宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

宗弥/Blu-BiLLioN 『Refrain / 心灯-こころび-』

2010年に結成されたBlu-BiLLioNは、ミケ(vo)、mag(g)、宗弥(g)、珀(b)、teru(key)、Seika(dr)の6人から成る大所帯バンド。その重厚なアンサンブルから繰り出される底抜けに明るい楽曲がとても個性的で、音楽性は“ポジティヴの極み”と表現するのがしっくり来るだろう。ただその中心人物の1人、ギタリストの宗弥が実はかなりディープなメタルヘッドらしい…という情報を、さる情報筋からキャッチ。彼らは10月28日にシングル『Refrain / 心灯-こころび-』を、また7月22日には2ndフル・アルバム『GENESIS』をリリースしており、ならばこのタイミングでそれらの作品を紐解きながら彼に話を聞こう…ということに相成った。以下、猛烈にしゃべってくれた彼の言葉を、八割方そのままの尺でお送りしたい。

ギター・ヒーローへの憧れを自分なりに消化して提示したいんです

YG:Blu-BiLLioNの音楽性はすごくポップですよね。ただギター・ソロに入ると非常にテクニカルになる曲が多くて、何と言うか…とてもヤング・ギター的な匂いがしました(笑)。

宗弥:僕がギターを始めたきっかけは、まさにヤング・ギターだったんですよ。一番最初に取り組んだ楽器はドラムだったんですけどね。一緒につるんでいた地元の友達がメタル好きで、その影響から、僕もメタリカ、パンテラ、イン・フレイムスといった音楽を若い時に聴いていたんです。

YG:’90年代の音楽の中でも過激な部類ですね。

宗弥:そうですね。速い、重い、歌メロがない…みたいな(笑)。だからこそメロディーはギターが作るものだという認識が、自分の中に自然と芽生えたんだと思います。ドラマーだった頃から、ギターって華やかな楽器だなぁという憧れを抱いていたんですよ。だから昔やっていたバンドのギタリストが読んでいたヤング・ギターを、僕も見せてもらっていて。自分の好きなバンドがいっぱい載っていましたからね。確か90年代末から2000年辺りのことで、ヌーノ・ベッテンコートやジョン・ペトルーシがよく出ていました。あとはちょうど、チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホが出始めた頃でしたね。その後、付録でDVDが付くようになった時はめちゃくちゃ嬉しかった! 今のBlu-BiLLioNではポップな音楽をやっているんですが、自分の下地になっているものがメタル系なので、どうしても隠せないんですよ。

YG:冒頭から激しいマシンガン・トークですね。このまま昔の話から現代に遡って行くと時間が掛かりそうなので、とりあえずBlu-BiLLioNの作品の話からお聞きしましょうか(笑)。

宗弥:すみません!(笑) よろしくお願いします。

YG:私がBlu-BiLLioNに触れたのは2ndアルバム『GENESIS』だったんですが、まず耳を惹いたのはとても明るい曲調でした。暗いコード進行やメロディーも部分的には出て来ますが、基本的には躁状態の音楽というか。

宗弥:なるほど。確かに自分が今までやって来たバンドの中でも、一番明るいとは思いますね。バンドって複数の人間の集合体ではあるけど、方向性を大きく決めるのはヴォーカルだと思うんです。ミケ(vo)の声って、とても明るくて個性的なんですよ。だから彼の声に合わせて曲を作れば、自ずと明るい曲になる。バンドとしても夢や希望というメッセージを伝えることをテーマにしていて、迷っている人の背中を押せるような曲調にするよう意識していますね。

YG:ただそんな中にも、先ほど話されたようなメタル成分がほんのり漂っていて…例えば「コノセカイ」のソロ。コード進行はメジャーKeyですが、フレーズの紡ぎ方はネオ・クラシカル的ですよね?

宗弥:そうなんです。自分的にはイングヴェイ・マルムスティーンとかクリス・インペリテリのようなイメージで、頭からフル・ピッキングで火が点いたように弾きまくるというか。ギター・ヒーローへの憧れが非常に強いので、そういったものを自分なりに消化して提示したいんですよね。今の時代の子たちには、それがむしろ新鮮に聴こえるんじゃないかと思うんですよ。

YG:これをハーモニック・マイナー・スケールで弾いてしまうと“そのまんま”ですが、メジャーなスケールに置き換えることで、少し沖縄風にも聴こえますね。

宗弥:和のテイストのある音階というのが、今の自分の流行りでもあるんです。だから歌のメロ

ディーを作るにしても、最近はそれをテーマにしているところがありますね。

YG:なるほど。ギター・ソロで言うと、2曲目の「Miss Mermaid」。ピアノ中心のジャズ的な曲ですが、その中でアルペジオを上手く構築したり、リズムにヒネリを加えたりしながら、頭で考えて作っているという印象を受けました。実際はどうですか?

宗弥:自分の中には「安定して80点取れる作曲法」というものが何となくあって、それに合わせて展開を考えれば、一応曲を書くことはできるんですよ。ただそれだけでは飽きが来るので、じっくり考えて変化を加えようと思ったんです。ここでこういうリズムが来たら面白いだろうなとか、こんな歌メロがあったらビックリするだろうな…と。ギター・ソロに関しても同じで、『GENESIS』に関してはほとんど最初のデモ段階から、ソロをガッツリ入れた状態で他のメンバーに渡していましたね。「俺はこれで行くから、よろしく!」みたいな(笑)。