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2019年の来日公演モロモロを振り返る:パート2

2019年の来日公演モロモロを振り返る:パート2
インタビュー編集&写真●奥村裕司 Yuzi Okumura

特別ゲスト:Yama Darkblaze(ETHEREAL SIN/RAKSHASA)

前半戦はこちらから。

7〜9月:クリプトプシー、メタル・チャーチ、クレイジー・リックス...

斎藤新吉(YOUNG GUITAR):後半戦──下半期に突入します。7月は、まずクリプトプシー。僕はこれも行けませんでした…。

クリプトプシー:2019年7月来日

奥村裕司:クリプはやっぱり、フロ(モーニエ:dr)が凄過ぎましたね。初来日時ほどのインパクトはなかったけど、その後もどんどん若手含め凄いドラマーが沢山出てきても、未だにフロは別格という感じで…。

斎藤:ギターのクリスチャン(ドナルドソン)も巧いけど、流石にフロの凄さにかすんじゃいますね。

奥村:この時、クリプって1時間ぐらいしか演奏しませんでしたが、それはバンドから「それぐらいで」と言ってきたのですか?

Yama Darkblaze:いえ…ウチからのオファーは、最低70分だったんですけど(苦笑)。

奥村:そうだったんですね〜。

斎藤:続いては、NWOBHMのタンク。オリジナル・メンバーがひとりも残っていないので、来日前から賛否両論ありました。

奥村:いや…実際、ヴォーカルもドラムも巧いタンクなんて、違和感アリまくりでしたよ(笑)。ただ、ライヴ自体は素晴らしかったし、集客も悪くなかったし、盛り上がりも上々でした。ギター2人(ミック・タッカー&クリフ・エヴァンス)はなかなか存在感ありましたし。

斎藤:自分は信者といえるぐらい大ファンなんですけど、正直言って、初来日した時('99年:NWOBHM20周年イベント“Metal Crusade '99”)は、無理やり盛り上がるしかないぐらいグダグダ感が強かったし、確か4枚目('84年『HONOUR & BLOOD』)の曲もやらなかったので──今回は別物と考えて楽しみました。オリジナルに近い要素が全くない分、吹っ切れて楽しめた…というか。

奥村:ヘタに(オリジナル期に)似せようとしなかったのが、かえって良かったんでしょうね。

斎藤:(オリジナル・シンガー&ベーシストの)アルジー(ワード)の声を脳内補完している暇もなかったです(笑)。

奥村:それに、バンドとしては別物でありながらも、ミックとクリフが常に“ブリティッシュ”な空気感を醸し出してたのも良かったかと。

斎藤:続いて、8月に入りまして──メタル・チャーチ

奥村:2度の来日キャンセルを経て、ようやく…の再来日でしたね。しかも、首魁カート・ヴァンダーフーフ(g)が日本初上陸!

斎藤:というか、これまでに来日経験があったのは、ヴォーカルのマイク(ハウ)だけだったという。ギター誌の人間が言うのもアレですが、“マイク・ハウ万歳!”なライヴでした。

奥村:マイクは復帰から4年ほど経っていたとはいえ、50代半ばとは思えないぐらい、また、しばらくブランクがあったとは思えないぐらい、声に張りがあって、動きもキレッキレ。個人的には、カートのギター・サウンドが初期作と同じで、そこにも感動しました。

斎藤:カート自身、マイク時代の曲は当時(アルバムでもライヴでも)弾いてなかったワケで…。それなのに、オリジナルに近くて「これだ!」と思いましたよ。

奥村:「Watch The Children Pray」のギター・ソロは、ちょっと鳥肌モノでしたね〜。一方のリード・ギタリスト:リック・ヴァン・ザントはどうでした?

斎藤:ソツなく…という感じでしょうか。

奥村:悪くはないけど、特にプレイに個性もなく…。「Badlands」のソロは、オリジナルに忠実に弾いて欲しかった。1曲、長くリード・パートを伸ばす曲がありましたよね?

斎藤:「No Friend Of Mine」ですね。

奥村:それも長いだけで、あまり見せ場らしい見せ場はナシ…。

斎藤:まぁ…元々バンド的には、プレイヤーの腕で魅せるタイプではないですからね。

そして、8月末から9月アタマにかけて、EVPの恒例イベント“EVOKEN FEST”が開催されました。

奥村:斎藤クンとしては、グレイヴ・ディガーの久々の来日を楽しみにしていたワケですが…。

グレイヴ・ディガー:2019年8〜9月来日

斎藤:これまた仕事で忙しくて行けず…。初日がダメだと分かった時は、翌日は絶対に…と思ってたのに、やっぱり無理でした。もはや、完全にトラウマになっています…。

奥村:グレイヴ・ディガーのために生きてる…と言っても過言ではないのに。

斎藤:グレイヴ・ディガーは持ち時間が50分と短かったものの、両日で演目を少し変えて、演奏もパフォーマンスも最高だった…そうですね?

奥村:貫禄たっぷりでした。クリス(ボルテンダール:vo)の気合いの入り具合もなかなかで。

斎藤:セトリに関しては色々と賛否あったようですけど、“今のグレイヴ・ディガー”という意味では、悪くなかったかと。

奥村:「Rebellion(The Clans Are Marching)」は勿論、「Lionheart」とか「Excalibur」もガッツリ盛り上がってました。でも、日本で最も知名度のある『THE REAPER』('93年)から1曲もナシ…は、ちょっと勿体なかった。誰かが進言すべきだったのかも。

斎藤:とはいえ、前回来日した時からは、地元ヨーロッパでの地位も全然違ってますから。近作からの曲を推すのは、バンド的には当然と考えていたのでは?

Yama:そうですね〜。

斎藤:日本のHR/HMファンの大半が、『THE REAPER』しか聴いてないなんて、全く知らなかったでしょうし(苦笑)。

Yama:あと──今年も“EVOKEN FEST”は、他にもわんさかマニアックなバンドが勢揃いしてましたよ。

奥村:ノーステイルは評判良かったですね〜。

ノーステイル:2019年8〜9月来日

斎藤:ビル“日本人彼女募集中”ハドソン(g)のいるバンドですね?(笑)

奥村:ビルはずっと日本に来たくて来たくて仕方がなかったみたい。その嬉しさがプレイに出てました。適度にオールドスクールなシュレッダーで、いかにもヤング・ギター向きのギタリストです。'80年代のギター・ヒーローといった雰囲気もあって。

Yama:ビルはその後のギター・クリニックなどを含めて、ガッツリ日本を堪能してましたね〜。

奥村:ヘッドライナーのエイルストームも、とにかくお客さんの盛り上がりが凄まじかったですね。他のバンドとはファン層がかなり違ってましたけど。フォーク・メタルというのともまた違ってて、所謂パーティー・ピーポーみたいな若者が多かったですよね?

エイルストーム:2019年8〜9月来日

Yama:完全にパーティー・メタル系でした。彼等としても、“ペイガン”といったジャンルに入れ込まれるのを、凄くイヤがってましたし。

奥村:そして、ギタリストが無駄に(笑)巧い。確か、ハンガリー出身だったかと。

Yama:はい。マーテー(ボドール)ですね。彼は巧いですよ。

奥村:9月はあと、プログレ系ではマグマフォーカスが来日しました。マグマはもうクリスチャン・ヴァンデ(dr)の絶倫っぷりに尽きますが、フォーカスはギタリストのメノ・ホーテスが素晴らしかったです。ヤン・アッカーマンのフレーズを見事に再現していて!

斎藤:お次はクレイジー・リックス。スウェーデンのヘア・メタラーです。驚くぐらいの大人気でした。

奥村:渋谷クアトロが満員で…!

斎藤:しかも、熱心なファンばかり。何となく観に来てる人達もいるかと思ったら、みんなどの曲も歌いまくりでした。

奥村:ギタリストは、レスポール使用とシャーベル使用で、全く違うタイプでしたね。

斎藤:2人ともかなり巧かったですよ。

奥村:ブロンド・ヘアーのイェンス・ルンドグレンがシャーベル、ちょっとワイルド系のクリッセ・オルソンがレスポール…と、ギターの好みも見た目通りで、さらにプレイ・スタイルも、前者がフラッシー系、後者はブルージーな面もあって…と、これまた対照的で。クリッセは、ザック(ワイルド)とかスラッシュが好きなんでしょうか?

斎藤:きっと、そうでしょう。ショウの途中で『ロッキー4 炎の友情』の曲(「Training Montage」)をSEとして流すあたり、趣味趣向が(同じく『ロッキー4』の曲「No Easy Way Out」をカヴァーしていて、ライヴのアウトロに使っていた)ビースト・イン・ブラックに似ているのかも?