THE EMPIRE／ヴェイダー

ポーランド産デス・メタル古豪の11作目。元々、突撃爆走が譲れぬ一線のデスラッシャーではあるが、’15年にルーツ・カヴァー集を発表した影響もあるのか、今回はことさらオールドスクール・スラッシュ・メタルの典型的決めワザのあれこれを分かりやすくちりばめた、ストレートな快速スラッシュ賛歌的作品に仕上がっている。短くてシンプルな曲がやや多めなため、ギター・ソロも自然とコンパクトな中で起承転結を練り上げた折り目正しい（彼らにしては）スタイルにまとまっている。本作もやはりルーツ再確認作品なのだろう。日本盤にはモーターヘッド「Overkill」などのカヴァー２曲を含む先行EPも同梱。

【文】平野和祥