MD-200 モジュレーション
素直なコーラスから飛び道具まで1台で対応
MD-200 モード一覧
CHORUS | BOSS最新のコーラス・サウンド |
CE-1 CHORUS | BOSS“CE-1”をモデリングしたコーラス・サウンド |
FLANGER | オーソドックスなフランジャー・サウンド |
PHASER | オーソドックスなフェイザー・サウンド |
VINTAGE PHASER | 1970年代のヴィンテージなフェイザー・サウンド |
CLASSIC VIBE | “Uni-Vibe”的なモジュレーション・サウンド |
VIBRATO | 個性的な響きのヴィブラート・エフェクト |
TREMOLO | 周期的に音量を変えるトレモロ・エフェクト |
ROTARY | ロータリー・スピーカーをリアルに再現したサウンド |
AUTO WAH | 自動的にワウ効果を得るフィルター・エフェクト |
SLICER | 周期的にサウンドをカットするエフェクト |
OVERTONE | 原音にない倍音を加えて厚みのある響きを創出 |
懐かしさとモダンの両立
“MD-200”はモジュレーション系エフェクトを12種類搭載(左ページ参照)。これも先行機種“MD-500”のサウンド・クオリティをそのまま凝縮したモデルだ。基本的なコントロール・レイアウトは“DD-200に似ているところもあるが、各モードによって操作するパラメーターが変化するPARAMのツマミは1〜3に分かれているというのが特徴だ(RATEを押しながらPARAMを回すと、ディスプレイにパラメーターの名称と数値が表示されるので、マニュアルを読んですべての役割を覚えるような必要はない)。
まず最新技術でアップデートされたCHORUSモードから試してみたところ、さすがはコンパクトなコーラス・ペダルの世界的な先駆者であるBOSSのこと、透き通るような音の広がりを体感して、“これは究極!”と感銘を受けた。また同社初のエフェクト・ペダルである“CE-1”をモデリングした、CE-1 CHORUSモードの温かみがある音には、一瞬懐かしさを感じつつ、音色コントロール次第でモダンでクリアなテイストがプラスされるというのも面白い。
スタンダードなPHASERに加えてVINTAGE PHASERというモードが入っているが、これはクラシック・ロック寄りなギタリストにはたまらないサウンドだろう。なんとPARAMツマミで歪みを追加することができ、その際のダーティなテイストは、まさに1970年代のヴィンテージ・フェイザーのそれ。ハード・ロックなリフを弾いた時の躍動感には病み付きになるはずだ。またCLASSIC VIBEも同じくPARAMツマミでファズを加えることができ、凶暴な暴れ感と揺れが一体となって飛び出して来る。
一撃必殺の飛び道具系エフェクト
VIBRATOやROTARYといった飛び道具系エフェクトの中でも特筆しておきたいのが、一定周期で音をカットするSLICER。無理矢理ブツ切りにした不自然さとは無縁で、あくまでスムーズ。ここまで自然なスライサー・エフェクトはこれまでになかったのではないだろうか。また原音にない倍音を加えてサウンドを強調するOVERTONEは、BOSS独自のエフェクトだ。最初はオクターヴァーに近いのかと思ったが、まるでオルガンを鳴らしているかのごとき奥行きのあるサウンドは、オクターヴァーとはまた似て非なる感覚だ。さらにPARAM 3でMOD DEPTHのパラメーターを操作して、全体に揺れを加えると、なんともトリッピーな響きを味わえる。
AUTO WAHは設定次第でかなり強烈に、ギターを歌わせるようなワウ・サウンドを作れる。ちなみに“EQ-200”と同じように、本機のOUTPUT AとINPUT Bに外部エフェクターをつなぎ、エフェクト・ループのように組み合わせることもできる。この接続方法で“MD-200”に歪み系を接続すれば、“MD-200”のエフェクトを接続した歪み系の前段にかけるか後段にかけるかを選択することが可能だ。一般的なエフェクト・チェーンではワウは歪みの前段だが、あえて後段にかけて強烈なサウンドを作り出すというサウンド・メイクもある。そういった場合も、ペダルをつなぎ替える必要なく切り替え可能になる。
スタンダードなコーラスから飛び道具系に至るまで、どのモードにしても耳に痛い、音が潰れるといった不快感は皆無で、1つ1つのエフェクト音が素直に出力される高音質ぶりは驚愕の一言。モジュレーション系ペダルの導入を考えているものの、種類がありすぎてどれから試せばいいのか分からないというギタリストは、まずこのペダルを手に取ってみるのはいかがだろうか。
HNIB’s IMPRESSIONS:新たな楽曲アイデアにも直結する個性豊かなエフェクト
“MD-200”の試奏も“OD-200”と組み合わせて実施。HNIBの2人の関心を特に引いたのは、どちらかと言えばSLICERなどの飛び道具系のモードだったようだ。メロディーを弾きながらツマミをいじることで、ダイナミックなエフェクト効果が次々に変化し、それにインスパイアされた2人からはユニークなフレージングが飛び出て来る。モードを変えるたびにクオリティの高いエフェクト・サウンドがアンプから出て来るため、「単音でちょっと弾くだけでもかなり遊べる!」とご満悦の様子だった。
下記の通り、TJにはOVERTONEでのセッティング例を紹介してもらったが、DAIKIもこのモードには興味津々。重厚で破壊的なサウンドを出せることで、自然と荘厳なフレーズを弾きたくなったようだ。「ラスボス感が半端ない!」「これだけで新しい曲ができそう!」と、現場は大盛り上がりになったのであった。
DAIKI’s Setting◆ヘヴィ音に揺らぎをプラス
MODE | ROTARY |
RATE | SLOW |
DEPTH | 74 |
E.LEVEL | 63 |
1 | 0.89 |
2 | - |
3 | 75 |
TJ’s Setting◆“ラスボス感”満載な超重厚サウンド
MODE | OVERTONE |
BPM | 81 |
DEPTH | 68 |
E.LEVEL | 56 |
1 | 58 |
2 | 59 |
3 | 66 |
DAIKI:今回試奏した4台はどれも予想を超えるレベルで凄かったですけど、俺的にまず最初に手に入れるとしたら“MD-200”ですね。ありそうでなかったエフェクトが面白くて。これは色々なフレーズ・アイデアの元になりそう。
TJ:俺はやっぱりOVERTONEにハマりましたね(笑)。元々DAIKIが色々なオクターヴ系ペダルを使っていたんで、自分でも試したことがあるんですけど、このモードはそれとまた違って、パイプ・オルガンみたいな高級感が素晴らしいですよ。音圧がもの凄くて、これをかけるだけで曲作りにも活用できるんじゃないかなと思いましたね。それ以外にもCHORUSとかFLANGERとかもクオリティが高いし、これ1台で相当な戦力になるんじゃないかな。このシリーズをすべて合わせたらマルチ・エフェクターに匹敵しますね。
DAIKI:1台だけでもかなり幅が広がるしね。このシリーズだけ足下に置いて使うユーザーとかも出てきそうじゃない?(笑)