正しいチューニング方法のコツは?:YG TUNE-UP FACTORY 第2回 メンテナンス編

正しいチューニング方法のコツは?:YG TUNE-UP FACTORY 第2回 メンテナンス編

チューナーは大きく分けて2種類

みなさんは普段、ギターをチューニングする時にチューニング・メーター…いわゆるチューナーを使っていることでしょう。プレイする前に音を合わせておくことは、正しい音程を把握するために大切なだけでなく、ギターの状態を正しく把握するためにも重要なことです。今回はあらためて、正しいチューニングの方法とコツを解説していきましょう。

まずチューナーには、大きく分けるとギター・ケーブルをつないで使用するタイプと、ギターのヘッドなどを挟んで使用するクリップ・タイプの2種類があります。前者はギター本体から音声信号を出力するジャックが付いているモデル、つまり俗に言うエレクトリック・ギター(エレアコ含む)に使うことが出来ます。内蔵マイクがついているものは、アンプで増幅させた音を拾うことでもチューニングが可能です。一方クリップ式はギター本体の振動をチューナーが感知して動作するので、エレクトリック系はもちろん、ピックアップのない純粋なアコースティック・ギターにも使えます。

ケーブル式チューナー
ケーブル式チューナー
クリップ式チューナー2
クリップ式チューナー(アコースティック・ギターに装着)

他には音叉もありますが、現在ではあまり使われていません。

音叉
音叉(440Hz)

ケーブル式はブリッジ側のピックアップを使用

では、ケーブルをつなぐタイプから見ていきましょう。ギターの出力からチューナーの入力にケーブルをつないだ後、チューナーの電源を入れれば準備完了。早速音を合わせていきますが、大抵の製品にはチューナー上で音を合わせる弦を1本ずつ選択するモードと、自分が弾いた弦の音をチューナー側が自動的に判断してくれるオート・モードという2つの機能が付いています。変則チューニング対応機能もありますが、ここではそのお話は置いておいて、一般的なレギュラー・チューニングを行なう際のコツをお伝えします。

まず、チューニングに全く慣れていない初心者の方は、合わせる音を1本ずつ選択するモードが良いでしょう。例えば6弦を合わせる時は、自分の弾いた音が6弦開放E音より高いか低いかを示してくれます。ある程度慣れてきたら、チューナー側が12音すべての中から現在のピッチを判断してくれる自動(クロマティック)モードを選択すると便利。

後は各弦をピッキングしてチューナーの表示を見ながらペグを回していくだけなのですが、ここでまず確認しておくべきことがあります。1つは、ピックアップが2基以上搭載されたギターの場合。セレクターで一番ブリッジ寄りのピックアップに切り替えた上で、そのピックアップのヴォリュームが絞られていないことを確認してください。

これは、音量が小さいとチューナーの反応が悪くなるためです。選ばれているピックアップ側の音量はしっかり上げておきましょう。また、音を出す際は他の弦を鳴らさないように注意しつつ、チューニングする弦だけしっかりとピッキングしましょう。

ピックアップの音量
選択されているピックアップのヴォリュームを上げておく

クリップ式はギターの振動を妨げないように

次はクリップ・タイプについて。まず、チューナー本体のクリップ部をギターの好きな部分に挟んで留めます。振動を感知してチューニングする構造ですので、挟むことが可能な場所であればどこに付けても機能します。ギターが最も振動している部分を挟み込めば、メーターがしっかりと反応してくれるでしょう。ただ、クリップが開閉する幅はそれほど広くないため、大抵の場合ヘッドに取り付けるのが一番有効です。

クリップ式チューナー1
クリップ式チューナー(エレクトリック・ギターに装着)

そして弦をピッキングして音合わせするわけですが、先ほどと同じで他の弦を鳴らさないように、なおかつ目的の弦はしっかりと強く弾いて下さい。また、振動を感知する構造のため、ネックやボディーを必要以上に握り込んだり体に密着させたりすると、木材の振動がミュートされて反応が弱くなります。そのため、ギターに体や手が触れ過ぎないよう配慮することが大切です。

ギターにあまり触らない
ボディーやネックからなるべく体を離して弦の振動を妨げないようにする

ポリフォニック・チューナーとそのメリット

ところで、ギターは6本あるうちのどの弦から音を合わせていけば良いのでしょうか? これは、その時一番音が外れている弦から合わせるのが効率が良いといえます。例えば6本ある弦のうち、6弦が大きくシャープしているせいで他のすべての弦が少しずつフラットしている状態があるとします。この時、本来なら6弦だけ合わせることで他の弦もぴったり合うのに、1弦が低いと判断して1弦を合わせてしまうと遠回りになってしまうのです。

特にフロイドローズのような可動式ブリッジが搭載されたギターは、一つの弦の張力が変わると他の弦も大きく影響を受けてしまい、いつまでたってもチューニングが合わないという事態が起きやすくなります。また、可動式のブリッジでなくとも、弦の張力の増減によってネックの反り具合は変わり、他の弦のチューニングも微妙に影響を受けます。ですので、どのギターでも最も音程が外れている弦から合わせた方が、全体のチューニングを終えるまでにかかる時間を少なくすることができます。ここで大幅な効率アップを実現してくれるのが、近年登場したポリフォニック・チューナーです。

ポリフォニック・チューナーとは、通常のチューナーの機能に加えて、すべての弦の音程を同時に確認することができる機能を持ったチューナーのことで、こちらにもケーブル式とクリップ式の両方がラインナップされています。通常のチューナーは合わせたい弦のみをピッキングして音程を確認し、1本ずつ音を合わせていくわけですが、ポリフォニック・チューナーの場合は6本の弦をすべて“ジャラーン”と鳴らすと、それぞれの弦の音程が同時にディスプレイに表示されます。全体の中で最も正しい音程からずれている部分を1回のストロークで判断し、その弦から合わせることができるので、全体のチューニングを早く終えることができるようになります。

TCエレクトロニック - Polytune 3
Polytune 3 by TC Electronic (TC Electronic.comより引用)

1回だけのチューニングでは正確に合いません

さて、どのタイプのチューナーを使っても、すべての弦を1回ずつチューニングしただけで完了ではありません。先述した通り、初めの1本を神経質なほどに完璧に合わせても、他の弦を合わせることでネック全体にかかる張力が増え、1本目の弦の音程は確実に狂います。最初は少しくらいズレていてもいいので、一気に全部の弦を大雑把に合わせてしまいましょう。そして2回目は、1回目よりは正確に合わせます。ネックの強度により、2回目でしっかり合わせ終わるものもありますが、大抵の場合は3〜4回は同じ作業を繰り返すことで全部の弦がしっかり合うようになります。

また、開放弦はピッキングするとアタック直後に音程が上ずりやすいものです。12f上で出すハーモニクスを使うと、開放弦よりもサステインが長くなりますし、アタック直後の音程も上がりすぎないため、効率良く音を合わせられるのでお薦めです。

ハーモニクス
12fのハーモニクス音を鳴らして低音弦のチューニングを合わせる