大阪を拠点に活動するdpsが、前作の1st EP『カミカゼ』のリリースから約4ヵ月という、非常に短いインターヴァルで新作『ごめんなんて言葉』を発表した。メンバーの平均年齢は20代前半であるにもかかわらず、彼らの楽曲にはクラシック・ロック的な質感があり、それが他の若手バンドとの大きな個性の違いを創出。それでいてギターの森丘直樹のフレーズは適度にアカデミックに構築され、同時に枠に収まり切らない自由さも感じさせる。また大きく成長を見せ付けたそんな新作について、森丘に語ってもらった。
これまでに使ったアイデアとなるべく被らないように、新たな挑戦をする
YG:『カミカゼ』が今年の6月で、そこからとても短い期間で新作が完成しましたが、これはバンドの中にクリエイティヴィティがあふれているような状態だということですか?
森丘直樹:常にライヴ活動と平行して楽曲制作を行なっているので、これまでに作ってきた曲のストックも、新たに完成した曲もたくさんあったんです。僕自身、普段からインプットを欠かさないようにしているので、アレンジの引き出しも増えてきていて、楽しんで制作に取り組めています。
YG:そんな新作『ごめんなんて言葉』はデジタル配信のみでのリリースで、今の時代のバンドらしい選択ですよね。CDでのリリースと配信のみのリリースの違いに関しては、どういう風に捉えています?
森丘:僕はCDを保有したいタイプなので、正直なところ今回のアルバムもCDでリリースしたい気持ちはあったのですが…。ただ配信だと自宅にいながらでも曲を購入し、その場で聴き始められるというのは強みだと思います。僕もAppleMusicを使っていてその便利さを知っているので。リリースする側の僕たちも時代の流れに適応しなければと思っています…(笑)。
YG:そもそも今作は、どのような作品にしようと考えて制作に臨みましたか? 今までの作品との違いをどこで出そうとしたのでしょう?
森丘:特に「こんなアルバムにしよう」というコンセプトはなく、常日頃から、どの曲がシングル・カットされても良いというくらいのクオリティを追求しながら楽曲制作をしているんですよ。だから今回はこれまでのストックと新たに完成した曲を織り交ぜる形で、アルバムを完成させることができました。僕のアレンジ作業の際のテーマでもある「これまでに使ったアイデアとなるべく被らないように、新たな挑戦をする」ということも常に意識しているので、これまでのdpsの骨太ロックという筋は残しつつ+αのエッセンスを取り入れたことで、また新たなdpsの色を出せたと思っています。
YG:ギター・サウンドについて。森丘さんのサウンドはちょっとリッチー・コッツェン的というか、歪みの粒の適度な粗さとヘヴィさが目立ちますが、何かお手本にしているものはありますか?
森丘:音作りのお手本は特にないのですが、自分の理想のロック・ギターの音は常に頭の中にイメージとして持っているので、いかにしてその音に近付けるかというのは試行錯誤しています。ケンパー“Profiling Amplifier”を使い始めて1年以上経ちましたが、理想の音にかなり近いレベルまで突き詰められたと思っています。