サーカス・マキシマス:マッツ・ハウゲン来日インタビュー2019「今後は、数曲作ってはリリースするのが最善かもしれない」

サーカス・マキシマス:マッツ・ハウゲン来日インタビュー2019「今後は、数曲作ってはリリースするのが最善かもしれない」

今後は、数曲作ってはリリースするのが最善かもしれない

YG:では、機材の確認を。今回、日本へ持ってきたギターは?

MH:アイバニーズ“RG1527”だ。以前、“LOUD PARK”で弾いたのと同じギターさ。僕のメイン・ギターで、’09年に北欧のみで発売された限定モデルだからか、他に持っている人を見たことがない。ピックアップはディマジオ製“Evolution 7”──スティーヴ・ヴァイのシグネチュア・モデルと、ジョン・ペトルーシのシグネチュア“Liquifire”が載っていて、あと、指板をスキャロップ加工してもいるよ。スキャロップにすることで、よりグリップ感が得られるんだ。

YG:あれ? “LOUD PARK”の時のギターとは、ピックアップが違っていませんか? あの時は、“Tone Zone”と“Air Norton”だったような…?

MH:ああ、それは青いギターだね。あの時は(アイバニーズ“RG1527”を)2本持ってきていたんだ。

YG:なるほど。では、今回のもう1本──赤い6弦は?

MH:あれは日本のスタッフから借りたんだ。“RG550”だね。彼には、予備の7弦ギターも用意してもらって、ドロップDの2曲:「Burn After Reading」と「Last Goodbye」でそれを弾いたよ。

マッツ:アイバニーズRG550

YG:昔からずっとアイバニーズ一筋ですか?

MH:ああ、ずっとね。

YG:それはスティーヴ・ヴァイの影響で?

MH:MH:そういうところもあるかな。初めて買ったアイバニーズのギターも、スティーヴ・ヴァイのモデル──7弦の“Universe”だったし。確か、’92年ぐらいだったと思う。結局、壊れてしまって、まだ若かったから修理に出すお金がなく、リペアマンの人に売ってしまったけどね。ギグ・バッグ(ギター・ケース)があまり丈夫ではなく、石畳の歩道に落とした時にネックが折れてしまったんだ。ただ、スティーヴ・ヴァイのモデルは、あとになって再び手に入れたよ。

YG:それ以来、メイン・ギターはずっとアイバニーズ?

MH:そう! サーカス・マキシマスではアイバニーズしか弾かないよ。他のバンドでは、フェンダー・ストラトキャスターを使っているけどね。

YG:聞いた話によると、日本に到着した時、ロスト・バゲージに遭って大変だったそうで…?

MH:そうなんだ。おかげで、大阪と名古屋では、日本で用意してもらったギターを弾くしかなかった。まぁ、昨日の東京公演(初日)には間に合ったけどね。でも、僕の(ギター)ケースにはちょっとヒビが入っていて、「やられた…!」と頭を抱えてしまったよ。ただ幸いにも、開けてみたらギターは何の問題もなかったんだ。

YG:それはそれは…。チューニングは6弦と7弦でどうなっていますか?

MH:どっちもスタンダード・チューニングだよ。さっき挙げた2曲だけは(7弦を)ドロップしているけどね。

YG:「Burn After Reading」や「Last Goodbye」などのアコースティック・ギターは、同期で流しているのですよね?

MH:アルバムの音源をそのまま使っている。以前はマイケルが(アコを)弾いてくれたんだけどね(…と「Last Goodbye」のイントロを弾く)。 これは元々、マイケルが考えたんだよ。「Burn After Reading」のイントロも彼が弾いた。このパートだよ(…と弾く)。 今は同期音源で流す方が楽だけど、今後はまた違った形でプレイすることもあるかもしれないな。

YG:アンプは何を使いましたか?

MH:Line 6の“Helix”(Helix Floor)だ。エフェクターもすべてそれで賄っているよ。

YG:以前は確か、(フラクタル・オーディオ・システムズ)“Axe-FX”を使っていましたよね?

MH:どっちも気に入っているんだけど、“Helix”はより小型で、それでいてディスプレイが大きくて、ユーザー・フレンドリーな気がする。サウンドもだけど、インターフェイスが気に入ったんだ。

マッツ:Line 6 Helix Floor
マッツの足元に置かれていた、ペダルボード型のLine 6“Helix Floor”。下段のフットスイッチにはそれぞれ“CLEAN” “DIRT” ‟RYTHM” ‟SOLO”といった名前が付けられており、用途に応じて使い分けていたようだ。
マッツ:E-Bow
インタビューの話題には出てこなかったが、ライヴでは”E-Bow”を使用するシーンもみられた。

YG:ところで、『HAVOC』(’16年)に続くフル・アルバムですが、もう準備には取り掛かっていますか?

MH:沢山の人からそれを訊かれたよ(苦笑)。でも、なかなか時間が取れない…というのが正直なところでさ。今ではメンバー全員に子供がいるし、みんなそれぞれに(音楽活動以外の)仕事を抱えていたりもする。だから、アルバムのためにじっくり曲を書く状況には、なかなかなれなくて…。それに、ノルウェーやヨーロッパ、あとアメリカでもそうだろうけど、昨今は時間をかけてアルバムを完成させたところで、注目されるのはわずか3〜4曲だ。ストリーミングなどで、特にそういった傾向がある。だから──恐らく今後は、数曲作ってはリリース…というのを常時続ける方法が最善かもね。

2〜3曲作って、4ヵ月ぐらい空けて、また1曲作って、それから数ヵ月空けて、さらに2曲リリースして…とする方が、次のフル・アルバムが出るまでに2年待って…というよりもイイんじゃないかな。僕達はそういう計画を立てている。来年(’20年)からは、フルレンスのアルバムを1枚出す代わりに、1曲書いては出し…ということを繰り返すかもね。勿論、いつかアルバムを出すこともあるかもしれない。そこのところは、まだ分からないなぁ。

YG:音楽を取り巻く状況はどんどん変わってきている…ということですね。先ほども話に出ましたが、『ISOLATED CHAPTERS』も『NINE LIVE』も、日本以外では配信のみ…だそうで。

MH:そうだね。

YG:ノルウェーではもう、CDはあまり売れないのでしょうか?

MH:うん。スウェーデンだって同じだ。アメリカは少しマシかもしれないけど、ヨーロッパはダメだな。誰もCDなんか買わないよ。CDショップだって、1軒も残っていないし。ガソリンスタンドに行けば、運良くCDが置いてあることもあるけどね。あと、TVゲームの売り場に、少しだけCDを置いているところもある。酷い状況だ。悲しいね…。その点、日本はまだ大丈夫だな。すべてにおいて、ここがベストだよ。食べ物だって、何だってそうさ!(笑)

YG:現状、新曲はどれぐらい書けているのですか? アルバムという形ではなく、1曲ずつ出していこうとすると、作曲のペースも落ちてきますか? 

MH:いや、それは変わらない。同じだと思う。というか、これまでだって、特にアルバムを作る計画を立てたことはなかったんだよ。常に曲を書いていて、それをレコーディングし、充分な数になったら聴き返してみて、アルバムになるだけの曲が揃ったら、そこから先へ進んで、プロデュースを施してリリース…といった感じさ。でも、もし新しいEPのリリース日が設定されたら、それに向かって書いていこう…となるだろうな。毎日集まって、〆切を決めて、作業を進めていくんだ。それが僕達にとっての、今後の活動計画かな。色々とクールなことを考えているから、楽しみに待っていてくれ…!

マッツ3
ステージ

RELEASE INFO

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CIRCUS MAXIMUS / Nine Live + Isolated Chapters EP/
CIRCUS MAXIMUS

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