ポール・ギルバート「Young Guitar People」アドリブ奏法 エクストラ解説

ポール・ギルバート「Young Guitar People」アドリブ奏法 エクストラ解説

ポール・ギルバートの最新ソロ『WEREWOLVES OF PORTLAND』から、日本盤ボーナス・トラック「Young Guitar People」のソロをアドリブでプレイするコンテストが7月11日で締め切りを迎える。ヤング・ギター7月号ではその攻略方法として、ポール直伝のアドリブ・アイデアを中心とした奏法解説を掲載しているが、そこに入り切らなかった2つのトピックをウェブで紹介しよう。どちらも理論的な要素を伴う内容で、誌面の解説同様にコンセプトを理解すればどんな場面でも応用可能だ。ぜひ今後のギター・プレイにも役立ててほしい! 

アルペジオ・フレーズ

まずはコード・アルペジオを使う方法。7月号の誌面でも解説したが、「Young Guitar People」のジャム・パートはKey=Amで、Aドリアン・スケールがソロ・メロディーの基本となる。ならばAドリアン上の音から成るコード(図1)であれば、そのアルペジオをフレーズ中に使用しても、理論上は全く問題ないはず。ということを頭に入れておいた上で、以下の譜例をチェックしてみてほしい。

図1 Aドリアン・スケール

図1

最初はEx-1図2)。これはバッキング・リフの[Am→C→D]というコード進行に合わせて、アルペジオを重ねて作ったフレーズだ。もちろんこれはこれで悪くないのだが…実際に弾いてみると「なにかスリリングさに欠けるなぁ」と感じる人も多いはず。バックと同じコードのアルペジオを重ねるということは、最も安全な音のみを選んで弾いているということでもある。目にも止まらぬ速さでプレイするというのであれば話は別だが、これではスリリングさに欠けるのも当たり前だ。

Ex-1コードに合わせた音のみで弾いたアルペジオ

Ex-1

図2 Ex-1で使われるポジション

図2

では次に、Ex-2図3)をチェックしてみてほしい。今度はAm、C、Dのアルペジオの順番を入れ替えてプレイした例だ。例えば3拍目のCコードに対してDコードのアルペジオを重ねた部分では、結果的に9thや#11thといったテンション音を弾いていることになるのだが、2小節目のAmの部分で安全にフレーズを終えていることもあり、響きの上では全く問題なく聴こえることが分かると思う。

Ex-2アルペジオの順番を変えてテンション音を追加

Ex-2

図3 Ex-2で使われるポジション

図3

続くEx-3Ex-4図4)は、Am、C、D以外に図1に登場する他のコードのアルペジオも取り入れたプレイだ。フレーズを総合すればAドリアン・スケールで弾いているのと同じことになるが、「初めにスケールありき」の発想では、Ex-4のようなフレージングはなかなか思いつかないはず。「同じ音を使ったとしても人と違うプレイをしたい!」と考えている人は、ぜひこのアイデアを試してみてほしい。

Ex-3コード進行にないダイアトニック・コードで違いを出す その1

Ex-3

Ex-4コード進行にないダイアトニック・コードで違いを出す その2

Ex-4

図4 Ex-4で使われるポジション

図4

スケール・アウト・フレーズ

7月号の誌面では「バッキング・リフの隙間を埋めるようにプレイする」ことも解説しており、ここからはそれにまつわる話。リフの隙間では音が薄くなる分、危ない音使いのソロ・フレーズを用いる格好のチャンスにもなり得る。そんなわけで、手軽に使えるアウト・フレーズをいくつか紹介しておこう。

Ex-5はAmのコード・トーンである1〜3弦5fの音に対し、それぞれ[1音半上→半音下→1音上→半音上→コード・トーン]という5音パターンで動いていくフレーズだ(図5)。「Aマイナー・ペンタトニックのボックス・ポジションに経過音を加えたフレーズ」と憶えておけば、使いやすいはずだ。

Ex-5Aマイナー・ペンタのボックス・ポジション+経過音

Ex-5

図5 Ex-5で使われるポジション

図5

続くEx-6とEx-7は、スティーヴ・ヴァイがしばしば用いる指板上の型を基にしたプレイ。まずEx-6の方は、図6の動きで1フレット分ずつ上昇していく。そしてEx-7は、図7中の線で囲った同じ型のポジションを用いている。

Ex-6スティーヴ・ヴァイ風ポジションを活用したフレージング その1

Ex-6

図6 Ex-6のポジション

図6

Ex-7スティーヴ・ヴァイ風ポジションを活用したフレージング その2

Ex-7

図7 Ex-7のポジション

図7

なおこの曲のソロでは、2小節単位のバッキング・パターンを頭の中で[Am7→D7(IIm7→V7)]の繰り返しと仮想する手もアリだろう。そう考えると、D7の部分では様々なスケールが使えることになる。Ex-8とEx-9はそんな一例。Ex-8の方はD7と仮想した部分にコンディミ(コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール)を用いており(図8)、Ex-9の方はホールトーン・スケールを用いている(図9)。

Ex-8コンビネーション・オブ・ディミニッシュでスケール・アウトする

Ex-8

図8 Ex-8:コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケールとポジション図

図8

Ex-9ホールトーン・スケールでスケール・アウトする

Ex-9

図9 Ex-9:ホールトーン・スケールとポジション図

図9

…といくつか例を挙げたが、この手のアウト・フレーズが成功するかどうかは、「然るべきタイミングでインに戻れるか?」にかかっている。このケースであれば、バッキング・リフがAmになった時点でインに戻ることを基本にトライしてみよう。さらに7月号の誌面で解説したフレーズ・イミテーションの手法も絡められれば、なお良し。アウト・フレーズと前後のインのフレーズが、オリジナルとイミテーションの関係になっていれば、よりプレイの説得力が増すはずだ。

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