音にはもっとダイナミクスが欲しいと思うようになった
YG:前日にはアコースティック・ライヴを行ないましたが、以前ミケーレと2人でプロモーション来日をした際、ファン・イベントでやったミニ・アコースティック・ショウを思い出したのでは?
AL:ああ、勿論だよ。私達がアコースティック・セットをやるのは凄く珍しいことで、今回が2度目だった。ヨーロッパでは一度もやったことがないんだ。今後はアコ用のアレンジをフルでやってみたいな。ベスト・アルバムとして出すのもイイかもしれないし。
YG:以前のインタビューでもそうおっしゃっていましたね?
AL:うん。私自身は自分を基本的にエレクトリックのプレイヤーだと思っているんだけど、今回はアコ・ヴァージョンが凄くウマくいったから、日本の所属レコード会社からも、「アコで(過去曲を)再録してベスト・アルバムを出したら良さそう」と言われたんだ。今度こそ真剣にリリースを考えるつもりだよ。いつになるかは分からないけど…。
YG:アコースティックに持ち替えただけで、あまりアレンジを加えないバンドが多い中、あのショウでは、アコースティック・ライヴ用のアレンジがしっかりされていて驚きました。
AL:うん。しっかり作ったよ。リハーサルもかなりやった。8〜10回ぐらい繰り返したんじゃないかな。
YG:驚いたといえば、そのアコースティック・ライヴでドラムのマルコもギターを弾いていましたよね? なかなかの腕前で、思わず見入ってしまいました。
AL:そうそう、凄く巧いだろ? 彼はアコースティック・ギターが得意なんだ。パーカッション的なことも含めて演奏が出来る。
YG:ギターのボディーに板のような物を付けて、弾きながら叩いていましたね?
AL:アレは彼が自作したんだよ。どういう名称なのかは知らないけど…。プラスティック製で、折りたたみ式なんだ。ジョン・ゴムというギタリストは知ってる? その人も同じようなことをやっているよ。アメリカ人で、注目すべきアコースティック・プレイヤーだ。
YG:チェックしてみます! では、今回の来日機材について話してください。ESPからギターを借りたそうですが…?
AL:日本でツアーをやる度に毎回、用意してもらっているよ。今回はアコースティック・ギターを2本とエレクトリック・ギターを2本貸し出してもらった。但し、エレクトリックは以前の“Eclipse”とは違うギターになった。もうEMGのピックアップは使わないことにしたんでね。アクティヴ・ピックアップ全般において使うのを辞め、これからはパッシヴでいく。昨日は、1本をスタンダード・チューニング、もう1本を全弦半音下げにセッティングするようリクエストした。すると問題が発生したんだ。ショウが始まる直前に自分でチューニングしていたら、3弦のペグにトラブルが見つかって…。本来なら、「Age Of Wizard」の時にそのギターを持って、「昔の曲だからチューニングが違って弾けないや」とジョークをカマすハズだったんだ。でも、そのギター自体の調子も悪くてさ。だから、本番でもステージ上でチューニングを合わせるのに時間が掛かってしまったよ。
YG:地元でライヴを行なう時は、何本ぐらいギターを用意しますか?
AL:3本だ。“Eclipse”が2本──昨日使っていたのと同じモデルだね──と、ESP製のSTシェイプが1本。すべてのギターにセイモア・ダンカン製のピックアップが搭載されているよ。
YG:ピックアップを変更した理由は?
AL:もっとダイナミクスが欲しいと思うようになったんだ。パッシヴはより大きなダイナミクスを持っているからな。ハード・ロック寄りではない曲を弾く時はEMGを重宝したけど、新しいアルバムにはハード・ロックっぽい曲があるから、ダイナミクスがもっと必要になったのさ。
YG:第2部では古い曲もプレイしましたが、確か2ndアルバム(’01年『A TIME NEVER COME』)では7弦ギターを使っていましたよね?
AL:うん。それに関しては、半音下げで対応したよ。7弦のパートを6弦で弾けるようにアレンジし直したんだ。
YG:Key自体は変わっていない?
AL:そうだよ。あと、3枚目のアルバム(’03年『SCENT OF HUMAN DESIRE』)にも6弦では弾けないパートが幾つかあってね。「Rain」という曲があるだろ? アレは7弦じゃないと弾けないんだ。でも、もう7弦は弾かないことにしたんで…(今回「Rain」はプレイしなかった)。この先、もし弾くことになったら、また7弦を手に入れないといけないなぁ。
YG:それか、アレンジし直すか…?
AL:あの曲では不可能だ。メイン・リフは弾けるかもしれないけど、それでは低音で弾いた時のパワーを活かすことが出来ない。音が高過ぎるからね。
YG:アンプは何を使いましたか?
AL:いつものピーヴィーだ。
YG:ケンパーのようなシミュレート・アンプにはあまり興味がありませんか?
AL:あまり好きじゃないな。前に言ったかもしれないけど、アンプ・シミュレーターはどうも好きになれなくて。ただ、今はかなりイイのが出てきているみたいだね。ケンパーも試したことがある。ダイナミクスがあって、なかなか良かったよ。それでもやっぱり、真空管の温かみが感じられるサウンドの方が断然イイ!
YG:エフェクターは?
AL:アイバニーズの“TS9”とMXR“Phase 90”、それからTCエレクトロニックのデジタル・ディレイ“Flashback Delay”。そして同“Polytune”だね。
YG:オープニング・アクトについても教えてください。ソロ・ギタリストのマルコ・アンジェロは、あなたの肝いりだそうで?
AL:マルコは友達なんだ。シークレット・スフィアのファンで、これまでに何度か「俺を日本に連れて行ってくれ」と頼まれたことがあってね。イタリアやヨーロッパには、日本でプレイすることを夢見ているミュージシャンが沢山いる。それで今回、プロモーターに「彼のプレイを日本のオーディエンスに観てもらいたいんだけど」と相談してみたところ、「持ち時間が短くても良ければ…」と言ってくれたんだ。マルコは「日本でプレイ出来るだけでイイよ」と大喜びだったよ。彼はフードを被ってステージに立つギタリストとして知られていて、言うまでもなくギタリストとしての腕もなかなかだ。
YG:エンジニアというか、バッキングのトラックを出すオペレーターと一緒でしたが、いつもあんな感じでプレイしているのですか?
AL:うん、ずっとだよ。いつもあんな感じだ。
YG:典型的なハード・ロック/ヘヴィ・メタルのギタリストでは勿論ないし、所謂シュレッド派でもなさそうで、メロディー重視のギタリストだという印象を持ちました。
AL:うん。ニール・ザザみたいな感じかもね。相当なテクニックの持ち主だけど、メロディックなことでも知られているから。
YG:1曲、マイケル・シェンカーっぽいプレイがあって、日本人に好まれるスタイルだとも思いました。
AL:それは良かった。日本のオーディエンスはマルコのプレイを楽しんでくれたんだね!
YG:これまでに彼が、地元でシークレット・スフィアの前座をやったことは?
AL:1回ぐらいかな。でも、他のバンドとプレイすることはあったよ。バトル・ビーストの前座をやったりとか…。ただ、やはりソロ・プレイヤーだから、なかなかライヴをやる機会に恵まれなくてさ。インスト・バンドだったらまだ格好がつくけど、1人でインストをやるとなると、クリニックと大差ないからね。ソロで活動していくのは大変みたいだ。まぁ、これで約束は果たしたと思うから、彼にはこれからも頑張ってもらいたいな。
YG:さて、先ほど少し話が出た“地元でやるスペシャルなショウ”ですが、どんなことをやるのですか?
AL:劇場でプレイすることになると思う。セットリストは新作の完全再現だけど、そこに演者を加えて、曲間には(生で)ナレーションも入れるんだ。それから、“七つの善”を表す7人のダンサーが登場する。色違いのドレスを着せて、それぞれの色に意味を持たせるのさ。
YG:映像作品として残す計画はありますか?
AL:出すつもりだよ。ステージの中央にはベッドを置く。(アルバムの)ストーリーを読んでもらったら分かると思うけど、10代の女の子が昏睡状態に陥っているところから物語が始まるんだ。そして、各曲が演奏されている間、それぞれの“善”を表すダンサーが彼女の回りを舞う。
YG:想像しただけで鳥肌が立ってきました…。いつ上演されるのですか?
AL:3月30日だ。
YG:映像で出るのを楽しみにしています!
AL:ああ。アコースティック・ベストもやるよ。楽しみにしていてくれ!
シークレット・スフィア セットリスト 2017.12.8 @新宿BLAZE
[第1部]
1. Intro:Intermission(SE)
2. The Calling
3. Love
4. Courage
5. Kindness
6. Honesty
7. Faith
8. Reliance
9. Commitment
10. The Awakening
11. The New Beginning
[第2部]
12. Age Of Wizard
13. Recall Of The Valkyrie
14. Loud & Raw
15. The Scars That You Can’t See
16. Legend
17. Lady Of Silence
18. Union
19. Lie To Me
[Encore]
20. Healing
アコースティック・イベント 2017.12.7 @目黒THE LIVE STATION
1.Union
2.Courage
3.Lie To Me
4.Legend
5.The New Beginning
6.The Mystery Of Love
7.Kindness
8.Eternity