ライヴでやりながら曲を発展させる方が、自然なアレンジになる(健一)
YG:8曲目「Zombie Paradise 〜地獄の舞踏曲〜」は、奇妙な雰囲気のダンス・チューン。この曲のリズム・ギターは、2本の“抜き差し”がポイントになっていますね。
結生:そうですね。ギターに関しては、引き算が上手くできていると思います。昨年、“THE ZOMBIE 〜地獄に堕ちた野郎ども〜”と題して、ゾンビのメイクをして廻るツアーをやったんですけど、その時からアレンジは既に作られていたんですよ。「Hide-and-seek」もそうです。
YG:つまり、ぶっつけ本番を何回か繰り返してアレンジを固めるということですか?
結生:そうですね。最初の頃はかなり違ったアレンジだったけど、そこから研ぎ澄ませて完成させたというか、自然と正しくなったというか。
健一:ライヴでやりながら曲を発展させる方が、自然なアレンジになるというのが分かりますね。
結生:“間”が自然になるというか。“Pro Tools”中心で曲を作っていると、例えば瞬間移動しないと弾けないようなアレンジも、平気で作れるじゃないですか。
健一:ライヴで練っていくと、その不自然さがなくなりますね。例えば1fから12fに移動すれば、当然その間にスライドの音が入ってくるじゃないですか。そういうごく普通の自然さというか。
YG:なるほど。9曲目「Carnival」、このリズムはサルサやサンバのイメージですか?
結生:狙っているのはそうだと思います。「Carnival」というタイトルですし。
YG:ただ日本人がやると、若干盆踊り的な要素が入ってきますよね(笑)。
結生:日本人っていうか、ネロがやるとそうなってしまいますね(笑)。サンバってブラジルでしたっけ? この曲は決してブラジルではないです。思いっきり日本ですよね。
YG:ベース・ソロの後に来るギター・ソロは、異なるフレーズを突発的に重ねて行くような構成ですね。まるでテレビをザッピングしているような。
結生:そういう作り方ですね。これはライヴでいかに上手くやるかが困りどころです。
YG:10曲目「Station 07」は、アコーディオンのサウンドが印象的でした。
結生:こういうレトロな雰囲気の曲だと、やっぱりアコーディオンの音色は合いますよね。弾いているのは、THE CHERRY COKE$のTOMOさん。ただMERRYの中で弾いてもらうと、かなり違ったものになるじゃないですか。それが面白いなあと思います。THE CHERRY COKE$はアイリッシュな感じなのに、MERRYがやると“和”なんですよね。
YG:それに続くのが「千代田線デモクラシー」。この曲に限らずですが、お2人はスカ的なバッキングを弾くことが多いですよね。
健一:その手のフレーズは自分が弾くことが多いんですけど、他のメンバーが作ってくる曲も、確かに入っていることが多いですね。
結生:「NOnsenSe MARkeT」もそうですけど、自然に入れちゃうんですよね。それがMERRYの王道になっているのかも知れないですね。
YG:コード進行は起承転結がハッキリとした正統派なものですが、それもMERRYらしさの1つですよね。
結生:この曲は特にそうですよね。ネロが作る曲はそういうパターンが多いです。1回ごとにキッチリ完結してから次に行きます…みたいな(笑)。
健一:1小節ずつコードが変わって行く感じだよね。
結生:完結して、次に行って、また完結して…。彼のクセというか、コード進行が同じ曲が多いんですよ(笑)。多分、ネロの中で“最高のコード進行”というのがあるんじゃないですかね。それが自然に出て来るんだと思います。
YG:ギター・ソロでは、タッピングを用いた構築系のフレーズが出て来ますね。
結生:ネロがデモに入れて来たフレーズを、自分なりに弾いたパートですね。最近、ソロを弾く時はちょっと難しいぐらいじゃないと、つまらなくなって来ているんですよ。ツアーの最初の頃はチャレンジだけど、終わる頃には余裕で弾けるようになっている…みたいなのが理想です。と言っても、このフレーズは遅いタッピングなので、全然難しくないんすけど。