アダム・スラック(ザ・ストラッツ)2017来日インタビュー

アダム・スラック(ザ・ストラッツ)2017来日インタビュー

俺の人生はツイていることが多い…星の定めかな?

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YG:2009年にルークと知り合ったそうですが、その頃はまだカヴァー曲が中心だったんですか? 
AS:ああ。当時彼とは3時間くらい離れたところに住んでいたので、行ったり来たりしながら曲作りをしていたな。俺達は作曲に凄く集中していたよ。その頃って、実は失業保険をもらって生活していたんだけど、担当者の女性が結構親切にしてくれたりして、大分助けられたんだ。それが1年ぐらい続いて…そのうちバンドでも契約が取れて、ミュージシャンとしてちゃんと食えるようになったのさ。そういう良い人と巡り会えたり…と、俺の人生はツイてることが多い。星の定めみたいだ。

YG:音楽の神様が導いて下さっているのかも…。
AS:本当だね。

YG:ルークと曲作りをする時、どういう手順で完成させていくのですか? 
AS:曲によるんだ。スタジオで2人で書くことが多いけど…個別に書いたり、彼か俺のどちらかがアイデアを持って来て、それを一緒に仕上げたりといったケースもある。その最高の例が「Black Swan」だよ。ある時運転中に、『BLACK SWAN』という映画の看板が目に入った。その時「曲のタイトルにしたら最高だなあ」と思ったんだよ(笑)。そのまま、車の中で何となく思い付いたメロディーを歌い始めて、家に帰り「“Black Swan”っていう曲のネタができたぞ」とルークに伝えた(註:当時2人はルームメイトだったとのこと)。それからサビとヴァース、ギターのリフを聴かせて、一緒に歌メロを作ったよ。「明日は歌詞を書こう!」と言って俺はベッドに入ったけど、起きてみるとルークが「歌詞ができたよ!」って…それがこの曲になった。こんな感じで、それぞれのアイデアを持ち寄って作ることがあるんだ。最近はスタジオが(曲作りの)研究室みたいになってるよ。ドラム・ビートから始めたり、歌詞のアイデアまたはギターから作ったり、毎回違っている。

YG:『EVERYBODY WANTS』の曲で、「Black Swan」のようにアダムのアイデアが原型になっている曲はどれでしょうか? 
AS:俺の? ええと…「These Times Are Changing」だね。これはロンドンで、あるパーティーに出かける前にアパートでルークと服を選びながら鼻歌まじりに歌っていたものなんだよ。その歌を電話に録音しておいた。それが3年前かな…。で、しばらく経ってからスタジオで、ヴァースがあってサビがないという状態のアイデアに取り組んでいた時に俺がこの歌を歌い出すと、みんなが「あっ、それでいいじゃん!」となってね。「These Times Are Changing」が完成したというわけ。それから「Dirty Sexy Money」のリフは俺が持っていったものだったけど…残りの部分はみんなで作った感じかな。

YG:『EVERYBODY WANTS』の曲はどれも大体3分前後ぐらいで、コンパクトにまとまっていますが、あまり複雑な展開や長くなってしまう曲は好きじゃないのですか? 
AS:どうだろう…。次のアルバムに入るかも知れない新しい曲に、5分ぐらいの長さのがあったりするからね。大作だよ。それのギター・ソロがクールなんだ!(笑)

YG:ぜひ聴きたいですね!
AS:そのうち聴かせてあげられるかもね。

YG:狙ってコンパクトにまとめているというわけではないのですね?
AS:そうだね…このアルバムは楽しいロックンロールという感じだから、自然にそうなったんじゃないかな。曲調という点では、「Merry Go Round」はちょっとセンチメンタルで際立っているかも知れないね。ちなみにこの曲は、俺に怒って(家から)出て行ってしまった彼女のことを歌っているんだけど…何で怒ってしまったのか、いまだに分からないんだ(笑)。

YG:アルバムではギター・ソロも聴けますが、リズムだけでなくリード・プレイもお好きなんですよね? 
AS:ああ。ソロはあらかじめ練った上で録るようにしているんだけど、メンバーに「早くしろ!」って怒られることが多いんだ(笑)。ブルースみたいにインプロヴァイズで弾くのも好きなんだけど、(ストラッツのアルバムで弾く)ソロとなるとメロディーをちゃんと持ったものにしたい。

YG:確かに、どれもメロディーが印象的ですね。
AS:だろ! 「Put Your Money On Me」だけは別だけどね。これはチャック・ベリー風にしたかったんだ。