BOTH SIDES OF THE SKY/ジミ・ヘンドリックス

BOTH SIDES OF THE SKY/ジミ・ヘンドリックス
アーティスト名JIMI HENDRIX
ジミ・ヘンドリックス
アルバム名 BOTH SIDES OF THE SKY
ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ

CD | ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル | 2018年3月14日発売

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ジミ・ヘンドリックス(vo, g)の遺族が運営する作品管理会社認定の秘蔵音源集で、’10年の『VALLEYS OF NEPTUNE』、’13年の『PEOPLE, HELL & ANGELS』に続く未発表スタジオ音源3部作の最終作。全13曲中10曲が完全未発表だが、既出曲の別録版も多々…とは言え、海賊盤にまで睨みを効かせる玄人でもなければ新鮮な気持ちで楽しめるだろう。生前のジミと仕事をした名匠エディ・クレイマーがエンジニア/ミックスを担当しており、音質は折り紙つき。

今作には’68年1月〜’70年2月の音源を収蔵するが、メインは幻の4作目の準備/録音期間に当たる’69年物。同年4月9日のエクスペリエンス編成による「Hear My Train A Comin’」、4月22日にバンド・オブ・ジプシーズの結成メンバーが初めて揃った「Mannish Boy」、5月のジョニー・ウィンター(g)を招いての「Things I Used To Do」(既発音源の完全版)、9月のスティーヴン・スティルス(key/CSN&Y)との「Woodstock」等々どれも興味深いが、いずれの音源でもジミは器用貧乏──いや、共演者に合わせて自らのスタイル/音作りをカメレオンのように変化させている感じがあって、より興味をそそられる(これらの中には、新しい音楽を模索する苦しさの音もあるのだろうか…)。狼の遠吠えをギターに置き換え、シタールも折り込み、米先住民族の魂と東洋を融合してみせた’68年5月の「Cherokee Mist」では、異形の才能と新しさに絶句した。

【文】菅原健太