WOA2024レポートDAY1:7月31日(水)

WOA2024レポートDAY1:7月31日(水)

THE DARKNESS

「いや〜、ファントムの盛り上がり…マジで凄かったな〜」と思いながら、メイン・ステージへ戻ると、ちょうどザ・ダークネスのショウが始まるところ。本日は2つ横並びのうち向かって左のファスター・ステージだけが使用されるのだが、既に人多過ぎ状態で、右のハーダー・ステージ前まで観客がハミ出すほど。彼等がWOAでプレイするのはこれが初なのもあり、ショウが始まるやいなや、「待ってました!」とばかりに大歓声が沸き起こる。

ザ・ダークネス

1曲目からギターを手に登場した首魁ジャスティン・ホーキンスは、最初ちゃんと(?)シャツを着ていたが、2曲目の前にはもう上裸となり、極上ロック・ロール・パーティーを先導。野外ステージに立つ彼等を観るのは初めてだったが、ジャスティン以外のメンバーも含め、開放感たっぷりな雰囲気がこんなにも似合うとは…!

ジャスティン・ホーキンス
Justin Hawkins(vo, g)
ダン・ホーキンス
Dan Hawkins(g)
フランキー・ポーレイン
Frankie Poullain(b)
ルーファス・タイガー・テイラー
Rufus Tiger Taylor(dr)

’24年1月に来日公演を行なった彼等──その時は、大ヒット・デビュー作『PERMISSION TO LAND』(’03年)のリリース20周年記念ツアーの一環ということで、当然セットリストは同作全曲+同時期のシングル曲でほとんどが占められていた。しかし、既にその“縛り”は解けていたので、WOAでは当時の最新作『MOTORHEART』(’21年)やセカンド『ONE WAY TICKET TO HELL…AND BACK』(’05年)の表題曲が序盤に飛び出したり、日本公演でも“ご当地ソング”として披露された「Japanese Prisoner Of Love」(’17年『PINEWOOD SMILE』収録)がプレイされたりと、持ち時間60分と短いながらも、なかなかヴァラエティに富んだ選曲となっていた。まぁそれでも、やはり…というか『PERMISSION TO LAND』からのナンバーが多めではあったが。

ザ・ダークネス 2024.7.31 @WACKEN OPEN AIR セットリスト

1. Arrival@ABBA(SE)
2. Growing On Me
3. Get Your Handr Off My Woman
4. Motorheart
5. One Way Ticket
6. Love Is Only A Feeling
7. Japanese Prisoner Of Love
8. Givin’ Up
9. Heart Explodes
10. Stuck In A Rut
11. Immigrant Song@LED ZEPPELIN
12. I Believe In A Thing Called Love
13. Love On The Rocks With No Ice

ラウダー・ステージ

TINA GUO

ザ・ダークネス終わりでラウダー・ステージへ向かうと、そこはいつものWOAとはちょっと違った雰囲気に包まれていた。ステージ中央に仁王立ちしていたのは、マルチに活躍するチェロ奏者:ティナ・グオだ。上海生まれ、米サンディエゴ育ちの彼女は、クラシックや映画スコア、ゲーム音楽など多方面で引く手数多である一方、サバトンやゴースト、アル・ディ・メオラやカルロス・サンタナなどとのコラボでも知られ──これまでにも、サバトンのゲストとしてWOAでプレイしたことがあったが、遂にソロ名義でのWOA出演を果たしたのだ。

ティナ・グオ
Tina Guo(cello)

ステージには和太鼓が置かれ、全身入墨の怪人シンガー(?)がいたり、曲によってはディストーション・ギターが唸りを上げたり…と何でもアリ。テーマとして“Metal, Cinematic, Gaming & Tribal”が掲げられていたが、その通り──映画『ワンダー・ウーマン』のテーマで幕を開け、『スーパーマリオ』や『ゼルダの伝説』の楽曲もあれば、メタリックなオリジナル曲(その多くがメタル・カヴァー含む’15年作『CELLO METAL』より)もあって、SALTATIO MORTISのアレア(vo)&ルツィ(Dudelsacke)やビヨンド・ザ・ブラックのジェニファー・ハーベン(vo)などゲスト共演でも観客を沸かせていた。

アレア、ナン・リ
Alea(vo)& Nan Li(vo)

ジョン・フルト
John Huldt(g)
ティナ
初WOAで気合いが入り過ぎたのか、1曲目でいきなり弦を切って苦笑い…のティナ。

そのティナ・グオのパフォーマンスが終盤に差し掛かった頃、メインのファスター・ステージでは、またまたメタルど真ん中ではないショウが始まろうとしていた。アイリッシュ・パンクの大御所:フロッギング・モリーだ。

FLOGGING MOLLY

フロッギング・モリー

フロントマンのデイヴ・キングは元ファストウェイ〜カトマンドゥという、元々はHR/HM畑のシンガー。今やその事実を知っているフロッギング・モリー・ファンはあまりいないのかもしれないが──ドイツでもアイリッシュ・パンクの人気は高く、ファスター前はオーディエンスでギッシリ埋まり、ノリ良いアップ・テンポのナンバーが多いことから、ちょっとユルめのモッシュ・ピットも起こって、序盤から大いに盛り上がっていた。

デイヴ・キング
Dave King(vo, g)
ボブ・シュミット、デニス・ケイシー
Bob Schmidt(mandolin,banjo)& Dennis Casey(g)

フロッギング・モリー

SUZI QUATRO

フロッギング・モリーの終演時刻は21時。しかし北ドイツの夏は、22時を過ぎてようやく暗くなってくるので、まだまだ空はかなり明るい。ラウダー・ステージへ向かうと、そこには文字通りのレジェンドが…! 今年でソロ・デビューから53年という超ベテラン:スージー・クアトロだ!!

スージー・クアトロ

米デトロイト出身の彼女は当時74歳。元祖女性ロッカーとして名を馳せ、日本でも’70年代に人気が爆発し、’74年から5年連続で来日公演を行なっている、まさに伝説的アーティストだ。近年も、’19年に『NO CONTROL』が、’21年に『THE DEVIL IN ME』が日本盤としてもリリースされたので、未だ現役として気を吐いていることは広く知られているだろう。

バックドロップに往年のジャンプスーツ姿をあしらい、ホーン・セクションとコーラス隊も従えてのパフォーマンスは、見事にショウ・アップされていて、集まったオーディエンスは最初からノリノリ。勿論、トレードマークのフェンダー・ジャズ・ベースは今も健在で、失礼ながら見た目は完全にお婆ちゃんなのに、黒のライダースがしっかりサマになっていて、貫禄も充分だ。「The Wild One」で賑々しくスタートし、「Daytona Demon」「48 Crash」「Can The Can」など代表ヒット曲は勿論のこと、ニール・ヤングの「Rockin’ In The Free World」やCCRの「Bad Moon Rising」といったカヴァーでも大いに盛り上げてくれた。

スージー・クアトロ
Suzi Quatro(vo, b)

スージー・クアトロ