その革新的で変幻自在のギター・テクニックと独創性溢れるソングライティングで知られるスティーヴ・ヴァイが、30年前にバイカーのためのゴキゲンなド直球ロックンロール作品を制作していたことが判明した。当時のヴァイのバイカー仲間でシンガーでもあった故ジョニー”ガッシュ“ソンブロットとのプロジェクトとして録音していた最初で最後のアルバム『VAI/GASH』が、2023年1月25日(水)に日本はソニーミュージックより発売される。本日、アルバムからのファースト・シングル「In The Wind」が公開された。
バイク愛好家でもあるスティーヴ・ヴァイがハーレーダビッドソンを乗り回していた1990年頃、自身がバイカー・カルチャーに夢中だった10代の頃に聴きたかったタイプのストレートなロックを吐き出したいという衝動に駆られていた。そんな時、共通の友人を介してジョニー・”ガッシュ“・ソンブロットと出会う。ガッシュはかつて全身の60%以上の火傷を負う大事故に遭い、耳は一部欠け、首、腕、脚、胸全体に何層もの皮膚移植の痕が残っていた。その見てくれでハーレーに乗っていた彼は、タフで威圧感のある、態度の悪辣なバイカーだと安易に思われがちだったが、実際に彼に触れた人は誰もがそのチャーミングで温かな人柄やカリスマ性に惹きつけられていたという。スティーヴは次のように語る。
「ジョニーはあらゆる年齢、肌の色、身体の大きさ、政治的または性的な指向の最も意外な人々とすぐに意気投合していた。彼はうわべだけの人間ではなく、人を先入観で判断したことがなかった。たくさんの傷痕の下には、大胆かつ恐れを知らない温かい心があった。それはあいつの人懐こい、大きく穏やかな青い瞳に現れていた。…俺の中の何かが、彼をスタジオに呼んで俺が作ったバイカー風の曲を彼がどう歌うのか見てみたいという気持ちにさせた。ヤツの口から出てきた声はまったく想定外のものだった。自信に満ち、確かで、恐れを知らず、それでいて屈託のない目的意識があった。これこそが、これらのぶっ飛んだロック・トラックをバックに響いてほしいと俺が思っていた声だったんだ。度肝を抜かれたよ」
「“In The Wind” はジョニーと最初にレコーディングした曲だ。ハーレーに乗っていたときに俺たちが感じた、オープン・ロードの自由なスピリットを捉えている。風を切って走っている時に自分の中に感じるそういったパワーの高揚感を表したトラックなんだ。このアルバムは1991年、おそらく2週間くらいの間に、ちょっとした意識の流れの中で書いてレコーディングしたものだ。友達とハーレーダビッドソンのバイクに乗りながら聴けるようなタイプの音楽が欲しいという自分の願望への答えとしてね。ティーンエイジャーだった’70年代に自分が楽しんだ類のロック・ミュージックを彷彿させる曲だね」
ちょうどその頃、スティーヴはアルバム『SEX AND RELIGION』(1993年)の制作にも取り掛かろうとしていたため(同作にガッシュはバッキング・ヴォーカルで参加している)、ゆくゆくは別のプロジェクト用に、彼とレコーディングしてあった8曲の他にもレコーディングできればと考えていた。しかしそれは不可能となってしまう。1998年9月7日、スティーヴの父親が亡くなった2日後に彼はバイク事故で他界してしまったのである。30年の月日が流れた今、スティーヴ・ヴァイはようやくこのマスターを世界に公開する。
「ジョニーは絶対、誰もが知っておきたかった最高に素晴らしいロック・シンガーになっただろう。でもヤツは逝ってしまった。意気消沈した俺はプロジェクト全体を棚上げにして、この30年間、少なくとも年に1回、特に彼の命日辺りにはこれを聴いていた。ところが最近になって、何かに強く心を動かされた俺は、今これを出したいという気になったんだ。みなさんがジョニーを知る機会があったら良かったのにと思う。俺たちがみんなそうだったように、みなさんも彼を大好きになっただろうと思う。今のあいつは“風の中にいる(In The Wind)”けれど」
INFO
VAI/GASH /STEVE VAI
CD|ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
2023年1月25日 日本先行発売
1. In The Wind
2. Busted
3. Let’s Jam
4. Woman fever
5. She Saved My Life Tonight
6. Danger Zone
7. New Generation
8. Flowers Of Fire
公式インフォメーション
今は亡きシンガーと30年前に録音していたバイカーのためのストレートなロックンロール・アルバム『ヴァイ/ガッシュ』を来年1月に発売! | スティーヴ・ヴァイ | ソニーミュージックオフィシャルサイト