次世代ガールズ・バンド・プロジェクト：BanG Dream!（バンドリ！）に登場するRoseliaのギター、氷川紗夜役を務める声優としての他、モデルやイラストレーター、デザイナーなどとしても活躍する女性アーティストの工藤晴香が、３月にソロ・アーティストとしてメジャー・デビューを果たした。1stミニ・アルバム『KDHR』（くどはる）ではヴォーカルを務め、各楽曲ごとに異なる表情豊かな歌声を聴かせる彼女に、今ある想いを語ってもらった。
ＹＧ：今回のソロ作品ではシンガーの工藤晴香さんをフィーチュアした形ですが、より等身大の工藤さんを感じられるものになりましたか？
工藤晴香（以下ＨＫ）：そうですね。例えば、Roseliaの時はなるべくキャラクターを演じて活動しているんですけど、キャラを意識して歌ったりパフォーマンスするとなると、「こういうことをやりたい…でも、キャラの性格的にたぶんやらないよね」みたいに考えたりして、引き算と足し算がすごく難しいんです。まぁ、ちょっとした時に素の自分が出ちゃったりすることはあって、そこも一つの見せ場として存在してはいるんですけど。でもソロとなると、感情の部分を含めて全部“工藤晴香”としてやっていくことになりますよね。自分がやりたいことをやるという面では、気持ち的にラクな部分はありますけど（笑）。
ＹＧ：ハハハ（笑）。完成したミニ・アルバム『KDHR』は、工藤さんの歌声によりトーナリティはありつつも、その中でヴァラエティ感もしっかり出ていますね。
ＨＫ：ソロ・デビュー作を出すにあたって、正直、全部激しい曲でいいかなって思ったんです（笑）。だけど最初の作品なので、やっぱり自分のいろんな表情を見せたいなとなり、激しいものを3曲、ミドル・ナンバー2曲、しっとり系のバラード1曲…という形でバランス良くしようと、そこはわりと序盤で固めましたね。
ＹＧ：その中のリード曲が、エッジーでドライヴ感のある「MY VOICE」。工藤さんから作曲者に対して曲のイメージも伝えていったんですか？
ＨＫ：そうですね。例えば、サビは転調してほしいっていうお願いもしましたし、シンセ感が強い曲ではありつつ、ギター・フレーズも印象的なものにしてほしいと伝えて、結果まさにその通りの仕上がりになりました。 他の曲では、ベースのスラップを入れてほしいですとか、そういったリクエストもしましたし。
ＹＧ：ギターだけでなく、いろんな楽器が鳴っているイメージが工藤さんの中にあるわけですね。
ＨＫ：そうですね。そこはバンドをやっていて良かったなって思うところです。
ＹＧ：また、すべての歌詞を自ら手掛けてますね。
ＨＫ：はい。歌詞は自分で書きたかったんですよね。なるべくブレない自分を見せたいなとずっと考えていたので。そこで表現したかったものは“強さ”で…前に進む意志であったり、あきらめない心とか、そういったことを全部楽曲に落とし込んで自分を表現していきたいなって思っていたんです。それと声優の仕事もずっとやってきているので、複数のキャラクターが存在しているように歌ったり、私が今までやってきたことをすべて詰め込んでいるところもあります。
ＹＧ：今回歌詞を書いてみることで、改めて自分のパーソナリティを知ったようなところも？
ＨＫ：ああ、言われてみれば、バラード系の歌詞を書いている時とかは、「私はこんなことを考えてたんだな」っていうような発見はたくさんありましたね。全部を“強い私”っていう風に書くよりも、もっと内に向かった曲とかあってもいいのかなと感じて、すごく自分自身に向き合いながら詞を書けたと思います。
ＹＧ：他の活動中に生まれたアイデアを、ソロに活かせていたりもします？
ＨＫ：ええ。例えばバンド活動をする中で、ギターだけじゃなくてドラムのパターンを思いついたり、ここに“コーレス”（コール＆レスポンス）を入れたいな…なんて思ったりすることもあるんです。でもそれが必ずしもバンドのカラーには合っていなかったりして…、そういったものを自分のソロに落とし込めたらいいなと。逆にソロで培ったものを、他の活動にも還元して活かしていけたらとも思いますね。
ＹＧ：では、完成した『KDHR』は自身の中でどれぐらいの達成感でしょう？
ＨＫ：えーっ…100点満点中100点かなと思います。
ＹＧ：気持ちいいですね！
ＨＫ：いえいえ（笑）。今しか作れないものができたなって感じてるんですよね。1年前の私だったら絶対にこの作品は作れないし、かといって1年後の未来にはきっとこんな初々しいものを作れないだろうし。その頃には細かい部分にもこだわりを持ってそうだなとか（笑）。
