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サバトン&アモン・アマース 2018.3.29 EXシアター六本木& 2018.4.2 ゼップ東京公演 ライヴ・レポート

レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura 写真●Mikio Ariga(SABATON)、Yuzi Okumura(AMON AMARTH)

スウェーデン出身、古今東西の戦史をモチーフとするメロディック・メタラー:サバトンが再来日! 彼等は’15年と’17年に日本を訪れているが、そのいずれもが“LOUD PARK”出演のためで、単独公演が行なわれることはこれまでなかった。よって今回の初ヘッドライン・ジャパン・ツアーは、ファンにとって正に待望だったろう。しかも、サポート・アクトとして同郷のヴァイキング・デス・メタラー:アモン・アマースが付くというからビックリ! ヨーロッパで絶大なる人気を誇るこの2組のカップリングは、ある意味で奇跡的と言ってイイかもしれない。尚、ここでは3月29日のEXシアター六本木公演と4月2日のゼップ東京公演の模様をお伝えしよう。

AMON AMARTH:猛烈なアグレッションとドラマが凝縮!

AMON AMARTH Top

まず先鋒を務めたのはアモン・アマース。暗転し勇壮なSEが響いてくると、大歓声が沸き起こる中、現代に生きるヴァイキングといった風体のメンバーが悠然とステージへ登場する。彼等は’12年に単独来日を果たしているが、それからもう6年余りが過ぎ去ってしまったし、前回来日は“KNOTFEST JAPAN 2014”出演で、わずか30分足らずの演奏だったから、こちらもファンの渇望感は限界近くまで達していたに違いない。まぁ、今回もサポートということで、持ち時間は40分ほどだったものの、現時点での最新作『JOMSVIKING』(’16年)収録曲を含む一部日替わりの全8曲は、劇的かつ重厚、雄々しくも武骨な彼等の魅力をギュギュッと凝縮しており、「オ〜オ〜オ〜♪」と共に歌えるパートも沢山あって、両日とも序盤から大いに白熱しまくり、観客のテンションは最後までアガりっ放しだった。

AMON AMARTH - Olavi Mikkonen

AMON AMARTH - Johan Soderberg

例によって、オラヴィ・ミッコネン&ヨハン・ソーデルベリのギター・チームは、ヘドバンしながらじゃないと弾けないのか…というぐらいに、常に全身を激しく揺らしながら熱奏! フロントの4人がどっしり構えての一斉風車ヘドバンの威力も、依然として強烈この上ない。ギター・ソロは主にヨハンが担当し、テーマ・フレーズやリード・メロディーをオラヴィが弾くという分業バランスもこれまで通り。近年はアルバムを重ねる度にメロディックな傾向が強まっているとはいえ、獰猛なアグレッションは未だ健在で、その一音々々に込められたドラマ性はこってり濃厚だ。また、ヴォーカルのヨハン・ヘッグによる雷神トールのハンマー打ち下ろし(’08年『TWILIGHT OF THE THUNDER GOD』表題曲)や、ヴァイキング・ホーンの杯を掲げてのカンパイ(『JOMSVIKING』収録の「Raise Your Horns」)といった演出も実に効果的だった。

この来日公演で、『JOMSVIKING』に伴うワールド・ツアーを終えたというアモン・アマース。次作リリース後には、是非ともヘッドライナーとして戻って来て欲しいものだ…!!

アモン・アマース セットリスト

2018.3.29 EXシアター六本木公演

1. The Pursuit Of Vikings
2. First Kill
3. Twilight Of The Thunder God
4. As Loke Falls
5. War Of The Gods
6. Deceiver Of The Gods
7. Raise Your Horns
8. Guardians Of Asgaard

2018.4.2 ゼップ東京公演

1. The Pursuit Of Vikings
2. First Kill
3. Twilight Of The Thunder God
4. The Way Of Vikings
5. Destroyer Of The Universe
6. Deceiver Of The Gods
7. Raise Your Horns
8. Guardians Of Asgaard

SABATON:シリアス&タイト&楽しさ満点!

SABATON - Top

20分ほどのインターヴァルを挟み、いよいよサバトンが登場! 開演を告げるSEとしてステイタス・クォーのカヴァー「In The Army Now」が流れ、バンドとコラボしたオンライン・ゲーム『World Of Tanks』の動画がスクリーンに映し出されるのに合わせて、イントロ「The March To War」(’10年『PRIMO VICTORIA:RE-ARMED』収録)が始まるや、アモンのシリアスなムードとはうって変わって、フレンドリーな昂揚感が充満していく。オープニング曲はお馴染み「Ghost Division」(’08年『THE ART OF WAR』収録)だ。外国人オーディエンスが目立つフロアでは一斉に腕が上がり、のっけから凄まじい盛り上がりに。ただ、バンドも観客もみんな満面の笑顔なのは、サバトンのライヴならではと言えるかもしれない。

SABATON - Joakim Brodén

そう、彼等のショウはとにかく楽しい。劇的さとキャッチーさが同居する楽曲は、その殆どが一緒に歌いたくなるメロディーを有しており(サビの歌詞が度々スクリーンに出るのもナイス!)、どれも見事にライヴ映えする。メンバー間で繰り広げられる、ちょっとおバカなノリも最高! いや…メンバー間というか、基本的にヴォーカルのヨアキム・ブローデンが他の4人からひたすらイジられるだけなのだが。もしかすると、ちょっとフザけ過ぎと感じるムキもあるかもしれないものの、どうせなら自分もおバカになって楽しまなきゃ損! そうそう──バカといえば、’16年加入のギタリスト:トミー・ヨハンソンは、すっかり“バカ”というニックネーム(?)が定着してしまったようで、ヨアキムに「Baka is back!!」と紹介されると、観客から愛情いっぱいの“バカ”コールが浴びせられていた。

そんなトミーはゼップ公演で、「Swedish Pagans」(’10年『THE ART OF WAR:RE-ARMED』収録)に入る前の「次はお前の好きな曲を弾いてイイよ」というお約束の寸劇(ヨアキムは他の曲を期待しているのに、いつも「Swedish Pagans」が始まる)の際、突然キッスの「Detroit Rock City」を弾き始め、自らリード・ヴォーカルも執って、ヨアキムに逆襲! ただ、すぐに制止されてしまい、結局やっぱり「Swedish Pagans」がプレイされるのであった。

次にやる曲を観客に選ばせる趣向も、サバトンのライヴでは定番だ。今回は、英詞と母国語詞の2ヴァージョンある『CAROLUS REX』(’12年)からの曲を、どっちで聴きたいかリクエストを募ったところ、2公演ともスウェーデン語版が圧倒的多数で選ばれ、EXシアター公演では「En Livstid I Krig」(英詞だと「A Lifetime Of War」)、ゼップ公演では「Karolinens Bon」(英詞だと「The Caroleans Prayer」)がそれぞれプレイされた。さらに、「Resist And Bite」(’14年『HEROES』収録)の前にヨアキムがギターを持ち出して、「俺の腕前を見てくれ」とやるコーナー(EXシアター公演のみ)も大ウケ。しかも、毎度の「Smoke On The Water」(ディープ・パープル)ではなく、(サワリだけながら)ジューダス・プリーストの「Electric Eye」を弾いたから驚いた…! そしてヨアキムは、そのまま「Resist And Bite」でもギターを弾き、この曲だけトリプル・ギターになるのもいつものパターンだ。

SABATON - Band

これが初めてのヘッドライナー・ショウということで、セットリストの一部をちゃんと日本向けにしてくれていたのも嬉しかった。EXシアター公演でヨアキムが、「ヨーロッパではしばらくプレイしていない曲だ」と前置きして披露された『PRIMO VICTORIA』(’05年)からの「Into The Fire」と『THE ART OF WAR』(’08年)からの「Cliffs Of Gallipoli」がそうだ。またゼップ公演では、『CAROLUS REX』から「Gott Mit Uns」が追加され、『COAT OF ARMS』(’10年)の「Uprising」と「Screaming Eagles」、『ATTERO DOMINATUS』(’06年)のタイトル・チューンなどが飛び出したが──何故か「Gott Mit Uns」で最初ヨアキムが出てこず、ほぼ全編をトミーとその相棒:クリス・レールランドが歌うことになったのは、一体どうしてだったんでしょ…?

SABATON - Chris Rörland

ところで──何だかおちゃらけた場面についてばかり書いているような気がするが、当然ながら、バンドの演奏自体はいたってシリアス&タイト。クリスとトミーは、随所でメロディアスかつスリリングなソロを決め、熱い視線を送るギター・フリークを唸らせていた。フラッシーなシュレッドを得意とする前者、前任ギタリスト:トゥッベ・エングルンドのネオ・クラシカルなセンスを引き継ぐ後者と、どちらも飽くまで楽曲至上のスタイルは守りながら、明確に個性を出していたのも見逃せない。

実は今回、2度の“LOUD PARK”でお目見えした戦車型のドラム・セットを持ってこないことが事前に判明し、そのため多くのファンが落胆を隠さなかった…。しかしながら、いざライヴが始まると、なくても何ら問題ないどころか、戦車のことなど忘れてしまうぐらいに、終始みんな歌いまくり、飛び跳ねまくっていたことは特筆しておきたい。’10年の『COAT OF ARMS』での本邦デビューから7年半余、そして’15年の“LOUD PARK”初参戦から約2年半──ようやくヘッドライン来日を実現させたことで、日本でのサバトン人気はさらに高まっていくことだろう…!!

SABATON - Band 2

サバトン セットリスト

2018.3.29 EXシアター六本木公演

1. Intro:The March To War〜Ghost Division
2. Winged Hussars
3. Swedish Pagans
4. Carolus Rex
5. Into The Fire
6. The Last Stand
7. En Livstid I Krig
8. Blood Of Bannockburn
9. Resist And Bite
10. Sparta
11. Night Witches
12. Cliffs Of Gallipoli
13. Intro〜Primo Victoria
14. Shiroyama
15. To Hell And Back

2018.4.2 ゼップ東京公演

1. Intro:The March To War〜Ghost Division
2. Uprising
3. Detroit Rock City@KISS(Excerpt)
4. Swedish Pagans
5. Carolus Rex
6. Screaming Eagles
7. The Last Stand
8. Karolinens Bön
9. Blood Of Bannockburn
10. Resist And Bite
11. Gott Mit Uns
12. Winged Hussars
13. Night Witches
14. Attero Dominatus
15. Intro〜Primo Victoria
16. Shiroyama
17. To Hell And Back