日本屈指のギター・ブランド、フリーダム カスタム ギター リサーチが独自開発を行なった新たなジョイント・システム“ARIMIZO & One Point Joint”が特許を取得した。
エレクトリック・ギターやベースの主なジョイント構造には、ネックとボディーを3〜4本のボルトで留めるボルト・オン、接着剤で貼り合わせるセット・ネック、ネック材がボディーの端まで貫かれたスルー・ネック…などが存在するが、今回の“ARIMIZO & One Point Joint”は、ギターやベースのネックとボディーの接合部分に日本古来の建築技法である蟻溝(ありみぞ)の形状加工を施したもの。ボルト1本の締め付けで接合に必要な強度を得る上、ボルトを締めたり緩めたりといったトルク・マネージメントを行なうことで、ギターの生鳴りの音を調節できるのだ。専門的な知識を必要とせず、簡単に操作可能なこのシステムは、数年前より同ブランドのギター“Hydra”やベース“Dulake”などに搭載され話題を呼んでいたが、このたび特許第5879135号を取得した。
具体的な音の違いを説明しよう。トルクを締めると「タイトに引き締まり、アンサンブルの中でも埋もれない」「音程感を損なわず、分離が良い」「歪ませたり低音弦リフを弾いたりしても音の芯がある」といったシャープなサウンドが期待できる。このセッティングによる出音のイメージは、重量があり、厚めの塗装が施されたギターが持つサウンド・キャラクターに近い。
反対にトルクを緩めた場合、「倍音が多くジューシー」「表情豊かで抜けが良い」「クリーン〜クランチ時のピッキングへの追従性が良い」…といった、ヴィンテージ・ライクなサウンドを特徴としている。こちらのセッティングによる出音のイメージは、ラッカー塗装やボディーが軽量なギターが持つサウンド・キャラクターに近い。
また、このジョイント・システムを搭載するにあたっては、加工工程の段階で木材の膨張や収縮を見極めながら、ネックとボディーを高い精度で接合することが必要不可欠とされる。それを実現できる同ブランドの職人が、いかに高度なギター製作技術を身に付けているかということも伺える。
従来ならギターを持ち替えなければ得られなかったサウンド・キャラクターの切り替えを1本で可能にした“ARIMIZO & One Point Joint System”。興味を持った人は、フリーダム製のギターを是非手に取ってその魅力を確かめてみてもらいたい。
ブランド公式サイト:フリーダム カスタム ギター リサーチ