“20年目のサマソニ”SUMMER SONIC 2019レポート!

“20年目のサマソニ”SUMMER SONIC 2019レポート!

BRING ME THE HORIZON/二面性を巧みに使い分ける音楽性

BMTH: ALL

若年層を中心に絶大な人気を誇るブリング・ミー・ザ・ホライズンは本公演にて5年ぶりの来日! UKチャートで1位を獲得した意欲作『AMO』(2019年)をリリースしたばかりというのもあり、期待を大きく高めながらMOUNTAIN STAGEで待機していた。

ステージは上下2段、スクリーンは2画面という豪華なセッティング。さらに本編がスタートするとメンバーと共にダンサーまで登場し、気合いの入った構成に会場も興奮を隠せない。今回プレイしたのは「Mantra」や「Medicine」等を交えた比較的最近の曲が中心で、キャッチーな楽曲の数々は、気づけば体を揺らしてしまうような不思議な音世界が広がっていた! また、代表曲の1つである2013年発表『SEMPITERNAL』からの「Shadow Moses」では、リー・マリア(g)のタイトで攻撃的な刻みがそれまでの曲と明らかに違う雰囲気を醸し出していたが、古参ファンにとってみればむしろこちらの方が馴染み深いだろう。オリヴァー・サイクス(vo)も当時の音楽性を思い出させるような荒々しいシャウトをかましていき、近年のスタイルとの二面性を巧みに使い分けていた。

中盤以降では『AMO』と『THAT’S THE SPIRIT』(2015年)収録の楽曲で固められ、リーは曲ごとに様々な音色を使いわけながら、柔軟にプレイ・スタイルも変化させていく。特に「Follow You」で聴ける美しいクリーン・サウンドのアルペジオは鳥肌モノ。最後はリリースから4年ですでに不動の名曲になりつつある「Drown」と「Throne」で華やかなフィナーレを迎えて大盛況の内に終了した!

ブリング・ミー・ザ・ホライズン @ SUMMER SONIC 2019 MOUNTAIN STAGE 2019.8.17 セットリスト

1. Mantra
2. The House Of Wolves
3. Medicine
4. Wonderful Life
5. Shadow Moses
6. Happy Song
7. Mother Tongue
8. Sugar Honey Ice & Tea
9. Follow You
10. Drown
11. Throne

BAND-MAID/ハイ・テンションなハード・ロック“お給仕”

BAND-MAID: ALL

夕方に入ったRAINBOW STAGEに登場したのは近年メキメキと活躍の場を広げているロック・バンド:BAND-MAID。今夏はヨーロッパ・ツアーを成功させ、まもなくアメリカ・ツアーも控えているということで、彼女達への期待は開演が近付くにつれて高まる一方だった。

お馴染みのメイド服で登場し、バンドの“お給仕”がスタート。キュートな衣装とは対照的にハードなロックをかますそのギャップはいつ観ても圧倒されてしまう。バンドを結成してからギターを始めたという小鳩ミク(vo,g)も今まで数多の経験を積んだおかげもあり、かつての初々しさを忘れるほどに力強い音を奏で、歌いながらのギター・プレイも巧みにこなしていた。リード・ギターを担当するKANAMI(g)は構えがすでにベテランのそれで、パフォーマンス中度々行なわれるギター・ソロでは、ロック・ギタリスト特有の感情を剥き出しにした屈強な演奏でスリルを醸し出す。「Bubble」でのオーヴァードライヴを効かせたトレブリーなカッティングからのフックのあるソロ・パートは今回のステージのハイライトと言えるだろう。MISA(b)は過去にギターを弾いていた経験があり、その名残りが残っているのか「endless Story」等の曲でメロディックなオブリガートを駆使し、バンドの華やかさをより艶やかに飾っていたのも特筆しておきたい。

終盤はハイ・テンションなナンバーでさらに加速。「DOMINATION」では全体のアンサンブルが最大限に調和していた。彼女達でないと生み出せない一体感のあるサウンドで感無量のエンディングを迎えた!

BAND-MAID @ SUMMER SONIC 2019 RAINBOW STAGE 2019.8.17 セットリスト

1. Screaming
2. DICE
3. FREEDOM
4. Bubble
5. endless Story
6. モラトリアム
7. 輪廻
8. glory
9. DOMINATION

RANCID/問答無用の疾走感とギター・サウンドの説得力

ランシド:バンド

強烈な日差しがピークに達した土曜日の昼、MARINE STAGEに登場したランシド。開演予定時刻になると、ステージに最初に姿を現したラーズ・フレデリクセンのリフから「Roots Radicals」がスタートした。ティム・アームストロングがアリーナの観客を煽りに煽りまくり、続いて「Radio」、ドライヴするベースから始まる「Journey To The End Of The East Bay」と、とにかく問答無用の疾走で目と耳をパフォーマンスに釘付けにしてしまう。正直、大物バンドの出演時間としては随分早いなと感じていたのだが、その強力なスピード感とパワー、そして「Last One To Die」のような曲に顕著なナイーヴなメロディーが、暑苦しさを(ほんの少し)忘れさせてくれた。

マリンスタジアムのスタンド席上方からライヴを観ていると、ここは海風の影響で音が横に流されてしまう傾向もあるのだが、LTDの“Viper”を手にしたラーズのギター・サウンドにそのハンデは一切関係なし。鋭く、なおかつ適度に太いサウンドがしっかり突き抜けて来るのだ。「Ghost Of A Chance」で聴けるようなちょっとしたメロディー弾きでも、そのトーンには人間味がある。ギター・サウンドの説得力で言えば、今回のフェス随一だったのではないか。

セットリストは’00年代以降の曲が’90年代ナンバーに挟まれたような形になっており、当然ラスト・パートは「Time Bomb」を“爆発”させたのに続いて、「Ruby Soho」の大合唱で大団円。やはりランシドに理屈はいらない!

RANCID @ SUMMER SONIC 2019 RAINBOW STAGE 2019.8.17 セットリスト

1. Roots Radicals
2. Radio
3. Journey to the End of the East Bay
4. Maxwell Murder
5. The 11th Hour
6. Last One To Die
7. East Bay Night
8. Dead Bodies
9. Ghost Of A Chance
10. Telegraph Avenue
11. Old Friend
12. Where I’m Going
13. Olympia WA.
14. Fall Back Down
15. Time Bomb
16. Ruby Soho