去る8月14日、千葉・幕張メッセで開催されたメタル・フェスティヴァル:DOWNLOAD JAPAN 2022。海外アーティスト8組を含む久々のライヴ・イベントとなり、多くのオーディエンスが会場に詰めかけた。当日はYG取材班もライヴ観戦を行ない、大いに楽しませていただいたのだが、発売中のヤング・ギター2022年10月号に掲載している写真レポートとは別に、イベントの様子を振り返る座談会形式のレポートをウェブ上でお届けしよう!
久々の来日フェスに長〜い入場列、先陣を切ったBAND-MAID〜青春が蘇るTHE HALO EFFECT!
斎藤新吉:“DOWNLOAD JAPAN 2022”(以下DLJ)は、’19年の第1回から3年振りの開催でした。その間には、’20年にも開催が決まっていたものの、コロナ禍により延期され、今回ようやく…というか、まさに待望の第2回となりましたね。
奥村裕司:多くの観客──特にHR/HMファンにとっては、洋楽中心のライヴ・イベントとしては久々だったのでは? もしかすると、コロナ禍以降の初ライヴになった…という人も少なくなかったかも。
斎藤:自分も洋楽ライヴとしてsは(コロナ禍以降)初でした。
蔵重友紀:私は昨年末、コロナ禍での異例の来日となったキング・クリムゾンを観に行っていますが、DLJ当日、メタルTシャツ姿の人達が大勢会場へ向かうのを見ていたら、ワクワクしてきましたね。これだけ多くの人が集まるイベント自体が本当に久しぶりだったし、みんな同じような思いがあったのではないでしょうか?
斎藤:当日の朝から、ライヴが始まるのを待つあの感覚って久々で、フェス開始直前には「これだよなあ…!」という気分になりましたね。奥村さんは直前にドイツで“Wacken Open Air”を観てきたので、ドイツと日本のフェスの違いも感じたのでは?
奥村:渡独の直後だったので、マスクの有無とか、声出し禁止とか、その辺のギャップが……。
蔵重:確かに、全然違いますね。ヨーロッパなどの最近のライヴ動画を観ると、もうマスクなしでの観戦が当たり前になってて。
奥村:ただ、ヨーロッパは色々と解禁し過ぎ、日本は未だ厳格過ぎ…で、両極端という印象もあります。まあでも、そもそもの国民性の違いもあるし、日本ではまだマスクなしでのライヴ観戦は難しいかと。DLJでは外国人観客もそこそこ見かけましたが、みんなマスク着用してましたね。
斎藤:コロナ禍以降のメタル・フェスとしては初なので、個人的にも「どうなるのかな?」という感はありました。あと、台風が接近していた…というタイミングでもあったし。
奥村:司会の方が、幕間に何度も何度も“ダイヴ禁止”“モッシュ禁止”と言い続けていましたが、実際のところどうだったんでしょう?
蔵重:歓声は結構聞こえていたような…。「Make some noise!」と煽るバンドもいましたし。
斎藤:SNSで、モッシュや声出しが“起こっていた”というのは見ましたが、さほど混乱はなかったような。
奥村:コロナ感染の懸念が動員に影響するかとも思いましたが、お客さんはガッツリ入っていましたね。
蔵重:序盤から多かったと思います。
奥村:入場列の長さにも驚いたし。
蔵重:アレは凄かったですね、どこまで行っても最後尾が見えなくて。
斎藤:その入場列の長さが影響して、BAND-MAIDが観られなかったワケですが…(苦笑)。
蔵重:並んでいる時、外に漏れてくる音を聴くしかなくて…。
斎藤:同様に観られなかった人も多かったのでは? いきなり残念でしたが、あとから「アグレッシヴに攻めた選曲で良かった!」とは教えてもらいました。
蔵重:歓声が凄かったのも聞こえてきましたね。
斎藤:で、我々が入場して間もなく、ザ・ヘイロー・エフェクトのショウがスタート。しかし、メンバーのキャリアを考えると、出番が早過ぎませんか?
奥村:彼等は“Wacken Open Air”にも出ていましたけど、そっちはトリ後(最終演奏者)の出番だったので、あのメンツで「こんなに早くに?」とビックリでした。
斎藤:(デビュー・)アルバム(『DAYS OF THE LOST』)の発売がフェス直前だったものの、バンドの出自に対する興味に加えて、音楽性も日本人向けだったのもあって、前評判はかなり高かったのに…。
蔵重:確か、公演の2日前にリリースされたんですよね。
奥村:メロデス・ファンならずとも、大注目のバンドですよね? 殊にイン・フレイムスの初期からのファンは涙チョチョ切れでしょう。
蔵重:私は、初期イン・フレイムスはリアル・タイムではないのですが、凄く楽しめました。このデビュー作をよく聴いて行った…というのもあったし。
斎藤:イェスパー(・ストロムブラード:g)がいなかったのは残念ではあるけど、まあ仕方ないか…。
奥村:イェスパーについては、イン・フレイムスのファンでも、ライヴでは観たことがない…という人が少なくないのでは?
蔵重:私にとっても、イェスパーは“伝説の人”ですね…名前はよく出てくるけど、お目にかかれることがないというか。
奥村:代わりに起用されていたのは、ザ・ホーンテッド、ウィッチリーのパトリック・ヤンセン。
斎藤:彼はアット・ザ・ゲイツにも参加していたので、2バンド掛け持ちは大変だったでしょうね。ただ、リードは弾かないものの、異様に存在感があるのは相変わらずでした。
奥村:リズムの鬼ですから!
蔵重:(2バンドで)ギターも替えて、大活躍でしたね。
奥村:どっちもセッション参加で、自分のバンドじゃないから、初めてやる曲ばっかりで…。それなのに、あれだけコナせるのは流石です。そういえば彼は、“Wacken Open Air”でも同じく1日2ステージを見事にやってのけてました。
蔵重:まさにヤンセン様々ですね。
斎藤:相方のニクラス(・エンゲリン)も安定感ありました。ソツない…とも言えますが(笑)、長いことイン・フレイムスにいただけあって、あの手のメロデスならではのリード・ギターの雰囲気はバッチリだったかと。あと楽曲的には、まだアルバムが出てから数日で、何曲か先行して公開されていたとはいえ、浸透度はまだまだではあったんですが、どの曲も、始まった途端に懐かしい感じがするという。自分はメロデス直撃世代なので。
奥村:音はまんま往年のイン・フレイムスですから。「あれっ…未発表曲か?」って(笑)。
斎藤:そういう意味では、ファンとしても温かい目で観ていた…というか。バンドとしては、まだガッチリしてない感もありましたが。
奥村:確か、日本に来る前に5回ぐらいしかライヴやっていなかったので…。
斎藤:イン・フレイムスの曲をやってくれるかと思っていたんですけど、なかったですね。
蔵重:セット全曲、自身のデビュー作からでした。海外ではやっていたりするのでしょうか?
奥村:いや、これまでの全公演、基本的に同じセトリだったみたいです。まだツアー初めて間もないし、あまり余裕ないのかも。
斎藤:イン・フレイムス曲については、きっとみんなも期待していたでしょうけど──よくよく考えてみたら、元メンバーによるバンドとはいっても、参加作品が被っているメンバーはいないから、やらなくて当然だったのかもしれません。
奥村:今後、ヘッドライナーで持ち時間が長いライヴだと、何かセルフ・カヴァーをやってくれるかも?
斎藤:どの時期の曲をやるかにもよりますが──ミカエル(スタンネ)が歌うとなると、1st(’94年『LUNAR STRAIN』)から限定になる?
奥村:ミカエルが歌う『CLAYMAN』(’00年)曲も聴いてみたい気が…。
蔵重:今後、実現するとイイですね。
奥村:単独公演に期待しましょう。