アーティスト名 | NICKELBACK ニッケルバック |
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アルバム名 | FEED THE MACHINE フィード・ザ・マシーン |
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隣国カナダ出身にもかかわらず、しょっちゅうアメリカン・ロックの救世主的な扱いをされがちなニッケルバック。その音楽性の軸はほぼ20年変わっていない。だからこそリスナーは安心してニッケルバックという“ブランド”を購入できるのだ。とかくロックは変わり続けることが美徳とされるが、情報過多な時代には、いつもと同じ音を求めたくなる——そんなネジレが生まれているのかもしれない。
約2年半ぶりの新作も安定感抜群のニッケルバック節が満載だ。ドライヴィンなリフで押す「Feed The Machine」「Coin For The Ferryman 」に続けてパワー・バラード「Song On Fire」につなげる王道パターンに、思わず「よし!」と心の中でガッツポーズ。チャド・クルーガー(vo, g)が「いつもよりヘヴィ増量」と語るようにリフ度高めの仕様だが、何曲かに1回はミドル・テンポの曲を挟むところが憎い。彼らには、こうしたゆったり目の曲はメジャー調のサビ・メロでダイナミックに展開するといった特徴があり、「Every Time We’re Together」などはまさにその真骨頂。恐らく今後のシングルになるに違いない。そして、リプライズで閉じる構成は新鮮に感じられた。
チャドはスリップノット/ストーン・サワーのコリィ・テイラーと舌戦を繰り広げている最中だが、5,000万枚超のアルバムを売り上げた才能は伊達ではない。そして人はまた、ニッケルバックのアルバムを買いに走る。
【文】小口正貴