パナギアの恩恵／特撮

大槻ケンヂ（vo／筋肉少女帯）率いる別働隊の８作目。スラッシュ／インダストリアルゆかりのエッジーなギターと本物のクラシック・ピアノが同等に扱われたヘヴィ・ロックは他に類がないが、’11年の復活後は幅が広がり、初期の筋少的なプログレ性やシアトリカルさがより高まっている。これは初期筋少の核だった三柴 理（key）の意欲の高さや、近年、アニメ主題歌やアイドル・ソングも手がけるNARASAKI（g）の脂の乗った作曲術に依るところも大きいはずだが、大槻の世界観と特殊な歌唱スタイルを活かすため周りが苦心した結果、そこに特別な音楽が生まれ、関わる人間の才能が開発されたことも、また真実。
（菅原健太）