「過去最高のギターが弾けたと自負している」森丘直樹/dps『ごめんなんて言葉』発売インタビュー

「過去最高のギターが弾けたと自負している」森丘直樹/dps『ごめんなんて言葉』発売インタビュー

過去最高のギター・プレイをライヴの熱量で届けたい

YG:5曲目「milestone」、この曲はフランジャーやディレイなどの空間系エフェクトが要所で使われているのが印象的ですね。

森丘:この曲は2年ほど前の、まだdpsがインディーズで活動をしていた頃からある曲で、今回アルバムに入るということでテンポを少し速くして、イントロやリフなどを新たに作り替えました。個人的に今回のアルバムで一番気に入っているリフです。フランジャーは、プロデューサーから「エフェクトを入れてみて」と提案があり、楽器のレコーディングがすべて終わった後のミックスの段階で入れました。一緒にミックスをしていたエンジニアさんと川村さんと、ノリノリで作業していたのを覚えています。

YG:ソロでは半音階を使った自由性の高い音使いが、印象的で面白いですね。

森丘:ギター・ソロは2年前に作ったものと同じフレーズを弾き直しました。アウト・フレーズに惹かれ始めていた頃ですね。普通のロック・ギタリストという枠に納まりたくないと思い、色々試行錯誤していた時期です。これもアドリブで弾いて、良かったフレーズを残して構築するという、いつも行なう流れでできました。ただでさえ難しかったソロなのに今回テンポを速くしたことで、ヤング・ギターさんのスコアでいうところのライオンさんマーク並の難しさになってしまいました…(笑)。

YG:6曲目「清水の舞台から飛び降りて」。タイトルのインパクトもさることながら、和風なコード進行を使った和洋折衷といえる曲に仕上がっていて、他の曲とは毛色の異なる仕上がりに驚きました。

森丘:デモの時点で和風のメロやコード進行が決まっていたので、アレンジで和楽器を入れるという選択肢もあったのですが、dpsはロック・バンドなので細かいことはせずストレートに行こうと決めたことで、和洋折衷と言ってもらえる曲にできたのだと思います。個人的に2番Aメロの、C#mの中で半音ずつ上昇していくギターのアレンジが気に入っています。

YG:ギター・ソロではスウィープ・ピッキングやタッピングなど、高難度な技術がこれでもかと詰め込まれていますが、かなり気合いを入れて作り込んだのでは?

森丘:テクニックありきで、完全に作り込んだソロですね。ただ「技術の見せびらかし」にはしたくなかったので、曲の流れを汲んで自然な流れでテクニックを楽しんでもらえるように意識しました。曲のエンディングでは両手タッピングも取り入れています。dpsを結成する前、ギター・インストでソロ活動をしていた時に「Flashback」という自身の曲で両手タッピングをしていましたが、その頃からのお客さんには「久々にきた!」と思ってもらえるのではないかなと。

森丘直樹

YG:7曲目「ごめんなんて言葉」、これはアルバムの表題曲でMusic Videoも制作されていますが、どのようなイメージ制作した曲でしょうか? イントロの凝り方がまずは聴きどころですね。

森丘:イントロはストレートなフレーズに聴こえるかもしれませんが、実は運指がかなり複雑で、スライドをさせる指をあらかじめ決めておかないと曲のスピード感に付いていけなくなるんです(笑)。ライヴでも数回演奏しましたが、スリルがあって楽しいフレーズですね。ギター・アレンジに関して言えば、常にフレーズやメロディーを弾いているので相当忙しいです。サビの直前は初めてオーギュメント・コードを使用し、浮遊感を演出しながらサビに突入する新しいアプローチを取り入れました。

YG:ギター・ソロの導入部に突然変拍子のように聴こえる凝った符割が入っていて、初めて聴く人には強烈に印象に残りそうですよね。

森丘:前回ヤング・ギターさんに取材していただいたEP『カミカゼ』のタイトル・トラックの導入部でも、バンドで変拍子風のキメ・フレーズに挑戦したのですが、それがライヴを重ねるごとに気持ちよく決まるようになってきて。だから今回はテンポも速いこの曲にキメ・フレーズを入れて、さらにバンド全体がレベル・アップできるよう挑戦しました。

YG:8曲目「7月の雨」は他の曲と打って変わってバラード調ですが、どのような狙いで作曲しましたか?

森丘:EP『カミカゼ』ではマーティ・フリードマンさんと一緒に、dpsとしては初めて「あの頃は何もわからなかった」というバラードを作ったのですが、ライヴで演奏した時のお客さんの反応も良かったので、今回はdpsのメンバーだけでバラードに挑戦しました。デモを自分なりにブラッシュアップして、イントロにはギターのメロディーを新たに追加して今の形になりました。

YG:チョーキングを使った泣きのあるソロが印象的ですが、どのようなイメージで構築しましたか? ちなみにコード進行の転調の仕方などが、かなりマーティ・フリードマン的だと思いました。

森丘:マーティさんの影響はかなり強いです。それこそ前作の「あの頃は何もわからなかった」では、マーティさんにギター・ソロを弾いていただいていて。dpsのライヴでは僕がマーティさんのフレーズを弾くことになるので、日夜ヴィブラートやチョーキングのニュアンスの研究をしていたんです。最近ではマーティさんのライヴにもサイド・ギターとして参加させていただいていますし、そんな中で楽曲の分析もしていたので、間違いなく影響を受けています。そういった経験をさせてもらったことで、今までの自分には絶対に弾けなかった、そして作れなかったギター・ソロができたので、個人的にこのアルバムのハイライトだと思っています。

YG:今回のアルバムで使用した機材について教えてください。

森丘:ギターはESPのAmorous、これはオーダーメイドのフロイドローズ搭載モデルと、チューン・O・マティック搭載モデルの2本です。アンプはケンパー“Profiling Amplifier”で、サー“SE-100”をプロファイルしたリグに、ケンパー内蔵の“TS9”をモデルにしたブースター。弦はDRストリングスの“VERITAS 09-46”を使いました。

YG:アルバムのリリース後も既にライヴがいくつか決まっているようですが、どのような内容にしたいと思っていますか?

森丘:来年の2月2日にはdpsの拠点である大阪でワンマン・ライヴがあり、今回のアルバムの収録曲は全曲演奏したいと思っています。今作は過去最高のギターが弾けたと自負しているので、それをライヴの熱量と一緒にお届けしたいです。ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。

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dps - ごめんなんて言葉 -

『ごめんなんて言葉』

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