夢のWacken:METAL BATTLE優勝を振り返る! ファントム・エクスカリバーMatsuインタビュー

夢のWacken:METAL BATTLE優勝を振り返る! ファントム・エクスカリバーMatsuインタビュー

ウェブ限定の特別連載企画 <栄光の“Wacken Open Air”への道>が好評だった国産4人組メタラー:ファントム・エクスカリバー! その連載でもお伝えしてきた通り──今年8月、ワールドワイドなバンド・コンテスト“W:O:A Metal Battle”(以下MB)の日本代表として独“Wacken Open Air”(以下WOA)フェスに乗り込んだ彼等は、世界約30ヵ国の新鋭・精鋭バンドが激突する現地決勝ラウンドにて、見事優勝をかっさらった!! 豪雨でぬかるみまくった泥の…いや、メタルの聖地でオーディエンスを熱狂の坩堝に叩き込んだその雄姿は、今もYouTubeなどでも確認することが出来る。

そこで本誌は、帰国後すぐに凱旋ライヴを行ない、日本のファンと共に喜びを噛み締め、それと並行してレコーディングに、PV制作に…と多忙な日々を送っているギタリスト:Matsuを掴まえ、WOAやMBについて大いに語ってもらった…!!

メタル・バトル出演アーティスト

ステージは思ったよりデカくて、威圧感がありました

マツ
Matsu

YG:まずは…改めまして、MB優勝おめでとうございます!!

Matsu:ありがとうございます!! でも、もう1ヵ月半も前なんですね〜。帰国してからあっという間でした。

YG:よく、その場では実感が湧かない…なんて言いますが、優勝の瞬間はいかがでしたか?

Matsu:いや、実感は湧いていて、実はいたって冷静でしたよ! そんなこと言いつつ、現地ではその後、スタッフや関係者に「俺らのライヴどうでした?」と、何度も何度も訊き返してましたが(笑)。

YG:結果発表の際、「第2位で名前が呼ばれなかったら、“絶対にイケる!!”と思った」と、連載コラムで書かれてましたが、もう優勝を確信した…と?

Matsu:2位でなければ優勝だと思ってました! というか、優勝出来なければランク外だと思ってたので、第5位じゃなくてホッとして、第2位まで発表されても、まだ名前を呼ばれてなかったので、「これは…!」と。

YG:WOAの前には、オランダのユトレヒトでもライヴをやる機会があって、それが初海外ステージとなったそうですね?

オランダ公演フライヤー

Matsu:過去に日本で対バンしたことがあるミュージシャンがオランダにいまして、僕達がMB日本代表としてWOA出場を決めたことをSNSでアナウンスしたところ、チェックしてくれてたみたいで。ちょうどその方が、現地でイべンターみたいなことをやっていて、向こうから声を掛けてくださって、それで実現したんです。

YG:そのオランダのバンドとは?

Matsu:SHINIGAMIです! 去年、その人は別のバンドでWOAのHEADBANGERSステージにも立ったそうです。ラウドネスの前の出番だとか言ってたかな…? ルトガーという人だったと思う。

YG:えっ…もしかして、ペスティレンスのルトガー・ファン・ノールデンブルク?

Matsu:あっ…そうですね! 

YG:確かにペスティレンスは去年、WOAに出ていたし(※実際にはラウドネスとは出演日が違っていて、W:E:Tステージでプレイ)、彼はSHINIGAMIのメンバーでもあるので。

Matsu:SHINIGAMIで来日したのは、確か’17年の1月だったと思います。彼は向こうでも色々とサポートしてくれて、本当に感謝しかないです。

YG:ユトレヒトのライヴはどうでした?

Matsu:会場も含め最高でしたね!! ユトレヒトは街並みがとても綺麗で、東京でいうと立川みたいな感じの立地でした。会場はdB’sというところで、対バンはオランダのHALLOWED FIREとベルギーのSWEET SUFFERING。お客さんは100人ぐらい来てた気がしますよ!

YG:ファントムは3バンド中のトリで、演奏時間も長めだったそうで?

Matsu:60分です! 死ぬほど盛り上がりました(笑)。ここでライヴ出来たのがとてもとても大きかったですね! (WOA前に)外国でのライヴに少し慣れておく…というか。特に緊張はしませんでしたが、やはり日本のライヴとは全く違いました。そもそも言葉が通じないので、日本だとその点で安心感がありますが、海外ではそうもいかないし、文化の違いは感じたので、さらにステージを作り込まないといけないな…と思ってました。

ただ、何やカンやいっても、言語が分からなくても通じるモノはある…というか、そこは日本と同じように、非常に熱いライヴをすることが出来ました! 日本よりオープンな人が多いので、ライヴではすぐに打ち解けることが出来たんだと思います!

YG:オランダでそれだけ盛り上がったのなら、「WOAも余裕だな」と思ったりも?

Matsu:いや…WOAでは、そもそも人が集まるか…っていう話からですから。そこは全然、引き続き気を引き締めていきました。

YG:オランダからの移動は電車を使ったそうですが、ドイツに着いたら、ハンブルクは大雨で…。

Matsu:オランダでも多少は雨が降りましたが、快適な天気だったんです。でも、ハンブルクからは地獄でした(苦笑)。もはやWOAでは野外ステージじゃなくて、これならテント・ステージにしてくれるんじゃない?…と、淡い幻想を抱くぐらい不安でしたね(笑)。

YG:雨のWOAが泥地獄だというのは…?

Matsu:事前に教えてもらってたので、対策は万全だったと思います!

YG:WOAの会場に到着した時はどうでしたか?

Matsu:感激しました。こんなにもメタラーが多く集まっているなんて、もはや別世界でしたね。「ここではメタルがメインストリームなんだ!」と強く感じました!

YG:本番の前日は、会場内外を廻ってフライヤーとかステッカーを配っていましたが、既にファントムのことを知ってくれてる観客が何人もいて。

Matsu:日本が好きで、チェックしてくださった方は何人もいました! でも、まさかこんなにチェックしてくださっているとは思いませんでしたね。

YG:その中の何人かは、単にMBの日本代表をチェックしていたのではなく、既にファントムの “ファン”だったという…!

Matsu:嬉しかったですね! メタラーのサーチ能力は凄いな…と思いました。但し、彼等が何を言ってるのか、言葉の壁があって全然分からなかったんですけど(苦笑)。

YG:他の国のMB代表は観ましたか?

Matsu:はい! どこの国かは分かりかねていましたが、出演ステージのチェックも兼ねて、何バンドかは…!

YG:「勝てる!」と思いましたか?

Matsu:思いました! ビラ配りを頑張っていたので、あまり多くのバンドは観れなかったんですが(笑)。

YG:演奏前にHEADBANGERSステージを見て、大きさとか、雰囲気とか、どう思いました?

Matsu:思ったよりデカくて、威圧感がありました。あと──これは違うかもしれませんが、周りが泥沼過ぎて「これはヤバい!」と思いました(苦笑)。

YG:朝イチの出番(午前11時25分から)という点については?

Matsu:そこは勿論、天気のこともありますし、事前に色々と覚悟していました。少しでもお客さんが来てくれたらイイな…というスタンスで臨みましたよ。でも、そのためにビラを配りまくったワケで。「少しでも増やしたい」という気持ちでね。

ヴァッケン会場内スナップ
メイン・ステージをバックに──左から、Tomo-P(b)、Kacchang(vo)、Yusaku(dr)。あれ…Matsuがいない!!(苦笑)

20分でいかにインパクトを残すか──非常に考えて臨みました

YG:当日の朝はどんな感じで迎えましたか?

Matsu:緊張はしましたが、本当にあっという間過ぎて…バタバタしまくりました(笑)。よりによって、超大雨が降ってきて楽屋にも行けず…で。

YG:本番直前は無心? それとも…?

Matsu:とにかく「ギターの弦を切らないように」と、「エフェクターを踏み間違えないように」とだけ(笑)。これまで築いてきたキャリアや、練習や経験をすべて「ぶつけてやる」という気持ちで臨みました! すべてはこの日のために…と。

YG:演奏時間20分に、オーディエンスの反応を楽しむ余裕はありましたか?

Matsu:いや、本当にあっという間で…“LOUD PARK”と同様にあまり記憶はないです。ただ、機材トラブルも若干あったので、より集中して臨むことが出来たと思っています!

kacchan
Kacchang

マツ

トモピー
Tomo-P
Yusaku
Yusaku

YG:お客さんは最初こそ少なかったものの、最終的にはかなり集まってきて、朝イチで、雨も降っていたことを考えると上々だったのでは?

Matsu:確かに、最初は少なかったけど、朝イチ、大雨、泥沼…と考えたら、非常に奇跡に近い集客だったと思います! いや、周りからそうよく言われました(笑)。

YG:途中、サークル・ピットも起きたし、開演時に観客から「ヘイ! ヘイ! ヘイ!」と声が上がっていたのにも驚いたし、とにかく盛り上がりが凄かったです。「やっさっさ」の大合唱は、演奏しながらも聞こえましたか?

Matsu:いえ、「歌ってくれてた」とは思ってましたが、そこまで大合唱とは思わなかったです(笑)。最後の方は駆け抜けまくったので、お客さんの方を全然見ていなかったし。あとからそう聞かされて、「そんなに歌ってくれてたのか!」と。

YG:本番前に雨が降り出した時は、テンション下がりましたか? それとも、逆に燃えました?

Matsu:無論、燃えましたね!! 僕達らしいな…と(笑)。そして、絶対に止んで快晴になると思ってました!

YG:実際、終演時にはもう雨は上がって、晴れ間も見えてましたね?

Matsu:快晴でした! 虹がかかってましたよ!! 何なら、そこから帰国まで雨は降らなかったですね(笑)。天気が良い意味で味方してくれて、ライヴのストーリーを演出してくれてたのかもしれません!!

YG:土曜の朝にゲリラ豪雨…ありませんでした?

Matsu:あ〜ありましたね…そうそう!(苦笑)

マツ

YG:演奏中、2度ほどステージ前まで出て行って、PAの上でプレイしたのは、事前にそうしようと思っていたのですか?

Matsu:気持ちが昂まり、自然と前に行ってました!!

YG:演目は、MBの日本代表選考会(“Metal Battle Japan”決勝)の時と同じ?

Matsu:同じでしたね! セトリはとにかく練りました。20分でいかにインパクトを残すか──ましてや海外で…という部分では、非常に考えて臨みました。逆に、「これさえやっとけば優勝出来る!」というところまで練って臨みましたね!!

ファントムエクスカリバー 演奏中

今回の経験は、自分の人生を変えるぐらいでした

YG:機材は、何を持っていきましたか?

Matsu:ギターとエフェクターとケーブルだけです!

マツ使用ギター

YG:そういえば、ギターは入るケースがなくて、ボディーを削って改造したそうで…?

Matsu:そうです。どのケースにも入らなくて、10cm切りました(苦笑)。

YG:それで音が変わったり、演奏する際の感覚が変わったり…ということは?

Matsu:音は全く心配なかったです。前のデザインも良かったのですが、少しダイエットした気分でした(笑)。

YG:具体的にはどこを削ったのでしょう? Vシェイプの尖った部分とか…?

Matsu:側面と尖ってる部分です! でも、それが自然とフィットして、とても弾き易いのには変わりなかったです!!

YG:アンプは何を使いましたか? 事前にリクエストしていましたか?

Matsu:アンプはマーシャル“JVM”をリクエストして、ちゃんと用意してくれてました。というか、それしかなかった…(笑)。とりあえず、飽くまでも足元重視で作っていきましたね!

YG:普段はEVHを使っていますが、マーシャルをリクエストした理由は?

Matsu:一番オーソドックスだからです。言ってみれば、足元でメインの音を作ったので、音さえ鳴ってくれれば、それで良かったので。

YG:EVHは機材リストに入っていなかった?

Matsu:なかったです! ワンチャン、「ケンパーはあるかな?」とは思ったのですが…。

YG:持参したエフェクターを教えてください。

Matsu:IK Multimedia“ToneX”とMXR“M169 Carbon Copy”、BOSSのクロマティック・チューナー”TU-2”を持参しました!

マツ ペダルボード

YG:演奏後は、現地のスタッフや関係者からも頻繁に写真撮影をせがまれてましたね? そういうところからも、手応えを感じた…ということは?

Matsu:いえ、あれが普通だと思ってたので…。でも、異常だったみたいですね(笑)。ライヴを撮影したカメラマンの数もとても多かったみたいです。帰国後も結構写真が送られてきます(笑)。

ファントムエクスカリバー 記念写真

ファントムエクスカリバー取材

YG:そして、翌日──金曜日に結果発表。どんな気持ちでプレス・テントへ向かいましたか?

Matsu:ワクワク感と、死ぬほど緊張しました…!(笑)

YG:優勝バンドとしてコールされた時は?

Matsu:嬉しかったですね!! あの気持ちを忘れることはないです!

YG:発表の直後、ヴォーカルのKacchangが失神したとか…?

Matsu:しやがりましたね! 死んだと思いました…(笑)。エキサイトし過ぎて、頭に血が上ってしまったんでしょうね。でも、あそこで“伝説”になられても困りますから!

公式発表

優勝バンド発表
MB優勝バンド発表──歓喜の瞬間! このあと、Kacchangが失神してしまう…!!

YG:今回の優勝を今後にどうつなげ、活かしていこうと思っていますか?

Matsu:優勝は必須条件で臨んでいきましたので、あとは予定通りやるべきことをやるだけだと思っています! ただ…今回の経験は、自分の人生を変えるぐらいでした。なので、海外という観点でも、今後はもっと積極的に発信していきたいと思いましたね。それから…「英語を学ぼう」と思いました!

このあと、続々と作品がリリースされますよ! そして、来年に向けてツアーも! まずは国内メタルを制覇したいですね。

YG:ところで、WOA現地では色々とライヴを観ましたか? どんなバンドが印象に残っていますか?

Matsu:沢山のバンドを観ることが出来たのですが、やっぱりハロウィンの「We are HELLOWEEN from Hamburg!!」がヤバかったですね!! ザ・地元で「Eagle Fly Free」…ですよ! あれはもう国歌レべルでしたね。もはや文化遺産です!

ハロウィン
HELLOWEEN

あとは、クリエイターも日本公演以上に全く盛り上がりが違いました。海外のオーディエンスが発する声は威圧感が違いますわ…。ライヴが始まる前の“KREATORコール”がハンパなかったです。当の本人達(バンド・メンバー)は、イヤモニで全然聞こえてないんでしょうけど(笑)。

クリエイター
KREATOR

YG:WOA全体としては? “メタルの聖地”は思い描いていた通りでしたか?

Matsu:思い描いていた以上でした。会場に流れているのは、ポップスでも、パンクでも、クラブ・ミュージックでもなく、とにかくすべてヘヴィ・メタル! 朝から晩までメタル! ゴミ収集車までメタル!! 毎年チケットが即完する理由が分かりました。

YG:今年はあの天候で、入場出来なかった人もいたというのに、来年も既にチケットが完売で…。

Matsu:ソールドアウトまで一瞬でしたね(笑)。ただ、今回は雨で良かったです。“特別なWOA”ってことで、運が良かった! それでこそ、優勝もさらに価値あるモノになったと思うし! 僕達も強くなったと思います。“地獄のWOA”と言われてましたが、地獄も悪くなかったですね!!

YG:さて、来年はコンテストのエントリー・バンド” ではなく“出演者”として再びステージに立つことになりそうですね?!

Matsu:来年、また出られるとしたら、次は恐らく朝イチではないと思うんですね(笑)。なので、もっとプロモーションして満員にしたいです。持ち時間も長いとイイですね。是非とも、「やっさっさ」大旋風を巻き起こしたいです!!(笑)

YG:今後も国内外問わず活躍を期待しています!

Matsu:ありがとうございます!! 今回の超貴重な経験を忘れず、そして驕らずに、もっともっと突き進んでいきます!!

YG:では最後に、今後のライヴ予定を教えてください。

Matsu:今年一年間の集大成として、11月11日、12日と“聖剣の日 Special 2 Days”を行ないます!! それから、クラウドファンディングでもお約束しました、世界に発信するMVの制作にも入りました! これも11月中には公開される見込みですので──お楽しみに!!!!!

PHANTOM EXCALIVER 聖剣の日 2023 Special 2 Days ライヴ概要

日程:2023年11月11日(土)
会場:渋谷サイクロン
開場 18:00 / 開演 18:30
チケット料金(ドリンク代別途):
前売 3,000円 / 当日 3,500円

日程:2023年11月12日(日)
会場:吉祥寺CLUB SEATA
出演アーティスト:PHANTOM EXCALIVER、THE冠、THOUSAND EYES、SEX MACHINEGUNS
開場 16:30 / 開演 17:00
チケット料金(ドリンク代別途):
前売 4,000円 / 当日 4,500円

公式インフォメーション:
Phantom Excaliver official website