世界中のメタル・ファンが自宅で熱狂したWACKEN:WORLD:WIDEレポート&主催者インタビュー

世界中のメタル・ファンが自宅で熱狂したWACKEN:WORLD:WIDEレポート&主催者インタビュー

今年初春、突如猛威を振るい始めた新型コロナウイルスは、世界各地でパンデミックを引き起こし、今もってじわじわと感染を続けている。その深刻な影響は広く音楽業界にも及び、特にライヴ産業は世界的に大打撃を受けた。当然ながら、夏の風物詩であるサマー・フェスもほぼすべてが中止か延期に。毎年ドイツで開催されている世界最大級のHR/HMの一大祭典“Wacken Open Air”(以下WOA)も例外ではなかった…。しかし、開催中止が決まって程なく、WOAの運営陣は動いた。“みんながWOAに来られないのなら、こちらから出向く!”とのスローガンの下、前代未聞のオンライン・フェスの開催を発表したのだ。

WOA2020フライヤー
WWW2020フライヤー

そうして、その名も“WACKEN:WORLD:WIDE”(以下WWW)が去る7月29日から8月1日にかけ挙行。言うまでもなくその日程は、WOA本体が開催される予定だった4日間である。特筆しておきたいのは、すべてのコンテンツが無料配信されたということ。その内容は、特設スタジオからのライヴ生配信に加えて、リモート・ライヴやインタビュー、WOAのアーカイヴ映像、ギター&ベース・クリニックなど…と実に盛り沢山! 開演前日にはヴァーチャル記者会見も行なわれ、最終的に出演&参加バンド/アーティストは50近くにのぼり、世界各国のヴァッケナー(オーディエンス)による動画投稿も受け付けられていた。

その結果、第1回WWWは1100万PVを達成し、何と配信サイト“Magenta Musik 360”において、これまでの閲覧者数記録を更新! 日本から生視聴するためには、時差の関係で、深夜から明け方にかけてずっと起きていなくてはならず、みんな寝落ちするまい…と大変だったと思うが、逆に楽しくて寝たくても寝られなかった…という人もいたかもしれない。

では、そんなWWWの4日間を改めて振り返りつつ、最後にはWOA&WWWの主催者のひとり:トーマス・イェンゼンの最新インタビューをここにお届けしよう! Wacken is where You are…Rain or shine or Online!!

REPORT:ヴァーチャル空間から届けられた熱狂的演出!

上述通り第1回WWWは、多彩なコンテンツを取り揃え、4日間に亘って開催されたのだが、やはりその目玉は、このヴァーチャルなフェスのために行なわれた、正にスペシャルなライヴ・ストリーミングだったろう。特設の“XR Stage”に集ったのは、7月30日(木)がヘヴン・シャル・バーンとIN EXTREMO、同31日(金)がビヨンド・ザ・ブラックとブラインド・ガーディアン、8月1日(日)がヘマトム、クリエイター、サバトン…と、全7バンド。このご時勢だからして、極力移動を抑えるため、殆どがドイツのバンドだったが、最終日に大トリを務めたサバトンはスウェーデン出身。状況によっては国境をまたいでの移動が出来なくなるかも…という中でのエントリーとなった。

結果的にサバトンは、無事にドイツ現地へと到着。XR Stageにて圧巻のパフォーマンスを見せつけてくれたものの、きっと当日まで、バンドも運営側もヒヤヒヤものだったろう。国境をまたいで…といえば、クリエイターもリスクを抱えていた。昨年に加入したばかりのフレデリク・ルクレール(b)が、フランスから飛んで来なければならなかったからだ(専任ギターのサミ・ウル・シルニヨもフィンランド出身だが、彼はずっとドイツ在住だったハズ)。ともあれ、ロックダウンや国境封鎖という最悪の事態がまた起こることはなく、どのバンドも万全の態勢でライヴをコナせたのは幸いだった。

ちなみに、XR Stageの“XR”とは、“Extended Reality”の略で、高解像度カメラを何台も使った最新のプロダクション技術により、所謂グリーン・バックやブルー・スクリーンなどを使わなくても、撮影映像に様々な効果を加えることが出来るという。そこにはWOAのフェス会場を模した巨大なヴァーチャル空間が設けられ、バンドの頭上にロゴを浮かべたり、ステージ奥に各バンドにまつわるオブジェを設置したり…といったことも自由自在で、勿論パイロなどの特効も使い放題だ。サバトンのライヴ時なんて、ステージの周りが戦場と化し、戦闘機が上空を飛び交い、戦車群が進軍してきたりもしてきて、その見事な演出に、ファンならずとも大興奮したに違いない。

SABATON

サバトン:XRステージ1

サバトン:XRステージ2

サバトン:XRステージ3

サバトン:トミー・ヨハンソン
サバトン:クリス・ローランド

サバトン Wacken:World:Wide XR Stage, Hamburg, Germany 2020.8.1 セットリスト

  1. Ghost Division Intro
  2. Ghost Division
  3. Great War
  4. The Attack Of The Dead Men(With History Edtion Intro)
  5. Panzerkampf
  6. The Last Stand
  7. The Red Baron
  8. Carolus Rex
  9. Fields Of Verdun
  10. Primo Victoria
  11. Swedish Pagans
  12. Bismarck
  13. To Hell And Back

BLIND GUARDIAN

ブラインド・ガーディアン:XRステージ1

ブラインド・ガーディアン:XRステージ2

ブラインド・ガーディアン:ハンズィ・キアシュ&マーカス・ズィーペン
ブラインド・ガーディアン:アンドレ・オルブリッチ

ブラインド・ガーディアン Wacken:World:Wide XR Stage, Hamburg, Germany 2020.7.31 セットリスト

  1. 1618 Ouverture
  2. Into The Storm
  3. Welcome To Dying
  4. Banish From Sanctuary
  5. I’M Alive
  6. Lost In The Twilight Hall
  7. Violent Shadows(Live Debut)
  8. Born In A Mourning Hall
  9. Valhalla
  10. Majesty
  11. Mirror Mirror

KREATOR

クリエイター:XRステージ

クリエイター:ミレ・ペトロッツァ
クリエイター:XRステージ

クリエイター Wacken:World:Wide XR Stage, Hamburg, Germany 2020.8.1 セットリスト

  1. The Patriarch
  2. Violent Revolution
  3. Extreme Aggression
  4. 666 – World Divided
  5. Hordes Of Chaos(A Necrologue For The Elite)
  6. Satan Is Real
  7. Awakening Of The Gods
  8. Enemy Of God
  9. Hail To The Hordes
  10. Mars Mantra
  11. Phantom Antichrist
  12. People Of The Lie
  13. Betrayer
  14. Pleasure To Kill
  15. Apocalypticon

HEAVEN SHALL BURN

ヘヴン・シャル・バーン:XRステージ

ヘヴン・シャル・バーン:アレクサンダー・ディーツ
ヘヴン・シャル・バーン:マイク・ヴァイヒェルト

IN EXTREMO

イン・エクストレモ:XRステージ1
イン・エクストレモ:XRステージ2

BEYOND THE BLACK

ビヨンド・ザ・ブラック
ビヨンド・ザ・ブラック