PreSonus Notion 5 実用ガイド 〜目指せ!! 譜面の達人〜

PreSonus Notion 5 実用ガイド 〜目指せ!! 譜面の達人〜

STEP 2 ギター&ベース&ドラム譜の作成に必要な知識を憶えよう! パート1

ギター&ベース譜をサクサク作成

それでは実際の譜面制作の例を解説していこう。音符を五線譜やタブ譜に貼り付ける際、基本になるのは画面下にある入力パレットで、ここから様々な音符や記号を選ぶ。例えば4分音符や8分音符などをマウスでクリックして選択し、任意の場所に貼り付けて行くわけだ。ただこの繰り返しだけで1曲分の譜面を制作するのは、かなりの時間と労力が必要になるので、使いこなすにはキーボードのショートカットを憶えるのがベストだろう。例えば8分音符なら[E]キー、16分音符なら[S]キーを押すだけで、音符の種類が瞬時に切り替わる(休符の場合は2回連続で押せばOK)。複数の種類の音符が入り乱れるフレーズでも、これを駆使すればかなりのスピードで入力可能だ。

ギターやベースの場合、便利さを感じるのは「音符を入力すれば自動的にタブ譜を作成してくれる」「タブ譜を入力すれば自動的に五線譜を作成してくれる」という点で、これは実際に体験すると手放せなくなる。またギターは同じ音程を複数の弦で出せる楽器だが、“Notion 5”はこの辺りの機微も汲んでおり、例えば6弦5fをマウスで選択して5弦上にドラッグすると、勝手に5弦0fに変わってくれる(どちらも同じA音)。ギタリストは運指で迷いがちなので、これは非常に役立つはず。

運指を重視するなら、画面右側の指板(正式名称はバーチャル・フレットボード)も有効活用したい。思い付いたアイデアを素早く形にしたい場合、自分の演奏と同じ運指を画面で確認しながらクリック入力できるというのは、圧倒的に便利だ。なおこのバーチャル・フレットボードは7弦以上のギター、5弦以上のベースも設定が可能で、カポ表記にも対応している。

コード入力にも専用ライブラリが用意されており、同じコードネームでも響き具合やポジションの異なるものが複数表示されるので、曲の進行に合わせて自由に選ぶことが可能。もちろんオリジナルのダイアグラムを載せることもでき、後になって「あれ、どんなヴォイシングだったっけ?」と混乱しなくて済むだろう。

入力パレットの画面

●入力パレットには様々な音符や演奏記号が用意されており、マウスオーバーすれば記号の名称とショートカットが表示される。

Notionのショートカット

●よく使うショートカットは必ず憶えておきたい。主要なものはプリントアウトして手元に置いておくか、もしくはキーボードにシールを貼ってその上に音符を書いてしまうのも手だ。

キーボード・ショートカットの例

  • ・全音符(全休符)=W
  • ・2分音符(2分休符)=H
  • ・4分音符(4分休符)=Q
  • ・8分音符(8分休符)=E
  • ・16分音符(16分休符)=S
  • ・32分音符(32分休符)=T
  • ・付点=D
  • ・フラット(♭)=2
  • ・シャープ(♯)=3
  • ・ナチュラル(♮)=4 …など

タブ譜の画面

●ツールバーやショートカットで音符の種類を選び、五線譜上の任意の音程に貼り付ければ、自動的にタブ譜も生成される。

タブ譜の内容を変更する画面

●タブ譜を変更する場合、任意の弦にドラッグした後、ダブル・クリックして番号を入力すればOK。五線譜も自動的に変更される。

バーチャル・フレットボードの画面

●ギタリストならバーチャル・フレットボードを用いれば、より素早く音符を入力することができるはず。ショートカットと組み合わせればさらにスピードアップ!

コード・ライブラリの画面

●コード・ライブラリはテンションや分数など、様々なタイプに対応している。オリジナルのコードを登録することも可能だ。

押さえ方やリズムの指定を入れたコード譜の画像

●ダイアグラムで押さえ方とコード・ネームを示し、スラッシュ記号を用いてストロークのリズムを提示すれば、簡単なコード譜が完成!

海外の譜面表記に慣れよう

“Notion 5”はアメリカ発のソフトなので、日本での一般的な表記法や名称と異なる部分も多々あり、慣れるまでは注意が必要だ。例えばギターだけに限って見てみると…、まずブリッジ・ミュートは“Notion 5”ではパーム・ミュートと呼び、[P.M.]という記号で示される。アルペジオはレット・リングと呼び、[let ring]という記号で示される。チョーキングはストリング・ベンドと呼び、“Notion 5”の譜面では上に向かう矢印と下に向かう矢印で示される。アームに関してはワーミーという呼び方で統一されており、“Notion 5”では音程変化に併せて線を描くような形で示される。スライドやグリッサンドは“Notion 5”でも名称は変わらないが、譜面上では音符やタブ同士を直線でつなぐ形で表記される。これらは単なる表記上の違いなので、深く考えずに憶えてしまうのが良いだろう。

ちなみに“Notion 5”では特にベンドとワーミーの表現力が充実しており、音程の幅や変化する時間の推移、向きなどを細かく調整することができる(もちろん再生した際にきっちり反映される)。海外のギタリストがこれらの奏法を、非常に重要な表現方法と認識していることの表れと言えるだろう。

海外で使われる奏法記号の入ったギター譜の画像

●1小節目は前半がブリッジ・ミュート、後半がアルペジオ、2小節目後半は1音&半音チョーキング、3小節目は1〜2拍目がスライドで4拍目が深いヴィブラート、4小節目はアーミング。