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2019年の来日公演モロモロを振り返る:パート1

2019年の来日公演モロモロを振り返る:パート1
インタビュー編集&写真●奥村裕司 Yuzi Okumura

特別ゲスト:Yama Darkblaze(ETHEREAL SIN/RAKSHASA)

1月〜3月:ヴォイヴォド、ラビリンス、レフュージ、ウィッシュボーン・アッシュ…

斎藤新吉(YOUNG GUITAR):'19年も沢山のバンドが来日しましたが、本誌ではなかなかフォローしきれない公演も沢山あったので、一気に振り返ってみたいと思います。1月はY&Tから始まった…という感じですが、そのY&Tやウリ・ジョン・ロートは本誌に記事が掲載されているので、ここでは割愛ということで…(※以下、本誌やウェブ記事として既に取り上げているバンド/アーティストは基本的に除外)。

奥村裕司:1月にはヴォイヴォドが来ましたね〜。

斎藤:カナダのヴェテラン・スラッシャー。単独来日は初でした。

奥村:その前はスラドミ(“THRASH DOMINATION”)で2回かな?

斎藤:そうです。'08年と'14年ですね。

奥村:今回は渋谷O-WESTで1公演だけだったとはいえ、満員の入りでした。

斎藤:久々の来日で、5年振りぐらいですもんね。

奥村:ギターのチューウィがさらに大活躍してました。’14年加入のロッキー(b)とは旧友というのもあって、アクティヴに2人でショウを引っ張っているという印象が。互いに向かい合って弾いたり、ドラム・ライザーからジャンプして一緒に飛び降りたり…と、過去のヴォイヴォドでは考えられないこともやってました。

斎藤:ギターの腕前もさらに上がっていたとか?

奥村:ジャジーな面が以前より出ていたし、ブルージーな新味も感じられて、まだまだ進化が止まらない。故ピギーの手法はしっかり受け継ぎながら、より自分を出すようになったというか。

斎藤:その辺のバランス感覚は以前から良かったけど、さらに…というのが凄いですね!

奥村:あとチューウィは、いつの間にか日本語が上手くなってて、MCでも「オヒサシブリデスネ!」と言ったり。ヴォーカルのスネイクに向かって「オヤジニナッタ」と言い放ったり(笑)。ギター・ストラップもドラえもんのデザインでした。

斎藤:流石は、『TATSUMAKI』('09年:副題は“VOIVOD IN JAPAN 2008”)という(ライヴ)DVDを出したバンドですね。

奥村:ところが、その“タツマキ”(「Tornado」)はやらず…。

斎藤:確か、2度目のスラドミでもやらなかったのでは?

奥村:やってなかったと思います。でも、何で…? そういえば今回は、デビュー35周年記念ライヴとの触れ込みも、『RRROOOAAARRR』('86年)と『TARGET EARTH』('13年)からは1曲もプレイされずで…。

斎藤:まぁ、曲数が多くて、セットリストを組むのも一苦労なんでしょう。

奥村:ただ、『ANGEL RAT』('91年)から「The Prow」、『THE OUTER LIMITS』('93年)から「The Lost Machine」といったレア曲もやってくれました。

斎藤:その辺をやるだけでも、ファンはめっけモンだったでしょうね〜。

続いては、2月の“Italian Melodic Fest”ラビリンスエルヴェンキングトリック・オア・トリートが来日しました。

ラビリンス:2019年2月来日

エルヴェンキング:2019年2月来日

トリック・オア・トリート:2019年2月来日

奥村:出ましたイタリア祭!

斎藤:ラビリンスは10年以上ぶりでしたっけ?

奥村:'04年が初来日で、その次が'07年なんで、かなり久々ですね。今回は名盤『RETURN TO HEAVEN DENIED』('98年)の全曲再現をやってくれました。

斎藤:観れなかったんですよ…。今回は、ブルドーザーのオッサン(ヴォーカルのA.C.ワイルド)は出なかったようですね?

奥村:幸いにも(笑)出てきませんでした。驚いたのは、すっかりテク集団になってたこと。

斎藤:以前は、そこそこ粗かったような…。

奥村:オラフ(トーセン)もアンドレア(カンタレッリ)も流麗に弾きまくってました。あと、ドラムがジョン・マカルーソになって、彼のパワーも凄かった。

斎藤:何気に、オラフは(ラビリンスでは)初来日なんですよね?

奥村:そうか…! 過去2回は脱退している時期で、ピエール・ゴネラがいたから…。

斎藤:オラフが初めて日本に来たのは、'05年にヴィジョン・ディヴァインで…でしたから。

奥村:突然ですが、ここで特別ゲストが。Evoken de Valhall Production(以下EVP)の社長、Yama Darkblazeさんです〜。

Yama Darkblaze

Yama Darkblaze:どうも、こんにちは。

奥村:Yamaさんといえばラクシャーサですが、この“Italian Melodic Fest”では、トリック・オア・トリートのショウにラクシャのお百合さん(vo)が客演してましたね?

百合/RAKSHASA

Yama:元々は、トリック・オア・トリートの(アレッサンドロ)コンティ(vo)から、「今回のツアーでは、全日程ラクシャーサにオープニング・アクトをやってもらいたい」とオファーがあって。でも、スケジュールの都合などで出演出来なくて、「じゃあ、百合だけでも」ということになったんですよ。ゲスト出演したのは東京公演だけでしたが。

奥村:なるほど。2人でデュエットした「Pegasus Fantasy」は、スゲー盛り上がりましたね! ただ、他にも『RE-ANIMATED』から何曲かプレイされたものの、『ドラゴンボール』なんかは、イタリア語オリジナル曲だったから、日本人には全く馴染みのない曲だったという…。

Yama:そうそう。もう少し馴染みのある選曲だったら良かったんですが…。

奥村:でも、『鋼鉄ジーグ』は日本版オリジナルのイタリア語ヴァージョンだったので、オッサン世代には響いたのではないかと。

斎藤:日本のアニメといえば、エルヴェンキングもアニメ好きだそうですね?

奥村:ヴォーカルのダムナは、日本で『怪物くん』のフィギュアを買ったと言ってました(笑)。バンドとしては、以前よりもライヴがコナれてきてましたね?

Yama:そう思います。2度目の来日でしたが、彼等はヨーロッパでどんどん人気が上がってきていて、ライヴの本数も増え、かなり経験を積んできてますから。

斎藤:続いては、同じく2月に来日したレフュージ

奥村:オープニング・アクトとして、トライ・ステート・コーナーが帯同してましたね。

斎藤:あ〜、前座には間に合わなかったんですよ…。

奥村:ブズーキ奏者がいて──でも、あまり民族色(ギリシャ)は強くはなくて、結構(メタルというより)ロック寄りだったかも。

斎藤:レイジのラッキー(dr)がいるんですよね?

奥村:そう。トライ・ステート・コーナーではヴォーカルです。歌いながら、やたらとエア・ドラムしてました(笑)。

斎藤:レフュージは、マンニの巧さが印象的で。初来日の時は、完全にノスタルジー目線で観てましたが、バンドというのは、続けるとこうなるんだな…と。

奥村:確かに、最初は“同窓会”バンドとして始まったのに、オリジナル・アルバムも出して、本気出してきた…という感じですね〜。ホント、巧いギタリストになってました。50代になっても伸びしろはある…!

斎藤:その『SOLITARY MEN』('18年)からは、5曲ぐらいやってました。

奥村:その他には、当然レイジの往年の代表曲・人気曲も網羅!

斎藤:僕はマンニ時代のレイジを生で観ていないので、比較は出来ないんですが、あれだけ名曲が多くて、演奏もイイとなると、まだこの先も長く続けられるバンドになりそうですね。

奥村:クリス(dr)のパワーが落ちてないのも良かった。

斎藤:ピーヴィ(b,vo)とクリスは、今後もレイジと同時進行していくようですし、レイジとレフュージで、交互に毎年(日本へ)来てくれると嬉しいんですけど(笑)。

さて、3月に入って──まずは、アナール・ナスラックヴァーテイン

アナール・ナスラック:2019年3月来日

奥村:後者は“激臭”が…。

Yama:臭い以外に思い出せる要素がないワケではないのですが、あれは衝撃でしたね(苦笑)。

斎藤:何が臭いんでしょう?

奥村:海外では、客席に豚の血を巻き散らすそうで。その臭いが衣装に染み込んでしまってるんですよね?

Yama:正確に言うと、血の臭いではなく、動物由来のタンパク質が腐った臭いです。

奥村:本人達は演奏中、臭くないんでしょうか…?

Yama:既に麻痺してますね〜、確実に。そういえば以前の来日時に、大阪で豚の血を撒いたことがあるみたいですよ。

斎藤:うわ〜。

奥村:初来日は('11年の)“Extreme the DOJO”で、あの時はステージに祭壇みたいなのを設置してただけだったで、それ(血撒き)って…2度目の来日の時かな?

Yama:そうです。トンデモないですよ(苦笑)。

奥村:アナールは、相変わらず演奏が激巧で。ただ、やたら観客にステージ・ダイヴを要求するという。

Yama:やはり根がハードコアなんで、モッシュとかダイヴは大好きなんです。

奥村:でも、(ダイヴァーが)ステージに上がってきたら、演奏の邪魔にならないんでしょうか?

Yama:そうですよね〜。

奥村:「Stage diving, please」って、丁寧に頼むところが英国紳士?(笑)

Yama:(笑) ともあれ──興行の主催側としては、ステージに上ってきた観客をボコったことがあるヴァーテインとは真逆のスタンスながら、色々気が気じゃなかったです…。

斎藤:あと3月は、ヴェテランの来日も続きました。ウィッシュボーン・アッシュユーライア・ヒープです。僕はどちらも観られませんでしたが…。

奥村:それは残念…!

ウィッシュボーン・アッシュ:2019年3月来日

斎藤:ヒープは直前まで何とか…と思ってたんですが。ウィッシュボーンは『ARGUS』('72年)の再現をやったんですよね?

奥村:2部構成のショウで、第1部が“再現”でした。アンディ・パウエルの相棒は、'17年加入のマーク・エイブラハムズで、アンディのギターが泣きまくり!

斎藤:ヒープはどうでした? ジャズ・クラブで、1日2公演だったそうですが。

奥村:ビルボードライブで、食事をしながら生演奏を観るというパターンですね。

斎藤:1回の公演は短めなんですか? 「July Morning」をやってない回もあったようですが。

奥村:確かに、2回公演を両方とも観て、それで通常の1回分…という感じだったのかも。そういえば、ヴェイダーのピーター(g,vo)がお忍びで(?)観に来てましたね。

斎藤:それは意外な…。しかし、どっちのバンドも、最近は何度も日本に来てくれていますが、以前は考えられなかったですよね?

奥村:ヴェテランのバンドは年齢的にも、飛行機で長時間の移動を伴う日本公演はキツいと思います。ありがたいことですね〜。