覇道明王/陰陽座

覇道明王/陰陽座
アーティスト名陰陽座
陰陽座
アルバム名 覇道明王
覇道明王

CD | キングレコード | 2018年6月6日発売

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数々の名作を残してきた陰陽座が放つ14枚目のアルバム。前作『迦陵頻伽』(’16年)は、黒猫(vo)の類稀なる絶唱の凄みを前面に押し出しつつ、それまでの音楽性を集約させたとも言える、彼らにとっても1つの金字塔となる内容だった。時系列で言えば、本作はそれに続く作品ゆえに、メンバー自身もいつにも増して緊張感を覚えながら制作に臨んだことは容易に想像がつく。とはいえ、不安に感じる要素など微塵もない。今回もその壁を明確な意思をもって打ち壊してきた。

徹頭徹尾の陰陽座流ヘヴィ・メタル。核心はそこにある。「覇王」から豪快なサウンドを叩きつけ、スラッシーなリフも印象的な「覇邪の封印」へと雪崩れ込むオープニングは象徴的だ。陰陽座とはいかなるバンドなのか、そしてどのような道を歩み、どこへ向かうのか。歌詞にも綴られた、結成時から貫いてきた揺るぎなき信念が、この上ない力強さで叫ばれる。7弦ギターも彼らの個性を活かした用い方で、ヘヴィさを強調するだけでなく、広範な音域を奏でることでメロディアスな側面も際立って聴こえてくる。技巧的にも叙情的にも響くソロ・パートのフレージングや、主題を意識したプログレッシヴな展開なども秀逸。作曲者である瞬火(vo, b)が生み出すリフの多彩さにも驚かされるだろう。伝統を継承しながら、革新も忘れない。陰陽座の盤石さを改めて知らしめる傑作だ。

【文】土屋京輔