DD-200 デジタル・ディレイ
伝統型から革新型まで多様なディレイを集約
DD-200 モード一覧
STANDARD | クリアなサウンドのデジタル・ディレイ |
ANALOG | マイルドなサウンドのアナログ風ディレイ |
TAPE | テープ・エコー特有の揺らぎのあるサウンド |
DRUM | マグネティック・ドラムを使用したエコー・ユニットを再現 |
SHIMMER | 音程を変えたサウンドを原音に加えたディレイ |
TERA ECHO | BOSS“TE-2”同様の広がりと動きのあるディレイ |
PAD ECHO | 独特の浮遊感が加わる新感覚ディレイ |
PATTERN | 16個のディレイを組み合わせたサウンド |
LO-FI | 歪み感のあるファットなサウンドのディレイ |
DUAL | 2つのディレイを直列に接続した状態のサウンド |
DUCKING | 入力信号の大きさに応じて音量とフィードバックを調節 |
REVERSE | 入力された原音を逆再生するディレイ |
直感的に好みのディレイを設定
“DD-200”は12種類のモード(上記参照)を搭載したディレイ・ペダル。アナログ感の強い定番系から、本機で初披露となるPAD ECHOを含む新感覚のモダン系まで、あらゆるタイプのディレイ・サウンドをツマミ1つで切り替えられる。音色コントロールのツマミは比較的スタンダードなレイアウトになっているが、面白いのはPARAMのツマミ。これは選択しているモードによって役割が変わるもので、例えばSTANDARDの時はアタック感を調節、TAPEでは3つの再生ヘッドの組み合わせを変更、LO-FIでは歪み感を調整するといった具合だ。
またTIMEツマミを押すことで、DELAY TIMEの表示をBPM表示か時間表示かで切り替えることもできる。BPMに対してどの音符の長さで時間換算するかはTAP DIVISIONで変更可能だ。この設定はタップ・テンポ入力の際にも反映されるので、タップ入力は4分音符のタイミングだが、実際のDELAY TIMEは付点8分で反映される、なんていうセッティングも可能。ちなみにON/OFFとMEMORY/TAPという2つのフット・スイッチを同時に押すと、ルーパー機能が作動。ディレイをかけたサウンドをオーヴァーダブして、独創的なパフォーマンスを展開できる。
心地好い演奏を助ける高音質
先行機種“DD-500”の完成度で多くのユーザーを唸らせたBOSSだけに、そのクオリティを受け継いだ“DD-200”は折り紙付きの逸品であることは分かっていたのだが、実際に触ってみると予想以上の高音質に驚かされた。どのモードを選んでも非常にリアルなディレイ・サウンドが得られ、滑らかに減衰していくのもプレイしていて気持ちいい。
ANALOGやTAPEといったモードでは様々なヴィンテージの名機を徹底的に研究していることが分かる。例えばTAPEでは古いテープ・エコーと同様に発振しない、などといった再現具合も見事だ。
新感覚系のモードに目を向けてみると、最新型であるPAD ECHOはオンにした瞬間にふわりとした独特の空間の広がりが現れるのが実に心地好く、また昨今のディレイ・ペダルでは定番になりつつあるSHIMMERは、キラキラとした成分が幻想的なテイストをサウンドに加えてくれる。その完成度は極上の一言。16個のディレイを組み合わせたPATTERN といった変わり種も搭載されているが、特に興味深いのはDUCKING。入力信号の大きさに応じてディレイの音量とフィードバックが自動的に調節されるというモードだ。速弾きをしている時に1つ1つの音で延々ディレイ音が鳴ってしまうと、少々耳障りになってしまうものだが、このモードなら長く伸ばした音の時だけ深くディレイがかかるようになり、プレイにメリハリを付けることができるのだ。
“OD-200”の項でも触れたことだが、“200 Series”のEQツマミは圧倒的に効きが良い。ANALOGやDRUMといった比較的クセのあるヴィンテージ系のエフェクトでも、TONEをいじればモダンでクリアな音質に調整することもできる。先入観に囚われないユーザーそれぞれの音作りが可能だ。
TAP DIVISIONとMEMORYのボタンを押すことでディスプレイに現れるメニュー画面では、音色を切り替えた時にディレイ音を残すか残さないかを選べるCARRYOVERの機能など、さらに細かい設定をすることができる。ディレイに精通した玄人ギタリストのあらゆる要求に応えるペダルだが、好みのモードを選んで音色を整えるシンプルな使い方だけでも、本機の万能ぶりは実感できるだろう。
HNIB’s IMPRESSIONS:メロディアスなプレイにマッチする高音質なディレイ
“DD-200”に関しても、基本操作を学んでから“OD-200”と連結させ、歪みサウンドとディレイを組み合わせた形で試奏を行なった。STANDARDから始まり、TAPE、SHIMMER、PAD ECHO、DUCKING…と様々なモードを試していく上で、HNIBの2人が驚かされていたのが、その高音質ぶり。極めてクリアで深みのあるサウンドは、彼らにとっても新鮮だったようだ。
ディレイはHNIBのサウンド・メイクで多々活用されているエフェクトだけに、“DD-200”の各モードでの試奏も、彼らならではのメロディアスなフレージングをさらに際立たせるという結果に。2人とも主に哀愁のあるリード・フレーズを弾いており、“DD-200”が彼らのバンド活動における即戦力となりそうな予感を漂わせていた。特にTJはSHIMMERがかなりのお気に入りで、終始「やっぱりSHIMMERだな」と呟いていたという…。
DAIKI’s Setting◆ダークなリードを引き立てるディレイ
MODE | DUCKING |
DELAY LEVEL | 95 |
TIME | 400 |
FEEDBACK | 20 |
PARAM | 12 |
TONE | 0 |
MOD DEPTH | 0 |
DUCKINGモードで特に強く弾いた音にかかる残響音が、フレージングの肝となる箇所をさらに強調する。DAIKIはミステリアスなリード・プレイでこのサウンドを活用していた。
TJ’s Setting◆煌びやかで壮大極まりないトーン
MODE | SHIMMER |
DELAY LEVEL | 94 |
TIME | 400 |
FEEDBACK | 19 |
PARAM | 62 |
TONE | 12 |
MOD DEPTH | 0 |
TJ:HNIBでもディレイは結構使っているんですよ。エフェクトはDAIKIがメインで使っていて、俺は全然使わないんだけど、唯一ディレイはセットしているんです。だからこのペダルも気になってたんだけど…。
DAIKI:それにしてもこの可能性の幅広さは凄まじいですよね。今日1日だけで試奏するには時間が足りなすぎる(笑)。どのモードも音が素晴らしくクリアで、いじればいじるほど自分好みのサウンドを作れるし、どんな音楽にも対応できるだろうなと思いました。
TJ:色々な種類のディレイが楽しめるからね。リードをメインで弾くようなギタリストは絶対重宝するんじゃないかな。中でもSHIMMERは本当に高級感があふれていて、凄く気に入りましたね。俺はやっぱりとことんSHIMMER推しです(笑)。あと4分のタップ・テンポ入力で付点8分…みたいな使い方ができるっていうのもヤバいですね。ここまで自由に設定できるディレイ・ペダルが登場したなんて、「やっと出て来たか」と思う人も多いんじゃないですか?