『ルークに質問!』YGウェブ×スティーヴ・ルカサー 特別映像Q&A

『ルークに質問!』YGウェブ×スティーヴ・ルカサー 特別映像Q&A

TOTOやRINGO STARR & HIS ALL-STAR BANDといったバンドをはじめ、数多のセッション参加で名高い世界クラスの大ヴェテラン・ギタリスト:スティーヴ・ルカサーが、YGウェブ&本誌公式YouTubeチャンネルの限定企画に特別出演! 当サイトで事前に募集した、読者やファンからの様々な質問に映像で答えてもらうというスペシャルなイベントが実現した。全4回にわたってお届けしていこう。

2021.6.30… 第2回の動画を公開!
2021.7.6… 第3回の動画を公開!
2021.7.12…第4回(終)の動画を公開!

なおルークは、ギター・スクール:アメリカンギターアカデミーにおける、奨学金コンテストの審査員を務めることが決まっている。興味のある方は下記もチェック!

初回のVol.1は奏法に関するトピックだ。ピックの持ち方やフレージングなど、動画と譜面、解説文を交えてルークのプレイ・スタイルに迫っていこう。

Vol.1 ルークの奏法の秘密に迫る!

ピックの持ち方は? バッキングやリードによって切り替えている?

最初の質問は、右手のフォームに関するもの。「ピックの持ち方は?」「リズムとリードで弾き方を変えるのか?」というのが、その趣旨だ。で、まずはピックの話から。デビュー以来、一貫して小さくて厚めのジャズ・ピックを愛用しているルーク。…といっても彼がシーンに登場した’70年代後期は、まだこの手のピック自体が珍しかった。確か初期の頃は、元々はマンドリン用に作られたピックをギターに流用していたはずだ。なお持ち方については映像の通り。ごく一般的な握りと言えるが、「ある特定のパートではピックと指先の両方を同時に弦に当てることがある」というのは、特筆すべき点。ルーク曰く「レイ・パーカーJr.から盗んだ」とのことだが、小さいピックを使っていることも決して無関係ではないはずだ。

で、そんなピックの持ち方で弾いたリズム・プレイの例が、Ex-1。A7を想定したカッティングだ。どの音符がピックと指先を弦に当てたものかはさすがに判別できないが、こうしたピックの持ち方&弦に対する当て方によって、映像のようなトーンが生まれていることは理解しておきたい。

Ex-1ルーク’s ピッキング・スタイル:バッキング

※譜面に触れると拡大されます
Ex-1

なおリズムとリードでの弾き方の違いについては、ルークは「特に考えたことはない」とのこと。実際映像を観る限りでは、リズム時とリード時ではほとんどフォームが変わらない。リード時には、リズム時のストローク幅が単純に小さくなるだけ…というのが彼のスタイルだ。とはいえEx-2のプレイを観ると、3小節目頭のように特定の部分ではアップのみで弾いているのが分かるはず。本人的にはほとんど無意識なのだろうが…、ダウン時とアップ時のトーンの違いを理解しているからこそ、フレーズによってピッキングを使い分けているのだろう。

Ex-2ルーク’s ピッキング・スタイル:リード

※譜面に触れると拡大されます
Ex-2

3連符を使ったフレーズやアーミングのコツを知りたい!

2つ目の質問は、3連フレーズでのアーミングについて。まずアーミング云々の前に、3連系のフレーズが彼のスタイルの特徴の1つになっていることを把握しておきたい。単純に弾く頻度が多いというだけではなく、同じ3連でもリズムにヒネリを加えたものが多い、というのが肝だ。「Child’s Anthem」(1978年『TOTO』収録)や「Goodbye Elenore」(1981年『TURN BACK』収録)のキメに見られる“頭抜きの3連”や、ボズ・スキャッグスの「Breakdown Dead Ahead」やTOTOの「Rosanna」(1982年『TOTO IV』収録)の2ndソロに登場する2音パターンのフレーズを1フレット分ずつ下降する指癖的なスケール・アウト・フレーズなどを思い浮かべれば、納得していただけると思う。

で、こうした3連系のフレーズに関しては、本人も「意識しているわけではない」とのことだが、アーミングとなると「考えたこともない」そうで(笑)。そう言いつつも弾いてくれた例がEx-3。フリー・テンポなのでリズムが分かりづらいが、1小節目の半拍3連の部分でアームを使っているのが分かるはず。…ただ、ここでのアーミングはトレモロ・バーを操作する一般的なものではなく、ユニットを叩いたもの。そう、ジェフ・ベックがよくやるアレだ。筆者の記憶では、少なくとも80年代半ばまでルークは、この手のプレイはやっていなかったはず。おそらくジェフ・ベックとの交流が深まった後、ルークも自身のプレイに取り入れるようになったのだろう。

Ex-33連符とアーミング

※譜面に触れると拡大されます
Ex-3

Vol.1 奏法解説●横山裕吾 Yugo Yokoyama

Vol.2 セッション時代の仕事ぶりを教えて!

第2回は前回の続きから。他の楽器とギターのバランスの取り方やスタジオ・セッション時代の仕事ぶり、TOTO「Rosanna」誕生エピソードなど、昔話に花が咲きます。

Vol.3 リズム隊に求められるものは?

第3回はこちら。「その日集まったメンツからしか生まれないグルーヴがある」…ルークがベース&ドラムのリズム・セクションに求めるものとは? トリロク・グルトゥやアレサ・フランクリンなど他ジャンルにわたる過去の共演歴も振り返ります。

Vol.4 友人を語る&日本へのメッセージ

第4回、ラストとなる今回は、ザ・ビートルズのメンバーやマイケル・ジャクソン、レミー(モーターヘッド)など交流のあったミュージシャンを振り返りつつ、日本のファンへメッセージを残してくれました。