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ダイナスティ ライヴ・レポート&インタビュー 2017

インタビュー●斎藤新吉 Shinkichi Saito 写真●野田雅之 Masayuki Noda

ラヴ・マグヌソン&マイク・ラヴィア インタビュー

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渋谷でのライヴ開演前、ラヴ・マグヌソンとマイク・ラヴィアにインタビューする機会を得た。ラヴはダイナスティの結成メンバーで、マイクは途中からの参加だが、バンド創設以前から長年の友人というこの2人。短い取材時間ながら息の合ったコンビネーションでたっぷりと語ってくれた。

105%の仕上がりになるまで練り続ける

YG:ようやく日本公演の日がやってきましたね。
ラヴ・マグヌソン:本当にようやくだよ!
マイク・ラヴィア:日本に来ることを常に夢見ていたからね! 日本に来たことのあるスウェーデンのバンドは、みんなこの国を褒めていたよ。

YG:ダイナスティの音楽性は日本人向けとも言えますから、ファンは本当に来日を待ち望んでいたと思います。彼らに今から期待していることはありますか?
ラヴ:特にこうあって欲しいという期待はないけど、間違いなく一緒にいい時間を過ごせるだろうね。

YG:去年の後半は『TITANIC MASS』のツアーで、ロシアやヨーロッパ圏でかなりの数のショウをこなしたようですが、アルバムに対する好反応を生で感じられたのではないでしょうか?
ラヴ:かなり好評だったよ。ラジオとかでかかったことによってライヴに来るお客さんも増えたみたいだ。インダストリアル・メタル・バンドのペインと一緒にライヴをしたこともあって、その時はペインのファンにも楽しんでもらえたよ。
マイク:そうだね。今までにないぐらい多くのオーディエンスに観てもらえる機会が増えたし、ツアーの期間も長かった。
ラヴ:長くて強烈なツアーだったと言うべきだな(笑)。

YG:ダイナスティの音楽性は’80年代のHR/HMの要素がメインですが、よりモダンなテイストもありますよね。ライヴに来るお客さんのタイプも多岐に渡っていたりするのでしょうか?
ラヴ:音楽性に関してはその通りだね。’80年代のような音楽性に限定してしまうんじゃなくて、よりモダンな要素も入れるようにしているよ。
マイク:もちろんオールド・スタイルなロックの影響はかなり強いよ。ディープ・パープルみたいなバンドからは確実に影響されている。でもそれ以外にも、自分たちのやりたいことは好きなようにどんどん入れていくようにしているんだ。
ラヴ:分析はしていないけど、きっと俺達のライヴには色々なタイプのファンが来ているに違いない…と思うね(笑)。

YG:最初の頃はデビュー時期のスキッド・ロウが引き合いに出されていましたが、徐々にメロディック・メタル色が強まってきましたよね。それは結成当初から思い描いていた音楽性にようやくたどり着いたということなのでしょうか? それともある時期を境に「もっとこういう方向性でいきたい」と考えたからなのですか?
ラヴ:うーん、その両方かな。バンドを結成した頃は‘80年代的なロックが自分の周りでも流行っていたんだ。俺達もそういう音楽をメインで聴いていた。でも10年も経てば色々な音楽の影響も入って来るし、特に最近のメタルからの刺激に触れるようになる。そうなると音楽性もより変わって行く、というよりメンバーそれぞれの変化があったから、それが音楽性に関わって来たということだろう。
マイク:初期の頃に聴いていた音楽は決して新しくはなかったよね。スキッド・ロウはまさにそうだった。
ラヴ:俺達はスキッド・ロウではないんだから、それとはまた違った要素を入れていくのは当然のことだよ。

YG:マイクが曲作りに関わる機会が増えたことも、楽曲の幅が広がったことにつながったのでしょうか?
マイク:いや、そこは俺1人ではなく、全員の成長によるものじゃないかな。「よりヘヴィにしよう」という話は前からしていたから、それを全員で形にしていったということだろうね。そこに俺のカラーもしっかり入っていることが分かってもらえれば嬉しいけど。
ラヴ:確かにマイクと曲作りをする機会は増えたよ。基本的には俺とヴォーカルのニルスが曲を作っているんだけど、俺とマイクでは出て来るフレーズが違う。そういう個性は曲に入っているだろうね。

YG:ダイナスティは歌メロはもちろん、ギター・リフこそが重要な要素だと思っているんですが、近作ではよりリフのパワフルさが増していますよね?
マイク:(間を置かず)そう!
ラヴ:その通り!(笑) リフから曲を作り始めることも多いからね。前作の『RENATUS』に入っていた「Starlight」のリフは実際にそうだった。
マイク:あのリフを作るにあたっては相当時間をかけて練り込んだよ。100%にするまでに1ヶ月はかけた。
ラヴ:同じリフを何度も何度も弾いてアレンジし直したね。ある程度できあがっても98%じゃダメ。そういう作業は大抵どのアルバムを作る時もついてくるよ。自分たちの満足がいくまで徹底して、105%の仕上がりになるまで練り続ける(笑)。

YG:ニルスの作ったヴォーカル・メロディーにギターを付けて行くということもありますか?
ラヴ:あるよ。ニルスがメロディーやコード進行、もしくはギター・リフのアイデアを持って来ることもある。でも大半は俺やマイクのリフが最初だね。ギターが先、歌が先、どちらのケースもありだ。

YG:ミュートしたヘヴィなリフを刻む曲が増えましたね。
ラヴ:『TITANIC MASS』のプレイには『RENATUS』のレコーディングを通して閃いたアイデアも含まれている。ギター・プレイはそれまでの作品に比べてかなり変わったよ。ただ音楽的にはさほど変わっていないと思うんだ。
マイク:「こうやって弾いた方が俺達に合っているんじゃないかな」「こう弾くよりもこうした方が良いものになる」という感じで気づいた結果だよね。

YG:「Crack In The shell」は静かに始まったかと思うとヘヴィに展開していきますが、そういったコントラストの付け方も上手くなったのでは?
ラヴ:そうだね。ちなみにこの曲のリフはアルバム中で一番最初にできたものなんだよ。『RENATUS』のレコーディングが終わって1ヶ月か2ヶ月後に書いたんだったかな。
マイク:大体でき上がっていたものを後になってまた作り直したんだよ。とにかく完璧に満足できる状態まで持っていかないと…。よりメリハリのある展開を求めて作業を続けるうちに、コントラストの効いた楽曲ができ上がったわけ。

YG:お話を聞いていると、2人とも完璧主義者なんだとお見受けしますが(笑)。
ラヴ:うん、その通り(笑)。