BLUE LIGHTNING/イングヴェイ・マルムスティーン:王者のブルースが表現されたカヴァー曲中心作

BLUE LIGHTNING/イングヴェイ・マルムスティーン:王者のブルースが表現されたカヴァー曲中心作
アーティスト名YNGWIE MALMSTEEN
イングヴェイ・マルムスティーン
アルバム名 BLUE LIGHTNING
ブルー・ライトニング

CD | キングレコード | 2019年3月29日発売

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今までもその手の曲はあったし、常々ジミ・ヘンドリックスの衝撃を熱弁してきたが、それでもネオ・クラシカルの代名詞がブルース・ロックに挑戦するとは驚きだ。内訳はオリジナル曲が「Blue Lightning」「1911 Strut」「Sun’s Up, Top’s Down」「Peace, Please」の4つで、残り10曲がカヴァー。カヴァーは最敬愛するジミが3曲の特別枠で、ディープ・パープルとローリング・ストーンズが各2曲。ZZトップ、ビートルズ、エリック・クラプトンが1曲ずつ。カヴァーの出来にはムラがあると思ったが、これは天衣無縫な彼の性格そのままか。要は思い入れの度合いが演奏に包み隠さず出たのであって、対象を神聖視していることが伝わるイントロのキメ・フレーズも含めて「Purple Haze」は完全に別格だ(他のジミ曲も完成度高し!)。深紫の「Smoke On The Water」が『LIVE IN JAPAN』(’72年)版っぽいのも気持ちが伝わる。

で、肝心なのはここ。ファンの期待も同じだと思うが、何をやろうが王者は王者。ブルースだからといってよそ行きのスタイルは1つも取っていない。ペンタトニックに限定して弾いてはいないし、それ風の落ち着いたサウンドにもしていない。いつもの我が道を貫き、実はオリジナル曲に関してもブルース臭いのは「Sun’s Up, Top’s Down」だけ。定型化されたブルース的な音階や奏法は二の次に、破天荒なまでの感情表現を第一にした、王者の思うブルースが表現されているが、やはり彼の深いところを占めるのはジミなのだと思った。