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インソムニウム&ウィスパード 2017来日インタビュー

インタビュー&撮影●奥村裕司 Yuzi Okumura

ウィスパード feat. ヨウニ・ヴァルヤッカ&ミッコ・マッティラ

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続いては、ウィスパードのインタビューをお届けしよう。“歌舞伎メタラー”として日本のHR/HMファンに衝撃を与えた彼等は、メンバー全員が和装に歌舞伎メイクという、実に奇抜な出で立ちでステージに立つ。フィンランドのタンペレにてバンドが始動したのは’04年のこと。’01年結成のスクール・バンド、ZEALOTがその母体で、ウィスパードに改名した頃には、もう侍や武士道といった“和”のトピックを楽曲に盛り込んでいたという。その後、’09年にシングル「Faceless」でデビュー。ファースト・アルバム『THOUSAND SWORDS』を発表したのは翌’10年で、13年11月に“LOUD & METAL MANIA”出演にて初来日を果たすと、’14年にセカンド『SHOGUNATE MACABRE』、次いで’16年にサード『METSUTAN – SONGS OF THE VOID』をリリースし、現在に到っている。バンドの現ラインナップは、ヨウニ・ヴァルヤッカ(g,vo)、ミッコ・マッティラ(g)、カイ・パロ(b)、ユッシ・カラヴァ(ds)で、今回2度目の来日でようやく本誌初インタビューが実現! “SUOMI FEAST EXTRA”当日、取材に応じてくれたのは、バンド創設メンバーのヨウニと以前はベーシストだったミッコの2人だ!!

神話を題材にした音楽への需要が増えたみたいだ

YG:今回の来日ツアーはいかがですか?
ヨウニ・ヴァルヤッカ(以下JV):最高だよ! 強烈だったね!! 観客も素晴らしかったし、俺達がこれまでにやったライヴの中で一番の出来だったんじゃないかな?
ミッコ・マッティラ(以下MM):そうだな。それ以上、付け加えることは何もないよ。また東京に戻って来られて凄く嬉しかった!
JV:だって、会場内が外よりも暑かったんだよ。フィンランドからやって来た俺達にとっては、なかなか強烈な経験だったな(笑)。

YG:初来日時とはまた違いましたか?
JV:より良い経験が出来たと思う。あの頃は…まだ全体のコンセプトが固まっていなかったけど、今はしっかり形になっている。(日本の)神話を題材にした音楽への需要も増えたみたいで、凄く良い雰囲気だね。

YG:あの胴着風の衣装は手作りなのですか?
JV:うん。ある学生が学校の課題として制作してくれたんだ。彼女はメタルが大好きで、(フィンランドの)伝統的な衣装を作ることには興味がなかったらしい(笑)。それで俺達に連絡をよこしたというワケさ。
MM:彼女が数種類のデザインを見せてくれて、その中から「これがイイ」とバンド側が選んだんだ。

YG:実際に武道はされるんですか?
JV:いや…。
MM:何かやってなかったっけ?
JV:1年ほどテコンドーをやってた。あとは、合気道を2時間だけ…(笑)。ケンカはからきしダメなんだ。
MM:ケンカならカイ(パロ、b)に任せとけばイイ。
JV:そうだね。あいつには“北国根性”みたいなものがある。パンチも強そうだ。

YG:ヴァイキングみたいに?
JV:そうそう!(笑)

YG:前回来日時、ミッコはベーシストでしたよね? どういった経緯でギターに転向したのですか?
MM:実は、前回来日の直後にメンバー・チェンジがあったんだ。理由は…どう言えばイイかな? まぁ、俺達としてはバンドとしてもっと成長していきたかったのさ。より良い演奏をして、よりプロフェッショナルに近付きたかった。しかし、(前任ギタリストの)ペペ(・ルーポネン)は他のメンバーに遅れをとってしまっていてね。悪気はなかったのかもしれないけど、俺達に付いてこようという意志もあまり感じなくて…。それに、俺は元々ギタリストで、ベースよりギター歴の方が長いんだ。だから自然な流れだったな。

YG:もしかして、最初からギターが弾きたかったのに、既に他のギタリストがいたから、仕方なくベーシストとして加入した…とか?
MM:バレた?(笑) とにかくこのバンドに加入したくて──ウィスパードに入りたくて仕方がなかったんだ。それで、まずはベースを弾くことにした。でも、やっぱりギターが弾ける今の方が楽しいね。

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YG:では──初インタビューということで、お2人のバックグラウンドについて教えてください。そもそも、ギターを始めた年齢とキッカケは?
JV:最初はクラシック・ギターを嫌々学んでいたんだ。確か、12〜13歳ぐらいだったと思う。両親が「何か習い事をしなさい。ギターはどう?」と言うから、「は〜い」と仕方なく…ね(苦笑)。でも、凄くのめり込んで──その後メタリカに出会った。それで、クラシック・ギターの学校にメタリカのタブ譜を持って行って「これが弾きたい」と言ったのさ(笑)。そのキッカケとなるインスピレーションを与えてくれたのは友人のお父さんで、「Master Of Puppets」を弾いていたのを見て、「ああやるんだ!」と思ったよ。そこから、さらにギターにのめり込み、もっと沢山のバンドを聴くようになった。エレクトリックを弾くようになったのは、14〜15歳だったと思う。
MM:俺は10歳ぐらいから楽器を弾くことに憧れるようになって、12歳の時にまずドラム・キットをもらったんだ。でも、ずっと叩き続けていて、「うるさい!」と言われ、近所からも苦情がくるようになって、辞めなきゃいけなくなった。でも、どうしても何か楽器がやりたくてさ…。それで、父親がアコースティック・ギターを持っていたから、曲に合わせてギターを弾き始めたのさ。最初は弾き方なんて分からないから、どんな仕組みになっているのか考えながら、ただいじくっているだけだったよ。その後、最初のエレクトリック・ギターを手に入れたのは15歳の時だったかな? ちょっと遅めのスタートだけど、それからずっとプレイしている。最初の頃からずっとインスピレーションになっているのは、メガデスのマーティ・フリードマンだ。あと、アイアン・メイデンも大好きなんだ。

YG:エレクトリック・ギターのレッスンは受けましたか?
JV:いや、独学だ。2回ほど、ギター・キャンプに行って、先生に教わったこともあったけどね。自分では、譜面を買ったり、ネットを参考にしたりしてきたよ。

YG:ちなみに、お2人は今おいくつですか?
MM:俺は35歳。バンドの中で一番年上なんだ。
JV:俺は29歳で、今年のクリスマスに30歳になる。

YG:そんなお2人が初めて出会ったのはいつでしたか?
MM:仕事で知り合ったんだ。
JV:うん。仕事っていうか…インターンシップみたいなモノだね。フィルムとか音源データなどのメディアを整理する作業をやっていた。そこにミッコがいたんだ。
MM:’10年ぐらいだったかな? 以来、ずっと友達なんだよ。
JV:当時、ウィスパードの曲を聴かせたら、ミッコは「ずっとこんな音楽がやりたかったんだ!」と言ってくれた。それから数年して、彼は本当にこのバンドへ加入したんだ。クールだよね!(笑)

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YG:どちらもタンペレ出身ですか?
JV:そうだよ。

YG:10代の頃、もし楽器が欲しいと思ったら、タンペレの街の楽器店で何でも買えましたか? それとも、ヘルシンキまで行かないとダメでした?
JV:タンペレには楽器店が沢山あるんだ。俺はヘルシンキの生まれで、その後タンペレよりも小さな町に引っ越したことがあったけど、そこにもかなり良い楽器店があった。フィンランドはどこでも大体そうだね。
MM:どのショップも規模が小さくて、品揃えはそこそこなんだけど、とても質の良い楽器が5〜6本は置いてある。
JV:基本的な楽器はすべて揃っているよ。

YG:先ほど、ヨウニはメタリカが出発点で、ミッコはマーティがインスピレーションの元だとおっしゃっていましたが、それぞれ影響を受けたトップ・ギタリストを3人挙げるとしたら?
MM:俺はやっぱり、マーティは外せない。それから、アイスド・アースのジョン・シェイファー。彼のピッキングが凄く好きなんだ。常に速いフレーズを弾いていて、その精度は(メタリカの)ジェイムズ・ヘットフィールドよりも上だと思う。ジェイムズはあらゆるメタル・ギタリストの中でもトップを行くリズム・プレイヤーだけど、ジョン・シェイファーのプレイは、そのさらに上のレヴェルなんだ。あと…3人目はバケットヘッドかな。(他のギタリストと)全然違ったことをやるからね。あのキャラクターが好きなんだよ。
JV:俺もマーティ・フリードマンをまず挙げたい。それから、スティーヴ・ヴァイの音楽もずっと楽しんで聴いている。グルーヴやリフが素晴らしいし、彼の弾く音は流れるようなイメージがあるだろ? あともう1人──長年に亘って今も俺にとって重要な存在なのが、チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホだ。ピッキングのアタックがとても鋭く、ソロのサウンドをよりアグレッシヴにしているところがイイね。すべての音をピッキングしているのも最高だ。
MM:しかもメロディックだしね。
JV:うん。ソングライターとしても大いに尊敬しているよ。

YG:アレキシはやはり、フィンランド人にとっては特別な存在なんでしょうか?
MM:ああ、本当にそう思うよ。
JV:フィンランドのギタリストみんなに大きなインパクトを与えたからね。
MM:彼の登場以降、チルドレン・オブ・ボドムのようなサウンドを目指すバンドがいっぱい出て来た。多過ぎるぐらいだ。今はだいぶ落ち着いているけど…。
JV:確かに、以前は爆発的に多かったね。
MM:ウィスパードの1st『THOUSANDS SWORDS』を聴いても、ボドムからの影響が分かるよ。
JV:その通りだ(笑)。そういえば、マーティについては残念なことが以前あったんだ。以前、俺達のアルバムのボーナス・トラックで弾いてもらえるかどうか、ストラトヴァリウスのマティアス・クピアイネンを通じて、マーティに打診したことがあってね。『銀牙 -流れ星 銀-』の曲「Ginga (Nagareboshi Gin)」(『SHOGNATE MACABRE』収録)さ。マーティも「クールだな。是非やりたい」と言ってくれたんだけど、彼のスケジュールが詰まっていて、結局は実現しなかった…。
MM:いつかまた出来るとイイね。
JV:うん。是非、ゲストとしてソロを弾いてもらいたいよ!

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