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「第2のニルス・ノーベリを探していたワケではないよ」フレドリック・マンベリ&ペル・ニルソン/ノクターナル・ライツ2018来日インタビュー

「第2のニルス・ノーベリを探していたワケではないよ」フレドリック・マンベリ&ペル・ニルソン/ノクターナル・ライツ2018来日インタビュー
インタビュー&写真●奥村裕司 Yuzi Okumura

'17年秋、長らくの沈黙を破って復活アルバム『PHOENIX』をリリースし、ファンを大喜びさせたスウェーデン産メロディック・メタラー:ノクターナル・ライツ。あの名手:ニルス・ノーベリの後任として、(現サバトンのクリス・ローランドに続き)ペル・ニルソンをリード・ギタリストに迎えた彼等が、昨年9月、メロスピ&メロパワ・マニア垂涎のライヴ・イベント“Evoken Fest”のヘッドライナーとして、久々に日本再上陸を果たした。

しかし…ペルといえば、メロデス寄りのバンド:スカー・シンメトリーのギタリストで、近年はメシュガーのライヴ・メンバーも務めており、ノクターナル・ライツとはちょっと毛色が違っているような…? いや──実際にライヴを観てみると、コーラスもコナすペルは、ノクターナル・ライツのメロディックHR/HMにも違和感なく馴染み、他のメンバーとも愉しそうに絡みつつ、実に伸び伸びと演奏していたのであった。

今回、取材に応じてくれたのは、そのペルと、オリジナル・メンバーでリズム・ギター担当のフレドリック・マンベリ。実はもう長い付き合いだという2人は、オフ・ステージでも絶妙のコンビネーションを感じさせてくれた…!!

コピーする気はないけど、同じスタイルになるよう務めた(ペル)

YG:久々の来日──そして、新編成となって初の日本公演となりますが…?

フレドリック・マンベリ(以下FM):そうだな。ニルスがバンドを離れたあと、ちょっくら小休止するつもりでいたら、気が付けば10年も休んでしまってさ…(苦笑)。時間が経つのは早いね〜。でも、また戻ってこられて嬉しいよ。

YG:ペルは、他のバンドで来日経験がありますが……

ペル・ニルソン(以下PN):そうそう。日本に来るのはこれで2度目だよ。

YG:以前はメシュガーで、しかもサポート・メンバーとして来られましたから、やはり気持ちの上でかなり違いがあるのでは?

PN:そうかもしれない。確かに、かなり状況が違うよ。メシュガーの時はフェスティヴァル形式(“LOUD PARK 17”)だったし、規模の大きなバンドだからクルーも多く、何もかもがよりビッグだった。別にこのバンドが小さいと言っているワケではないけど、今回はクラブ・ツアーだし、やっている音楽も異なっているから…。

YG:本当に音楽性が全く違いますから、気持ちの切り替えが大変なのでは?

PN:実は今年('18年)、“HOUSE OF METAL”という、(スウェーデンの)ウメオで行なわれたフェスティヴァルに両方のバンドで出演したんだ。俺はウメオから(車で)数時間離れた所に住んでいるんだけど、この街はノクターナル・ライツが拠点としていると同時に、メシュガーのホーム・タウンでもあってね。それで俺は、金曜日にノクターナル・ライツとして出演し、土曜日の夜にはメシュガーでプレイした。どちらも地元で行なうライヴだったから、両方のリハーサルにも出たよ。なかなかウマくいったと思う。確か…その時が、ノクターナル・ライツに加入して初めてのショウだったな。

FM:そうそう! あれが初ショウだった。

YG:現ラインナップになって、何回ぐらいライヴを行ないましたか?

FM:どうだっけ? 数えてなくて…さ(苦笑)。

PN:10回かな? まぁ、それぐらいだろう。

YG:『PHOENIX』に伴う長いツアーは行なっていないということですか?

FM:ああ、ヨーロッパ各地のフェスティヴァルに出演しただけなんだ。

PN:そう。大きなフェスティヴァルにだけ出演することにしたのさ。“WACKEN OPEN AIR”にも出たよ。沢山のバンドが出るイベントでプレイすれば、1回のショウで大勢の観客に観てもらえるからね。フェスで5000人ぐらいに観てもらった方が、クラブ・ツアーで毎晩300〜400人規模のお客さんの前でプレイするよりもイイかな…と思ってね。

YG:今回のツアーでは、ペルのソロ・タイムがあるようですね?

PN:うん。まず全員でジャムって、俺が前に出てソロを弾く。その場で思いついたフレーズを弾くんだ。これはフェスティヴァルでもやっていない──この(ジャパン・)ツアーだけの演目だね。みんながステージから退場して、俺がちょっとしたソロをやって、またジャムに移って…といった感じかな。(ショウの中で)ちょっと趣向を変えるのさ。

YG:ギター・ファンは要注目ですね!

PN:そうだな。ギタリストに向けたお楽しみパートだとも言えるだろう。

フレドリック・マンベリ オフ

ペル・ニルソン オフ

YG:ただ、ノクターナル・ライツの音楽自体は、極端にテクニカルだったりプログレッシヴだったり…ということが殆どなく、かなりオーソドックスで、メロディックですよね? 前任のニルスも凄腕の持ち主でしたが、フレドリックとしては、後任もバカテク・ギタリストじゃないと…と思っていましたか?

FM:いや、第2のニルス・ノーベリを探していたワケではないよ。ただ、コイツみたいな腕のいいギタリストが欲しかっただけだ。(ニルスと)同じスタイルじゃなきゃいけないとか、そういうことは何も考えていなかったね。

PN:スタイル的にはカブる部分もあるけど…。

YG:それはたまたま…?

FM:そうだな。

YG:ただやっぱり、ニルスのフレーズが弾ける人じゃないと…というのはありますよね?

FM:勿論さ! でも、巧いギタリストなら弾けるハズだよ。それがたまたまペルだったんだ。

PN:彼等とはもう長い付き合いだからな。知り合って10〜15年ぐらいになるんじゃない? 俺はずっと、バンドやニルスのギター・プレイのファンだったんだ。だから、加入して一緒にアルバムを作る際、ニルスのコピーをする気は毛頭なかったけど、ソロなどでは同じスタイルになるよう務めたよ。ニルスは凄いプレイヤーだからね。全く違った方向には進まないようにした。スカー・シンメトリーだったら、そうはしないけどさ。あっちでは、時折ジャズに手を伸ばすことすらある。でも、ここではよりトラディショナルなプレイに留めるようにしているよ。

YG:ライヴでは、どれぐらいニルスのフレーズを再現していますか?

PN:ライヴでプレイする時は、ニルスのフレーズを少し弾きつつも、全く違うモノを弾いて、インプロヴァイズすることが多い。すべてのソロを記憶して弾いているワケじゃないからね。

YG:原曲と最も掛け離れたソロを弾く曲というと?

PN:全部じゃない?(笑)

YG:そうですか(笑)。では、最も原曲に近いのは?

PN:どうだろう…? 分からないなぁ。キミは分かる?

FM:う〜ん…。

PN:「Never Again」かな?

FM:ここは(とフレーズを口ずさむ)弾いているよね?

PN:いや、全然違うことをやっている。

FM:マジか!(笑)

PN:(演奏中に)ジョニー(リンドクヴィスト、vo)が寄ってきて、指で2フレットを押さえるところがあるんだけど、いざステージでそのセクションになった時、俺が違うことをやっているもんだから、彼の助けは全く役に立たなくてさ…(苦笑)。

YG:あちゃ〜(笑)。

PN:俺がアルバム(『PHOENIX』)でプレイした曲だって、必ずアルバム通りに弾くワケじゃない。この手の音楽は、インプロする方がずっと楽しいんだ。

YG:曲を覚える時はCDを聴くのですか?

PN:うん。CDを聴いた。でも殆ど(の曲)は、リハーサルでバンドが集まった時に習得していったんだ。ちゃんと合っているかどうか確認もしたしね。大抵は大丈夫だったと思うけど…。

FM:大丈夫だったよ。

PN:元々、彼等が10〜15年ぐらいライヴ・レパートリーにしている曲の中には、「CDではそんな風に弾いてなかったよね?」と思うこともあったな(笑)。

FM:確かに、何故か変わったところもあるよ。どうしてそうなったのかは憶えていないけど…(笑)。

PN:実は、スカー・シンメトリーでも同じことが起こっていてさ。新しいメンバーが入ってきた時、曲を覚えてきてもらったら、「これってアルバムと違うよね?」と言われたんだ。「えっ…俺は自分の曲も覚えていないのか…?」と思ったよ(苦笑)。あれは面白い体験だったな。

YG:現状、ノクターナル・ライツのレパートリーは何曲ぐらいマスターしていますか?

PN:どうだろう…。現在のセットに加えて、あと数曲ぐらいかな。だから、全部で16〜17曲だと思う。今後はもっと増やしていく予定だよ。昔の曲の多くは、まだライヴでプレイする機会がなくて、覚える必要がなかったけど、もの凄く複雑な曲というのはないから、そんなに苦労はしないと思う。1回聴けばちゃんと弾けるよ。

YG:ペルが入ったことで、「この曲はちょっと変わったな」と思ったことは? 

FM:いや、それはなかったな。俺とベーシストのニルス(エリクソン)が最初に殆どの曲を書いていたから、ペルが入っても、別にサウンドに変化はないよ。

YG:そういえば、ニルスとペルの間にいたクリスは、結局アルバムにプレイを残すことなく、ノクターナル・ライツを離れてしまいましたね?

FM:彼はウメオから(サバトンが拠点とする)ファルーンに引っ越してしまってね。サバトンは沢山ツアーをやっていて、何ヵ月も国外で過ごし、2週間ばかり家に戻っては、またツアーに出ていく──そんな生活だったから、(ノクターナル・ライツに)留まることは不可能だったんだよ。

PN:バンドに加入したら、フルタイムでの仕事を要求されるからね。ツアーだけじゃなく、リハーサルもあるし、他の事務的なこともあるし…。

FM:うん。他にもやることが多かったんだ。それが理由だよ。

YG:サバトンで来日した際、クリスにインタビューしたんですが、彼は「ノクターナル・ライツに入りたくて…入りたくて、やっとのことで入れたのに、どうして今、俺はここにいるんだろう?」と、笑いながら言っていましたよ。

FM:ハハハハ…(笑)。彼がノクターナル・ライツを凄く好きだということは知っているよ。

ジョニー・リンドクヴィスト

ノクターナル・ライツ