俺は曲作りに専念したいけど…(フレドリック)
YG:ちなみにペルは、今後もメシュガーのツアーを手伝うことがあるんですよね? いずれスケジュールがかち合うことは心配ではありませんか?
PN:今のところ、非常にウマくいっているよ。たまたま1回だけ──“Sweden Rock”フェスティヴァルの出演日に、メシュガーのツアーが入ったこともあったけどね。それで、ノクターナル・ライツは俺の代わりを探すことになったんだ。
YG:その時は誰が代役を?
FM:ウメオの出身で、ルドヴィグ・ユアンソンというヤツに頼んだ。DEFIATORYというスラッシュ・メタル・バンドでプレイしているんだ。
YG:ペルと同じぐらい弾ける人なんですか?
FM:彼はニルスそっくりに弾ける。まるでコピーだよ(笑)。才能あるギタリストだけど、普段の彼自身のプレイがどうなのかは知らない…。ニルスと同じように弾けることだけは分かっていたんだけどさ。
YG:ペルは、スカー・シンメトリーの方はどうですか? メシュガーは正式メンバーではないとはいえ、3バンド掛け持ちはなかなか難しいのでは…?
PN:(スカー・シンメトリーは)今、新作を作っているところだよ。でも、ツアーからはしばらく遠ざかっている。これはメシュガーが原因なんだ。メシュガーはとてもビッグなバンドで、ツアーが入ったら必ず参加しなきゃいけない。何故なら、俺自身が(フレドリク・トーデンタルの)代役なんだからね。そのまた代役を探すワケにはいかないよ(笑)。一方、スカー・シンメトリーは俺のバンドだ。俺が曲を書いている“ベイビー”さ。だから、これまた代役を立てるのは不可能だ。俺がプレイしなければ、バンドのライヴとして成り立たない。
その点、ノクターナル・ライツでの俺は、飽くまでバンドの一員だ。しかも新入り。もし代役が必要なら、それはそれで特に問題ない。何人かのファンは、「あれっ…?」と思うかもしれないけどね。だから──現状では、俺はメシュガーのショウを優先して、ノクターナル・ライツをキャンセルしても大丈夫なんだ。でも、スカー・シンメトリーのライヴはキャンセルしたくない。よって、メシュガーでの多忙が続く限り、スカー・シンメトリーの活動はスタジオのみに留めておくつもりだよ。まぁ、時々ならショウを行なうことも可能かもしれないけど…。
YG:では、今回それぞれが日本へ持ってきたギターを教えてください。
FM:俺は前回と同じだよ。キャパリソン“Regulus”が2本だ。
PN:俺は自分のストランドバーグ“Boden Singularity”が2本。シグネチュア・モデルなんだ。
YG:それぞれ2本の使い分けはどのようにしていますか?
FM:1本は予備だ。
YG:何も問題がなければ1本でプレイする?
FM:その通り。
YG:ペルはメシュガーでも、スカー・シンメトリーでも、いつも同じギターでプレイしていますか?
FM:スカー・シンメトリーとノクターナル・ライツは同じ7弦だけど、メシュガーでは8弦を弾いている。近いうちに、ストランドバーグで8弦のシグネチュア・モデルを作ってもらう予定なんだ。
YG:では、現在ノクターナル・ライツは、7弦と6弦の組み合わせでやっているのですね?
PN:そう。俺は7弦のみを使っている。
FM:ただ、俺のギターは6弦だけど、7弦ギターの低い方からのチューニングと同じ。通常の7弦ギターの、1弦がない状態にしてあるんだ。あまりソロを弾かないからね。
YG:7弦を手に入れたという話も聞きましたが?
FM:うん、持ってはいるよ。だけど家にあるんだ。今回は持ってこなかった。
YG:地元のライヴでは7弦を弾くことも?
FM:うん、時々ね。
PN:実は、次のアルバムでフレドリックもソロを弾くよう、説得しているところでね。
FM:ライヴでも少しは弾いているからな。但し、断然ペルの方が巧いし、ニルスもとてつもなかった…。俺は曲作りに専念したいよ(笑)。まぁ、新作がどうなるかは今後のお楽しみだ。
YG:アンプは持ってきましたか?
FM:プリアンプを持ってきたよ。エングル製で、ステージでは(日本で調達したヘッドの)パワーアンプ部につないで使うんだ。確か、(ヘッドは)ピーヴィーだったと思う。エフェクターはラック・タイプのTCエレクトロニック“G-Major”を、ディレイやリヴァーブ用に持参した。
PN:俺は(Line 6の)古い“POD X3”のフロア・タイプ(“POD X3 Live”)を持ってきたよ。もう長いこと、これを使っている。
YG:スタジオ・レコーディングでは、ライヴとはまた違ったギターを使うのですか?
FM:いや、俺は同じだよ。キミは何を使ってたっけ?
PN:俺も今回持ってきたギターを使ったハズだよ。
YG:アンプはどうでしょう?
FM:スタジオや自宅では、エングルのヘッド“Special Edition”を使っている。だから、アンプは同じじゃない。
YG:レコーディングでは、キャビネットから音を出してマイクで拾う、昔ながらの方法を採っているのですね?
FM:うん、そうだよ。家にいる時は、パソコンを使ってアイデアを録る方が便利だけど、スタジオでは一度も試したことがないんだ。
PN:俺は沢山アンプ・シミュレーターを使うよ。便利だからね。デモを作る時に使ったアンプ・シミュレーターが気に入ることも多く、その音をそのままアルバムに採用することもあるんだ。
YG:どんなアンプをシミュレートしていますか?
PN:ソフチューブという、スウェーデンの会社のプラグイン・ソフトに入っているメタル系のアンプを使っていて、明記されていないけど、多分エングルの“Powerball”をシミュレートしているんだと思う。ヴァーチャル・キャビネットが2台あって、マイクを好きな位置に立てられるんだ。なかなか良いトーンが得られるよ。あと、(ジム・)ダンロップのフェイザー“EVH90”を使うことも多い。ギターをこのペダルにつないで、パソコンのアンプ・シミュレーターに接続するんだよ。
ただ、アンプ・シミュレーターを使うと、高音がザラザラした音質になることがある。その時は、ヴォーカル用のディエッサー(編註:耳障りな高音を取り除くエフェクター)をギターにかけて、“シーーーーッ”といったノイズを取り除くんだ。そうすれば、高い音で弾いても、耳をつんざくような音にならなくてイイ。
YG:ちなみに、『PHOENIX』の次のアルバムについて訊くのはまだ早いでしょうか?
FM:まだまだ。
PN:早過ぎるな。やっと(新作について)話し始めたぐらいだから。
FM:日本とアメリカのツアーが終わって、家に帰ったら、ちょっと考えようかなぁ…って感じだね。
YG:次作では、ペルとの共作もありそうですか?
FM:うん。その話はもうしていて、彼も勿論(次作の)作曲に参加する予定だよ。
PN:きっと楽しいんじゃないかな。期待していてくれ!