サーカス・マキシマス:マッツ・ハウゲン来日インタビュー2019「今後は、数曲作ってはリリースするのが最善かもしれない」

サーカス・マキシマス:マッツ・ハウゲン来日インタビュー2019「今後は、数曲作ってはリリースするのが最善かもしれない」

’19年10月、ノルウェーのプログレ・メタラー:サーカス・マキシマスが再来日! ’12年の“LOUD PARK”出演から実に7年──長らく待たされたのはバンドもファンも同じで、初の単独公演実現に双方の喜びが爆発し、東名阪を廻った“NINE LIVE JAPAN TOUR 2019”は、どこも大盛況に。東京では2公演が行なわれ、そのいずれもがソールドアウトになった。

彼等は今回、ツアー・タイトルからも分かるように、’12年リリースのサード『NINE』の全曲再現ショウを敢行。文字通りの熱演・熱奏に、両日とも大いに盛り上がりまくり、バンドとして、この7年間で演奏力も表現力も存在感も各段にアップさせ、全方位で進化・成長を遂げてきたことが、パフォーマンスの端々から窺えた。

ここにお届けするのは、東京公演2日目のショウ前に行なったマッツ・ハウゲン(g)への直撃インタビュー。『NINE』再現にまつわるあれこれ、来日直前に発売となったEP『ISOLATED CHAPTERS』(’19年)について、そして勿論、来日機材についても、マッツにガッツリ語りまくってもらった…!!

サーカス・マキシマスは“僕が唯一メタルなプレイをするバンド”

マッツ・ハウゲン

YG:“LOUD PARK 12”以来の来日ですね! 単独としては初ですが、3公演を終えた今の気持ちは?

マッツ・ハウゲン(以下MH):大阪も名古屋も素晴らしかったけど、昨晩(東京初日)は特に凄かった! (会場内が)暑くて気絶しそうになったのはともかくとして(苦笑)、これまでで最高のショウになったのは間違いない。多くの観客が来てくれたし、みんな歓声が大きくて、とにかく圧倒されたよ。おかげで何ポンドか痩せられたんじゃない?(笑) ひたすら汗をかきまくるのはイイことだ。体にも良いし、ヘルシーだからね。

それにしても、(初来日から)もう7年も経つのか…。初めて日本でプレイしたのは“LOUD PARK”で、みんなすぐに日本が好きになったよ。「またすぐに戻ってくるぞ!」と思っていたのに、いつの間にか7年も過ぎてしまった。でも、次に来る時は7年も空けないつもりだから…!

YG:今回のツアーでは『NINE』の全曲再現をやってくれましたね?

MH:(’18年に)キャメロットのトーマス・ヤングブラッド(g)から、「一緒にツアーをやろう」と声が掛かってさ。その時、オスロの大きな会場でプレイすることになり、何か特別なことが出来ないか…と考えていたら、トーマスから「『NINE』を完全再現してみたら?」と言われたんだ。それがキッカケだったよ。彼はあのアルバムを気に入ってくれていたんだ。当然、僕達も好きだよ。『NINE』は僕達にとって特別なアルバムだ。それで、その時のライヴをレコーディングし、リリース(’19年『NINE LIVE』)することにもなったのさ。

その後、日本の所属レーベルと話し合って、初期のアルバムを再発してもらえることにもなった。しかも、こうして日本へ戻って来ることも出来たんだから、完璧だよね。実は、ライヴ・アルバム(『NINE LIVE』)がフィジカルのCDでリリースされるのは日本だけなんだ。だから、(『NINE LIVE』と)同じ内容のライヴをやろうと計画を立てたんだよ。

オフ

YG:過去に、『NINE』に限らずアルバムの再現ライヴをやったことは?

MH:あるよ。1stアルバム(’05年『THE 1ST CHAPTER』)に伴う最初のショウでね。でも、それは一度きりだった。当時は、キーボード奏者も今とは違っていたしね。あのアルバムを完全再現したのは、もう14年も前のことなんだな…。

YG:『NINE』の再現では、曲と曲をSEでつないだりして、ライヴならではの演出を加えていましたね?

MH:SEはどうだか分からないけど、より長いイントロを加えた曲はあるよ。あと、曲のエンディングを変えたりも。やっぱり、ライヴの時は変えたいからね。僕が違うことをやる場合もある。それは即興で…だけど。

YG:ギター・ソロは、オリジナル通りに弾くことが多いのでは?

MH:大半はCD通りだけど、時には違うこともある。いつも同じ…というワケじゃない。まぁ、もう8〜9年も前にレコーディングした曲だからね。ギターの弾き方そのものが、今と当時では違うんだ。要は“なるようになる”のさ。さて、今夜はどうなるかな?(笑)

YG:「この曲はオリジナル通りに弾く」と決めている曲はありますか?

MH:インプロをやることに寛容な曲もある…ということさ。一方、その曲ならではのソロが入っている場合もある。そういった曲はアルバム通りに弾くべきだ。例えば、「Architect Of Fortune」は殆ど毎回、同じプレイになるけど、「Game Of Life」は変えられない。「Reach Within」も「I Am」も、大体において同じだね。時々変える曲は…そうだな、「Namaste」とか「Used」とか。レコーディングでどう弾いたのか思い出せない曲もある(笑)。そういう曲は、(録音)データを探して確認しないといけない。「The One」も、ちょっと変えているかな。「Burn After Reading」も変えるけど、それは幾つかのパートを忘れているからだ(苦笑)。そして、「Last Goodbye」はほぼアルバム通りだけど、少し変える。勿論、変えちゃいけないパートもあるんで、主要パートは必ず同じにするよ。そこを変えると別の曲になってしまうから。

あと、ライヴが始まってすぐだと、まだ動きが鈍く、体が温まっていない…という時もあるかな? だけど、曲が進むにつれて、だんだん(体が)熱くなってきて、より動けるようになる。その頃には、指もすっかり温まっていて、難しいパートだってガンガン弾けるんだ。まぁでも、普段はほぼアルバム通りに弾くよう心掛けているよ。

YG:『NINE』のレコーディング当時から、ギターの腕前がずっと上がっているから…という理由で、違うソロを弾くことは?

MH:それもあるな。当時とは、また違うプレイヤーになっているからね。今の僕は、もうシュレッドしまくりなギタリストではない。地元オスロでは、(マキシマス以外にも)色んなバンドでプレイしているしね。ポップスもあれば、ストレートなロックもあって、スタジオ・ワークを沢山コナしているんだ。そこでは、全く別世界のプレイが求められる。逆に言えば、サーカス・マキシマスは“僕が唯一メタルなプレイをするバンド”と言えるかもね。だから、長年そうやってプレイしていく中で、自分のスタイルも変わっていったんだと思う。それに応じて、テクニックも変化していったんだろうな。トーンは以前より良くなったと思うけど、それほど速いプレイをするワケではない。時には勿論、速弾きもするけど。基本的には、メロディックなプレイに傾倒しているんだ。

マッツ2

YG:最新EP『ISOLATED CHAPTERS』から、10分を超える大作「Phasing Mirrors」もプレイしてくれましたね? ライヴでは本ツアーが初披露だったそうで?

MH:そうだよ。大阪の初日公演が正真正銘の初披露となった。だから、(名古屋公演を経た)昨日は3度目だね。但し、あの曲が書かれたのはもう随分と前のことなんだ。元々は、『ISOLATE』(’07年)に収録されるハズだったから…。最初にレコーディングされたのは『NINE』の頃で、ドラムを録って、ギターを録って──その時点で他の曲と聴き比べてみたら、「う〜ん、合わないなぁ」となり、それ以来、ハードディスクに保管したまま忘れられてしまっていたのさ。だけど今回、「アレをレコーディングしたらイイんじゃない?」という話になってね。それで、もう1曲(「Endgame」)と共に仕上げたのさ。

YG:「Phasing Mirrors」は元からあの長さだったのですか?

MH:ほぼ変わっていないよ。自分でドラムを打ち込み、ベースもキーボードも弾いて、家でデモ音源を作った時から…ね。でも、あとから付け加えたパートもあったな。もしかしたら、最終的なヴァージョンは元から2分ぐらい長くなっているかもしれない。

YG:「Endgame」の方は、ライヴでやろうという話にならなかったのでしょうか?

MH:うん。まだリハすらやっていないよ。それに、「Phasing Mirrors」の方がよりヘヴィだし、「ライヴで弾くと楽しいだろうな」と思ったんだ。セットリストにもしっくりハマるしね。「Endgame」はもっとスローで、エピカルだけど、元気が出るような曲ではない。もしかしたら、次回はやるかもしれないけど。

YG:EPのための「Phasing Mirrors」と「Endgame」のレコーディングは、同時期に行なったのでしょうか?

MH:「Endgame」を先に録ったよ。曲が書かれた時期は同じだけどね。「Endgame」は、以前のデモとは全く別物になっている。コーラスが違うんだ。最初に書いたのは’03年頃で、聴き返してみたら良いとはいえない状態で、変えなきゃいけないところがあったんでね。ちなみに、これはある曲のフォローアップ・ソングなんだけど…知ってる?

YG:「Glory Of The Empire」(『THE 1ST CHAPTER』収録)ですね?

MH:そう! 同じメロディーが入っているんだ。「Glory Of The Empire」は僕が曲を書き、マイケル(ミカエル・エリクセン:vo)が歌詞を書いたんだけど、彼は映画『グラディエーター』を観て感化され、それを詞にした。一方、「Endgame」は『ゲーム・オブ・スローンズ』に影響されている。そういった点では、同じアプローチを採ったと言えるね。

マッツ&マイケル