「新作『GAME OVER』はいつもと違うU.D.O.」ウド&ギター・チームによる最新インタビュー

「新作『GAME OVER』はいつもと違うU.D.O.」ウド&ギター・チームによる最新インタビュー

2本のギターがここまで調和したのはU.D.O.で初めてのことだ

YG:各曲のギター・ソロはどうやって振り分けましたか?

ディー:簡単だよ。曲を書いた方がソロを弾くんだ。

アンドレイ:つまり俺たちがさっき挙げた曲のソロを、それぞれが弾くわけだ。ソロを含めて曲の全体像の作曲を担当することになる。

ディー:バッキング・パートも1人で担当したしね。さっき言った「Unbroken」は、アンドレイにメロディーとかの一部を弾いてもらったけど。あとティレンがメインになって書いた「Thunder Road」と「Speed Seeker」は、僕とアンドレイで分け合った。僕が弾いたのは「Thunder Road」の方だね。

アンドレイ:俺は「Speed Seeker」だな。それぞれ違うアプローチをするので、どちらが合うかによって決めたよ。「Unbroken」でのディーが弾いたソロは実に良かった。そこに俺のプレイが組み合わさる…このコンビネーションは完璧だったと思うね。

YG:そのソロですが、どの曲でもテクニカルなプレイの緊張感はもちろん、メロディーの構築も完璧で、各曲中のハイライトになっていますね。今作はギター・アルバムとしての聴きごたえも充分だと思います。

ディー:ありがとう! 

アンドレイ:でも俺の場合、ソロをあらかじめ考えて構築するのが好きじゃないんだ。

YG:ではアンドレイは、ほぼアドリブ?

アンドレイ:そうだね。自分の感性とひらめきを信じて弾いてみる。大抵の場合は最初のテイクが一番上手くいくよ。ディーはその作り方がまったく反対だよね。

ディー:僕はいつもだったらインプロヴァイズで何テイクか録って、その中から良い部分を使って作曲することが多いんだ。でも今回はギターを手にして弾く前から、頭の中にメロディーの構造が浮かんでいることが多かったよ。そこから、この曲に求められているのは何か、ソロが伝えるべきメッセージはどういうことかと考える。ソロは曲のストーリーを伝えるものであるべきだからね。

アンドレイ・スミルノフ

YG:アンドレイが加入してから、これで4作目のレギュラー・アルバムになります。アンドレイは作を重ねるごとにリード・プレイが大幅に進化して、どんどん耳を惹くものになっていると感じるのですが?

ウド:俺もそう思う。アンドレイはもう10年近くもバンドにいることになるのかな。俺がロシアをツアーした時、あの国のミュージシャンは独特なメロディー・センスを持っていると気づいたんだ。ただアンドレイが最初に参加した『STEELHAMMER』のレコーディング時、彼はナーヴァスになっていた。曲作りにも関わっていなかったから、曲をそこまで自分のものにできていなかったのかな。フレージングもどちらかと言えば、上に下に動くだけというかね。しかし次の『DECADENT』(’15年)ではもっとメロディックなプレイになり、『STEELFACTORY』で素晴らしい仕事をやってのけた。

YG:僕も『STEELFACTORY』はアンドレイのリード・プレイが一皮むけたアルバムだと思っています。

アンドレイ:俺もあのアルバムを誇りに思っているんだ! まさにトラディショナル・メタルとモダン・テクニックの融合が上手くいった。全部のパートを俺1人で弾いたことで、曲ごとに最適なプレイを充てることができたと思う。

YG:一方、ディーはU.D.O.のレギュラー作品に参加するのはこれが初めてですよね。ウドはディーがバンドにもたらしたのはどんな要素だと感じましたか?

ウド:モダンなギター・プレイだろう。彼の出す音そのものが新しい。完全に俺たちとは世代が違うんだな。オーディションに来た時はまったく無名のギタリストだった。DIRTY D’SIREという自分のバンドをやっていたけど、世間的には知られていなかった。俺としては、すでに名のある…英語で何と言ったらいいのかな。“出来上がったギタリスト”と言おうか。そういう人が欲しかったわけじゃない。ディーは実にオープン・マインドであることが印象的でね。オーディションは15分ぐらい弾いたところで合格。それから彼はU.D.O.のサウンドとはどういうものであるべきかを素早く理解して、同時に彼がやってきたようなモダンな要素と結びつけた。説明するのは難しいが、サウンドはモダンなのに確実にU.D.O.のギター・サウンドなんだよね。

ディー・ダマーズ

YG:アンドレイもディーもモダンであるという点では共通していますね。でもアンドレイはより伝統的メタルの要素が強く、ディーはさらにトリッキーなテクニックを駆使するという違いもあります。

ディー:面白いね、僕も全く同じ意見だ(笑)。僕から見て、アンドレイはクラシックなメタルから影響されていながら、モダンでテクニカルな要素も持っている。メタルの素地が見えるのは当然として、フュージョンやポップスからも影響されているんじゃないかな。

アンドレイ:それに対して、ディーはヘアー・メタル野郎といったところかな(笑)。

ディー:アンドレイは僕とまったく異なる影響を受けている。これは僕たち2人にとっての強みだと思うんだ。2つの要素を1つにできる。この違いがあるから、僕たちは良いギター・チームとして成立しているんじゃないかな。お互いの個性がフィットしているしね。

ウド:新作のリード・プレイは50%がアンドレイ、50%がディーだけど、U.D.O.としては初めて2本のギターが上手く作用したように思う。これは俺たちにとって新しいことだと思うんだ。ここまで2本が調和するとはね。この2人を見つけたことは本当にラッキーだったよ。もう次のアルバムを作りたくなっているぐらいだからね(笑)。

YG:それぞれ、特にギター・プレイの面で気に入っている曲を挙げるとしたら、どれになりますか?

ディー:選べないよ!(笑) 強いて挙げるなら「I See Red」かな。これは他の曲とは全然違うからね。“クラシックなメタル・ソング”とはまったく違うけど、ウドのスタイルに合うと思ったんだ。

アンドレイ:俺は…3つ選ばせてくれ。「Prophecy」「Metal Never Dies」「Metal Damnation」といったところかな。

ウド:俺も難しいな(笑)。アンドレイは「Prophecy」や「Metal Never Dies」で素晴らしいソロを弾いた。それに「Empty Eyes」「Kids And Guns」でのディーのソロは完璧に曲とフィットしているね。

U.D.O. バンド

YG:では、今回使用したギター周りの機材を教えてもらえますか?

アンドレイ:俺のスタジオには30本近いギターがあって、それらを使ったよ。ESPやLTDのモデルを中心に、ERGの俺のカスタム・モデル“Steelhammer”、PRSギターズ、バッカス、アイバニーズ、それとシェクターの7弦ジェフ・ルーミズ・モデル“JL-7”もあったよ。アンプはAMTの“StoneHead SH-100-4R”、エフェクトはニューラルDSPやケンパーに内蔵されているものや、ML Sound LabやOverloud“TH-U”のプラグインなどを使ったな。

ディー:僕のギターはアイバニーズ製で、大半のソロとリズム・パートは“AZ”で録っている。何曲かのリズムは“PGM333”で重ねているし、“MM-1”でオーヴァーダブした箇所もある。それらを使ってLine 6“Helix”で録ったクリーンなシグナルをプロデューサーに送って、リアンプしてもらったよ。エフェクトはアイバニーズ“TS808”をリードで使ったのと、ミックスの時にディレイを掛けてもらったぐらいかな。あ、あとサーのバッファーをスプリッターとしてつないでいたか。

YG:充実した作品が完成したにもかかわらず、まだまだコロナの影響はU.D.O.の活動に大きな影響を及ぼすことになりそうです。今は以前のようなライヴ活動が無事再開できることを祈るのみですが…。

ウド:そうだね。今年は2つのフェスティヴァルに出演して、それらは無事終了した。ただこれからのことは…。いつもやっているロシア・ツアーは来年に延期したし、11月半ばにはヨーロッパ・ツアーも予定されているけど、何が起こるかは分からない。すべては政府次第だし、開催地の決断に従わなくてはならない。とは言え、3月まで入っている予定については準備しているよ。きっと南米やロシアには行けるし、ヨーロッパ・ツアーの第2弾は3月から5月にやると思う。その後は夏のフェスティヴァルだ。来年9月にはアメリカやカナダを廻れるだろう。俺としてはまた日本にも戻りたいね。とにかく幸運を祈るのみだよ。ライヴは俺たちにとって重要な部分を占めている。ビジネス抜きにしてね。今は家にいて、こうして『GAME OVER』に関する取材で忙しくしているけど、ステージに立つことこそ俺たちの生き甲斐なんだ。

YG:さて、アンドレイはU.D.O.の新作に先駆けて、最新ソロ・アルバム『ELECTRIC GRAVITY』もリリースしましたね。クラシックなメタルもフュージョン風も、ジェントを取り入れた曲もあり、こちらもヴァラエティの豊かさが光るオール・インスト作でした。

アンドレイ:それについて訊いてくれて嬉しいね。本当に誇りに思えるアルバムだ。バンドとは違う、俺のパーソナルな面が出た作品なんだよ。演奏も曲作りも俺1人。インストだからシンガーが曲を語るのではなく、俺の感情が曲ごとの表情を伝えるようにしなくてはならない。怒り、悲しみ、不安、愛…言うなれば「アンドレイ・スミルノフの50の側面」と言うべき作品だね。

YG:アンドレイは自身のEVERLOSTでの活動も10年を超えましたし、U.D.O.以外の活動も頻繁ですね?

アンドレイ:ああ。U.D.O.での活動は俺の野心を満たしてくれているから、その傍らでソロ活動を自由に進めることができるんだ。

YG:ディーはバンド活動はもちろん、プレイ動画も積極的に制作していますよね?

ディー:やってるよ! 動画のアップを通して、僕には様々な素晴らしいミュージシャンとのつながりが生まれ、新しい出会いが沢山あった。それにDEE DAMMERS BANDという自分のバンドもあって、U.D.O.を最優先にしつつ、そちらの活動も続けていきたいんだ。

YG:昨年発表した1stソロ『BUBBLY JOYRIDE TO UTOPIA』に続くソロ・アルバムの作業も進んでいますか?

ディー:よく訊いてくれたね。何故ならちょうど2ndソロ用のMVを撮影したところなんだから。そちらも楽しみにしていてくれ!

INFO

U.D.O. - GAME OVER

『GAME OVER』/U.D.O.
マーキー・インコーポレイティド/アヴァロン
2021年10月20日発表

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ANDREY SMIRNOFF - ELECTRIC GRAVITY

『ELECTRIC GRAVITY』/Andrey Smirnoff
デジタル配信
2021年9月10日発表

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DEE DAMMERS - BUBBLY JOYRIDE TO UTOPIA

『BUBBLY JOYRIDE TO UTOPIA』/DEE DAMMERS
デジタル配信
2020年3月29日発表

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