アルド・ロノビレ/シークレット・スフィア 2017来日インタビュー「『THE NATURE OF TIME』は完全再現しようと話し合った」

アルド・ロノビレ/シークレット・スフィア 2017来日インタビュー「『THE NATURE OF TIME』は完全再現しようと話し合った」

自分に接してもらいたいようにみんなと接している

SS05

YG:ここで、ギタリスト兼シンガーのマルコ(ペストリーノ)が脱退したことについて、改めてコメントして頂けますか?

AL:私はいつも、自分がこのバンドで唯一のギタリストだと考えているんだ。前のインタビューでも話したと思うけど、新作(『THE NATURE OF TIME』)でもすべてのギター・パートを自分ひとりで弾いている。曲を書く際も、キーボードが入ることは想定するものの、もう1本ギターが加わると考えることはない。それに、このアルバムにおけるギター・ワークは、これまで以上に私らしさが出ているから、それをマルコに覚えさせるのは大変だよ。特にインストゥルメンタルの部分は、私の個性が表れているからね。それに今、このバンドは以前とは異なった形で進んでいる。マルコは私よりも10歳若いし、彼には他にも好きな音楽があって、自分のバンドもやっているだろ? それ(テンペランス)もメロディック・メタル・バンドではあるけど、シークレット・スフィアとは全く異なる。それで話し合った結果、彼は脱退を決意し、私達は友情を保ったまま別々の道を行くことにしたのさ。そうしてこれからは、私は私達の好きな音楽を続けていくことが出来るし、彼は彼の好きな音楽を究めていける…ということだね。

YG:しかし、ライヴではギターが2本必要な場面もあるのでは?

AL:バック・トラックが必要なのは1曲だけだよ。

YG:「Honesty」ですか?

AL:そう。しかも、イントロのみだろ? あのイントロには、スタジオでしか再現出来ないエフェクト──フランジャーなどがミックスされた音だ──が使われていて、(もしギタリストがもうひとりいたとしても)ライヴでは簡単に再現出来ない。まぁ、“P-90”のピックアップを使えば可能ではあるものの、全く同じ音にはならないよ。それで、ここだけは「イントロのギターをバックで鳴らそう」ということになったのさ。

YG:なるほど。では、コーラス面ではいかがでしょう? セカンド・ヴォーカルも担っていたマルコの穴は大きいと感じましたが…?

AL:それに関しては、確かにそうかもしれない。でも、ヨーロッパで(プレイする時)は、もう2人シンガーを追加しているんだ。日本でその編成は実現しなかったけど、一番最近やったイタリアでのコンサートでは、バック・シンガーが起用されていたよ。

YG:どんなシンガーですか?

AL:毎回替わるよ。でも、殆どはミケーレの教え子だね。常に男性シンガーが付くことになっているけど、今度3月に行なう予定のスペシャルなイベントの際は、男女2人ずつでやりたいと考えているんだ。

YG:バック・シンガーというか、もうクワイアと呼べそうですね?

AL:うん、そうだな。

YG:次回は是非、日本でもその編成でお願いします!

AL:そうしたいね。ただ、大人数を引き連れて他の国でショウをやるのは大変だから、日本でシンガーを現地調達するとイイかもしれない。

YG:それは良いアイデアですね! ところで、今回サウンド・エンジニアとして元メンバーが同行していたとか?

AL:そうだよ。元ドラマーのフェデリコ(ペンナッツァート)が一緒だった。とても腕が良いエンジニアなんだ。

YG:シークレット・スフィアでは、新旧のメンバーの関係がずっと良好なんですね? 新作には元キーボーディストのアントニオ・アガテも関わっていたし…。

AL:昔のメンバーとはずっと友達だよ。今回の新曲は、実はすべてその昔のキーボーディスト、アントニオと作ったんだ。彼とはいつも一緒に作業している。

YG:そういうバンドは珍しいですよね?

AL:ああ、そう思うよ。

YG:それもアルドの人徳ですね!

AL:私はいつも、自分に接してもらいたいようにみんなと接している。それが理由かもしれないな。

YG:そういえば、昨日ステージに貼ってあったセットリストをチラッと見たら、アンコールに“surprise”との記載がありました。でも、特段驚くような演出はなかったですよね?

AL:実はね、あともう1曲演奏するつもりだったんだ。でも、プロモーターから「もう時間がない」と言われてさ…。

YG:あらら…。(オープニング・アクトの)アルテミスに1曲削ってもらえば良かった?(笑)

AL:そうだな!(笑) 実を言うと、彼等は(予定より)8分長く演奏していたんだ。

YG:えっ…、そうだったんですか! ちなみに、どんなことをやろうと計画していたのですか?

AL:本編最後に弾いた「Lie To Me」(’12年『PORTRAIT OF A DYING HEART』収録)を、メンバーで担当楽器を入れ替えて演奏するつもりだったんだ。私がドラムをやって、ミケーレがギターを弾いて──簡単な曲だからね。

Marco Lazzarini
Gabriele Ciaccia