているけれど、とてもメロディアスで完璧なので重さを感じさせない。曲中の曲なんだ。アルテミスでもこのアプローチはよく使う。ソロになると突然何かが起きて別のパラレル・ワールドに引きずり込まれ、また元の世界に戻ってくる…というようなアプローチをしているよ!

YG:1:20からの高速タッピング・フレーズは、あなたがシンセ(キーボード)でユニゾンしていますよね。これはギターのフレーズが最初にできたのでしょうか?

AM:まずギターで録音して、それからキーボードでユニゾンにしたんだ。あのクレイジーなタッピングやフォローの部分は、見た目よりも簡単というか、俺にとっては自然なことだ。指板の上をたくさん動いているように見えるけど、実は1箇所にとどまって、その部分で小さなアルペジオの組み合わせや転調、半音階的なラン/フレーズをすべて見つけるようにしているので、聴き手には移動が激しいように見えるけど、そうではない。これは、ビリー・コブハムの『SPECTRUM』(1973年)やチック・コリア・エレクトリック・バンドのアルバム、ハービー・ハンコックの『HEADHUNTERS』(1973年)などを長年聴いて培ってきたフレーズだよ。

YG:8曲目「Vertigo」はバッハを彷彿させるイントロのギター・フレーズなど、よりクラシカルな要素が出た楽曲で、中盤のソロはフル・ピッキングによる高音域のフレーズも驚異的です。クラシカルな要素をメタルに取り入れる手法は様々ですが、あなたはどんな風にこの2つを融合させたいと考えていますか? 

AM:これは間違いなくモダン・ネオクラシカル・メタルで、ストレートで妥協のない、ロックな曲に仕上がったね! リズム・セクション全体が戦車のようにソリッドに進み、ギターが語りかける! ライヴで大音量で演奏するために作られた曲だ。音はあまり重ねていない。中間部にはミドル・テンポのヘッドバンギング・パートがあり、ウォール・オブ・サウンドとシュレッド・プレイが楽しめる。シュレッド・ギターはメロディーを保ちつつ曲の最後まで続いていくんだ。もし君が俺のようなザ・ビートルズやジョージ・ハリスンのファンなら、2:45〜で「While My Guitar Gently Weeps」へのちょっとしたトリビュートも見つけることができるだろう。

YG:9曲目「Hands Of Fury」はイントロのリフがダイナミックでインパクトがありますね。こういったリフはどういう時に思いつくのでしょうか? 

AM:「Hands Of Fury」は、俺の’70年代プログレッシヴ・ロックへの愛と敬意をメタルなやり方で表した曲だ。エフェクトを全開にしたギター・シンセをできるだけ入れたので、まるでパーティー状態さ。制限もなく、奇妙なサウンドと真のシュレッド・ギターをクレイジーにブレンドさせたんだ。エネルギーを解放せんとばかりに激しくピッキングしたよ!

YG:最終曲「Embers」は短編ですが、アルバムの締めくくりのようなイメージで作られたのでしょうか? 

AM:ああ。タイトルにもあるように“くすぶる炎”というわけだ。ヘヴィなリフや衝撃的なドラム、燃えるようなソロの後に残されるのは? そう、残り火だよ! でも炎はまだ生きていて、いつでも粉砕する準備ができているのさ! 

YG:本作のレコーディングで使った機材を教えて下さい。

AM:ギターはアイバニーズで、メインは”Prestige AOD LACS”…“AOD”は”Army of Darkness”の意味で、さっきも話した俺のカスタム・モデルだ。ピックアップはEMG“57”“66”を搭載している。それと”Prestige RGR5221で、ピックアップはEMG“81”“85”だ。ほかは”Prestige AZ2407F”にEMG”Retro-active”を搭載したモデル、”Prestige RG5320C”にEMG“81”“85”を搭載したものがあった。アコースティックはアイバニーズ“AE305-NT”。弦はすべてダダリオで、主に“NYXL”か“XS”のモデル。ゲージは[.010-.052][.011-.049]だ。そして、俺の偉大なギター・エンジニアのファビオ・ゴッビとミケーレ・ミージがセットアップしてくれたんだ。

YG:どんな風に使い分けましたか? 

AM:様々なトーンを組み合わせて好みの音色を得られるように、だいたい全部使っているよ。みんな素晴らしいギターだからね! なお、「My Last Tears」では“Prestige AZ”を使っている。

アンプはヘッドがEVH”5150III”の100Wと50Wの“EL34”搭載モデル、キャビネットはEVH製の4x12、トゥー・ノーツ “Torpedo Captor X”とRedsound “FR/FR”キャビネット。アンプ・シミュレーションと俺のカスタム・パッチ・サウンドを使い、ミラノにあるLine 6のチームと俺で作った、EVH製キャビネットのインパルス・レスポンスも使っているよ。

エフェクトはLine 6“Helix Rack”で、リズム・ギターやクレイジーなアレンジ、サウンド・エフェクトのトラッキングにも使っている。他にもズーム“V3 Vocal Processor”を使ってクレイジーでユニークなサウンドを作り、イタリアのエフェクター・ブランド:Dophix製のペダルをいくつか使ったよ。これは主に“Nettuno Fuzz”“Uomo Vitruviano Chorus-Phaser”“Lussuria Overdrive”だ。

YG:その他に使ったものはありますか?

シンセ&ストリングスのサウンドはIKマルチメディア“Syntronik 2”“SampleTank 4”“SampleTron 2”“Miroslav Philarmonik 2”などの音源をたくさん使い、自分のギターのメロディーと組み合わせた。そして、ズーム“UAC-8”と IKマルチメディア“AXE I/O”という2つのオーディオ・インターフェイスを通して、DAWソフトのスタインバーグ“Cubase”でレコーディングした。また、ダダリオ/プラネット・ウェイヴスのケーブル、ピックは俺のシグネチュアであるInTune Guitar Picksの1.0mm厚のもの…などなどを使ったよ。

YG:ありがとうございました。最後に、読者にメッセージをお願いします。

AM:YGの読者の皆さん、長年の絶え間ないサポートをありがとう! 『ULTRADEAD』を大音量で聴いて楽しんで、俺と一緒にこのクレイジーなギターの冒険をしよう! 新曲を世界にシェアしてくれ!

INFO

ANDY MARTONGELLI - ULTRADEAD

ULTRADEAD / ANDY MARTONGELLI

CD、配信 | 2023年発表

アルバム詳細

アーティスト公式インフォメーション:
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