マイケル・アモットとクリストファー・アモットのハモリ方が自分の記憶のどこかにあった
YG:構成音を理論的に考えながら弾くんですか?
宗弥:昔、ジャズを少しかじっていた時期があって、例えばスコット・ヘンダーソンならこういうテイストで弾くんじゃないかとか、イメージしながらプレイすることはあります。
YG:スコット・ヘンダーソンはかなり大胆に長くスケール・アウトすることも多いですが、宗弥さんはそこまでアウトするタイプではないですよね。
宗弥:まあ、自分なりの“外し”という感じですね。スコットの域まで外しちゃうと、ちょっと怖過ぎてどうしたらいいか分からない(笑)。まあそんな意味で、頭で考えながら作ったソロと言えます。
YG:ジャズ風と言うと、「キミコレクション」もそうですよね?
宗弥:そうですね、でもあっちはもうちょっとブルース寄りという感覚。多少ジャズ的にスケール・アウトしているところはありますが、むしろ息を吸って吐くようなイメージというか、音符を呼吸のように捉えることを意識しました。ブルースのソロって、歌えるフレーズが多いですよね。リッチー・コッツェンなんかは、自分のソロを歌いながら弾くじゃないですか。そういうイメージにしたかったんですよ。
YG:例えば「モノクロの花」はメロディーを大人しく弾くソロのように聴こえますが、実は変わったポジション移動などを細かくしていますよね?
宗弥:そうですね。キコ・ルーレイロやジョン・ペトルーシのような、プログレ的な移動が好きなんですよ。「これ、何のスケールに当てはまるのかな?」と考えさせるような動き方とか。ソロのどこかにサプライズが欲しいんです。
YG:でも楽器を弾かない人なら、自然に聴けてしまうフレージングではありますよね。ちょっとでも楽器をかじっている人がライヴで観たら、「そんな変わった弾き方なんだ!」と驚くという。
宗弥:「変な指の動き!」って言われそうですね(笑)。おっしゃる通り、自然に聴けるギリギリのラインでフレーズを作るのが、自分ではお洒落かなと思っています。
YG:「Sincerely yours」のソロも、なかなか凝った作り方をしていますよね。これは3声のハモリですか?
宗弥:2声なんですが、最初は3度でハモっていたのが5度になったりオクターヴになったりするので、たくさん重なっているように聴こえるんだと思います。これはアーチ・エネミーから学んだ手法ですね。「Bury Me An Angel」(’96年『BLACK EARTH』収録)がまさにそうなんですが、あの曲のマイケル・アモットとクリストファー・アモットのハモリ方がすごく独特で。意識して拝借したわけじゃないですが、自分の記憶のどこかにあったんでしょうね。
YG:まさかメロディック・デス・メタルが元ネタとは、誰も思わないでしょうね(笑)。続いて、曲作り全体の話について聞かせてください。先ほど、デモの時点でかなりカッチリとしたものを作ると言っていましたよね。
宗弥:そうですね。自分の曲に関しては、そのままリリースできると思えるレベルまで作り込むことが多いです。ギターやベースはもちろん実際に弾いて、ドラムもちゃんと叩けることを前提としたフレーズを打ち込んでいるし、あと昔ピアノも習っていたので、鍵盤もしっかり作り込みます。
YG:DAWソフトは何を?
宗弥:アップルの“Logic”です。けっこう前のヴァージョンで、確か“Logic 7”ですね。アップデートのタイミングを逃したというか(笑)。以前やっていたバンドでも、すべての楽器をしっかり作り込むことが多かったんですよ。デモの段階で作ったピアノ音源が、そのままCDに収録されたこともありますし。
YG:ただBlu-BiLLioNの音楽って、ギターのプライオリティがそれほど高くはないですよね。歌が中心で
あるのはもちろんですが、その次に来るのはキーボードなのかなと。
宗弥:そうですね。それがバンドの特色だと思っていて、ヴィジュアル系ではキーボードがいる
バンドがけっこう珍しいんですよ。特に『GENESIS』ではキーボードを中心に作った楽曲が多かったですね。敢えてそれを狙っているというか。