ルディ・サーゾ／レスリー・ウェスト『LEGACY』：レスリー／ジャック・ブルースに捧げる“意識”

レスリーとプレイした曲ができてハッピーだったよ

ＹＧ：あなたは「Theme For An Imaginary Western」でベースを弾いていますよね。このアルバムに参加した経緯を教えてもらえますか？

ルディ・サーゾ（以下ＲＳ）：エディ・オヘダ（トゥイステッド・シスター／g）から連絡があって…あいつは俺の大事な友人でね。「レスリーは俺の友だちだった。バンドも好きだった。彼のためにレコーディングしたい」と言って来たんだ。その時点では俺たちの中だけの話で、レコード会社も絡んでいなかった。「ああ、ぜひやろう！ 俺もレスリーが大好きだし、ジャムったりしたことがあるんだ」と答えたよ。

ＹＧ：レスリーとプレイしたことがあるんですね。

ＲＳ：あるイベントでね。ギターがレスリー、ドラムがトミー・アルドリッジで、フロリダで共演したんだ。あれは確か…’89年頃だったかな。レスリーはランディ・ローズにとって、ギター・ヒーローの１人でね。ランディはレスリーのギター・プレイのすべてを愛する大ファンだった…というか、クワイエット・ライオット全体がレスリーの大ファンだった。いや、俺はこのバンドに入る「前」からレスリーのファンだったよ（笑）。ウェスト・ブルース＆レイングは俺のオールタイム・フェイヴァリット・バンドの１つだ。今回のトリビュート・アルバムでも、本当は彼らの「Why Dontcha」を選んでも良かったけど、「Theme For An Imaginary Western」ができてハッピーだったよ。実はレスリーとプレイしたのもあの曲だったしね。

そんなわけだから、勿論やりたいと思ったよ。その後エディが「マイク・ポートノイを確保したぞ」と言ってきた。彼はザ・ワイナリー・ドッグスのレコーディング・セッションでたくさんカヴァーを録音したらしい。その１つが「Theme For An Imaginary Western」だったというわけだ。マイクからは、仮のギターがちょっと入ったドラムのデモ・トラックが送られてきた。曲の構造を把握するためにギターが必要だってことでね。それを受け取った後、エディが今度は「どうしてもディー・スナイダーに歌わせたいんだ。でもあいつはあれこれ忙しくて」と言ってきた。でもディーはすぐに参加してくれたんだ。彼もレスリーの大ファンで友人だしね。それで俺は自分のパートを録音して送って、それにディーが歌を乗せた。後日エディからメールが来て「聞いてくれ！　レスリーのトリビュート・アルバムの企画が進んでいるんだ！」と伝えられた。

俺にとってユニークだったのは、６弦ベースでレコーディングしたことだ。俺が６弦を使って録るのは、これが初めてだったんじゃないかな。「これは６弦ベースを弾いているルディ・サーゾであって、“Cum On Feel The Noize”を弾いているルディじゃない」という表現をしたかったしね。それにレコード会社が決まっていなかったから、好きなように弾ける自由が俺にはあったんだ。加えて俺にとってあの曲がスペシャルだったのは、あれがジャック・ブルースの書いた曲だってこと（註：この曲の初出はジャックの’69年のソロ・アルバム『SONGS FOR A TAILOR』）。この曲はレスリーへのトリビュートだけど、俺としてはジャックへのトリビュートにもしたいと思った。彼はベーシストの俺にとって、昔も今も大きなインスピレーションだからね。それで６弦ベースを弾いた。彼になりきるつもりはなかったけど、彼の音楽へのアプローチの意識を伝えたいと思ったんだ。ここで言う意識というのは、自分らしさに対する信念という意味なんだけどね。俺はこの「意識（consciousness）」という言葉を、自分のテーマとしてよく使っている。バンドっていうのは個人の音楽的な信念をまとめて、体系（システム）を作る方法を持っているものなんだ。ザ・ビートルズ、クリーム、レッド・ツェッペリン、ザ・ローリング・ストーンズもそういうものを持っていた。ジャックの信念の体系は、ベースを弾く上でのユニークなアプローチ方法を俺に教えてくれた。俺はそのユニークさを自分のプレイに反映させたかったんだ。