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インソムニウム&ウィスパード 2017来日インタビュー

インタビュー&撮影●奥村裕司 Yuzi Okumura

インソムニウム feat. マーカス・ヴァンハラ&ヤニ・リマタイネン

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ゴシカルなメロディック・デス・メタル路線で人気のインソムニウムは、’02年にアルバム・デビューを飾り、これまでに7枚のアルバムをリリースしているヴェテラン・バンド。そのラインナップは’11年以来ずっと不動だが、メイン・ソングライターのヴィレ・フリーマン(g,vo)はあまりツアーに出ないことで知られており、前回と同様にまたもや彼の来日は叶わなかった…。しかし今回、その代役として元ソナタ・アークティカ〜現ケインズ・オファリングのヤニ・リマタイネンがやって来たのは、大きなサプライズとなったのではないだろうか。しかもヤニは、リード・ギタリスト:マーカス・ヴァンハラのインタビューに同席してくれたのだ。まるで長年のコンビかのように、ステージで抜群のコンビネーションを見せていた2人は、オフでも実に仲睦まじい様子だった…!!

ヤニと一緒に弾けばピッタリ合う

YG:昨日(5/20)の大阪公演はいかがでしたか?
マーカス・ヴァンハラ(以下MV):凄く良いショウだったよ。いつも大阪では、ショウの後に馴染みのロック・バーに行くんだが、ガッツリ呑みまくって、寝て、起きたら見事に二日酔いで──そして結局は、次の日も同じことの繰り返しだ(笑)。今回のメンツで日本をツアーするのも面白かったよ。(オープニング・アクトの)ARESを除き、殆ど全員がフィンランド人だったからね。

YG:マーカスは以前、“FINLAND FEST”にも出演したことがありますよね?
MV:ああ。インソムニウムでは’12年の“FINLAND FEST”に出たし、’13年にもオムニウム・ギャザラムで出演した。あっちはあっちで、フィンランドの音楽エキスパートが集まるイベントだったね。’13年はナイトウィッシュがトリだったから、会場の規模も大きかった。ソールドアウトの(新木場)スタジオコーストでプレイ出来た、あの夜のことは忘れられないよ。

YG:ところで、今回ヤニが来ることになった経緯を改めて教えて頂きたいのですが…?
ヤニ・リマタイネン(以下JL):呼ばれたから来ただけだよ(笑)。
MV:そりゃそうだな(笑)。
JL:マーカスとは2〜3年前、“LIVE NATION”のパーティーで知り合ったんだ。話をしているうちに、2人とも同じ街に住んでいることが分かってね。でも、一度も会ったことはなくて…。
MV:そうそう。500メートルぐらいしか離れていないのに!
JL:それで、ビールを呑みながら連絡先を交換し、「今度またビールを呑みに行こう!」となったのさ。
MV:その後は勿論、何度も呑みに出掛けたよな?
JL:うん、何度も(笑)。そしたらある時、彼から連絡があったんだ。「ヴィレ(フリーマン)の代役が必要だ」とね。僕は「勿論やらせてもらうよ!」と返事をした。
MV:実はその前に、一緒にアコースティック・ギグをやったことがあってね。2本のアコと地元のシンガーでカヴァー曲ばかりプレイするショウだったけど、凄く楽しかったんだ。

YG:初めてヤニをインソムニウムに迎えたのはいつでしたか?
JL:確か、ロシアでのショウが最初だったと思う。多分2年前…いや1年半前のことかな。今年もヨーロッパ・ツアーの半分で一緒にプレイしたよ。僕が忙しいか、ヴィザが間に合わないなどの理由で参加出来ないこともあるけど、誘いはしょっちゅう受けているんだ。
MV:そうだな。9月頃に行なわれる北米ツアーにも、きっとヤニは付いてくることになるだろう。

YG:ヴィレはなぜ来られなかったのでしょう?
MV:彼の人生は変わっていて、インソムニウムで活動しつつ、同時に科学の道を歩んでもいる。進化生物学を研究しているのさ。そこで俺達は、彼には勉強を続けてもらい、可能な時だけライヴに参加してもらえばイイということにしたんだ。でも、ヤニみたいなヤツと一緒にプレイ出来るのは嬉しいね。だから、全く不満はないよ。

YG:ヴィレはメイン・ソングライターだったと思いますが…?
MV:そう。殆どの曲を書いている。ニーロ(セヴァネン/b)と俺も書くけど、残りはみんな彼だよ。確かにメイン・ソングライターだし、このバンドのブレーンだな。

YG:それでも、バンドはこれでウマく回っているのですね?
MV:まぁね。だんだんおかしな状況になってきているけど…。前回の北米ツアーにもヤニを連れて行くつもりだったんだけど、彼のヴィザが間に合わなくて、あの時は元アーチ・エネミーで、サンクチュアリでもプレイしていたニック・コードルが代わりに入って(ヴィレの代役を)やってくれたよ。アメリカ人ギタリストを起用したというワケだね。あとは、フィンランド人ギタリストのカリ・オッリに頼むこともある(※前回来日にも参加)。ステージの俺の反対側には、いつも誰かしら違うギタリストが立っているのさ(苦笑)。

YG:今回は40分で1曲という大作(’16年『WINTER’S GATE』)をプレイしているので、ヤニは以前よりも大変だったのでは?
JL:そう、あの曲はとっても長いんだ! 1曲4〜6分なら大したことないけど、40分もあると大きな課題に感じる。だからパート1、パート2…と小分けにして、少しずつ取り組んでいき、最後に全体を通してプレイしてみた。勿論、ヴィレも力になってくれて、譜面を渡してくれたから、耳コピはしなくて済んだよ。ただ、(インソムニウムの曲は)殆どのパートで2本それぞれが違うことをやっているから、時々どっちを弾けばイイのか分からなくなってしまう…!

YG:今回のツアーはかなりギャラを弾んでもらわないとワリに合いませんね?(笑)
JL:そういえば、まだお金の話をしていなかったな(笑)。もしかしたら、逆に俺が彼等に幾らか払うことになるかもしれないけど…!
MV:そんなに高くないから心配しないでイイよ(笑)。

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YG:当然、ヤニはヴィレのパートを任されているんですよね?
JL:そうだよ。マーカスのパートを覚える必要はないからな(笑)。

YG:スタイル的にヤニが元々やってきたこととは異なると思いますが、メロディック・デス・メタルやブラック・メタル的なプレイも特に問題ないですか?
JL:どれも“音楽”なんだから、ジャンルは違っても同じことさ。確かに、僕がいつもやっている音楽ほど速くてエネルギッシュな曲はない。でも、難しいと感じるパートはあってね。運指で指をかなり広げるパートがあって、それはキツいんだ。それでも、こんな機会が持てたことを楽しんでいるよ。以前はバンド名と1曲ぐらいしか知らなかったのに、彼に会ってから、「一体このバンドは何だ?」「どういう音楽をやっている!?」と思いながら曲を聴くようになったんだ。そして、サポート・メンバーの話をもらってからは、さらに聴き込むようになったね。

YG:CDを聴いて参考にすることもありますか?
JL:殆どすべての曲の譜面をヴィレにもらっているから、その必要はない。でも、コイツ(マーカス)は怠け者で、譜面なんてひとつとして用意してくれないんだ!
MV:俺はヤニの絶対音感を信じているから(笑)。
JL:そういえば、マーカスの家で曲をひと通りおさらいしたこともあったな。

YG:ヤニがソロを執る曲もあるのですか?
JL:実は(ヴィレの)ソロ自体、1ヵ所しかなくてさ。だから、1回のショウでソロを弾くのはそこだけだ。フレーズに関しては自分なりに弾いているよ。元々のソロがどうだったかも知らない。
MV:どっちかというと、ヴィレはバンドの中ではリズム・ギタリストだからね。
JL:リズム・ギターはイイね〜。バッキングを刻みながら、コイツが大変なパートをせっせとコナしているのを見ているだけでイイんだから!(笑)
MV:ヘドバンしながら弾いているから、どうせ見えないだろ?(笑)
JL:そうかもな(笑)。

YG:マーカスから見て、ヴィレとヤニのプレイ・スタイルはどう違いますか?
MV:ここは社交辞令を言った方がイイのかな?(笑) それとも本音でOK? 勿論、ヤニはとても腕が立つギタリストだ。基本的に間違えることはない。それに、アプローチがヴィレとは異なっていて、俺と近い。お互いリード・ギタリスト同士で、タイプ的には……
JL:すぐハシる!(笑)
MV:そう! 一方、ヴィレはレイドバックしたタイプだから、俺とヴィレだと弾くタイミングが若干ズレるんだよ。でもヤニと一緒に弾けば、ピッタリ合う!

YG:せっかくヤニを起用しているので、ソロ・パートを引き伸ばして掛け合いをやるとか…そういうのは?
MV:このバンドの音楽は、ギターでクレイジーになるタイプじゃないからなぁ…。2人でフォーメーションを組んで、一緒に動いたりもしてみたことがあるけど、この手の音楽には相応しくなかった(苦笑)。
JL:自分のバンドだったら、バカみたいに弾きまくることも出来るけどね(笑)。
MV:でも、数少ないヴィレのリード・パートにスポットが当たるのはイイと思う。ちょっとだけリードをハモらせるところもあるよ。俺とヴィレだと、ただパワー・コードを弾いていることが多いけど、ヤニとプレイすることでよりヴァラエティを出せるからね。

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