昨年の“SUMMER SONIC 2016”で初来日を果たし、去る今年2月には待望のジャパン・ツアーを成功させた4人組R&Rバンド:ザ・ストラッツ。ザ・ローリング・ストーンズやモトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズといった世界的アーティスト達の前座に抜擢された期待の新星として、数年前から国内外のメディアに取り上げられていたので、その名を耳にしたことがあるという人は少なくないはず。特にそのフロントマンであるルーク・スピラー(vo)は、フレディ・マーキュリーを彷彿させるステージ上でのエレガントな立ち振る舞いや圧倒的な歌声が大きく注目されている。そんな彼らは、2014年に1stアルバム『EVERYBODY WANTS』を母国イギリスで発表。その後拠点をアメリカのL.A.に移し、新録曲を追加するなど内容を変更した同作の米国盤を2016年にリリースしたのだが、この米国盤をもとにさらにボーナス・トラックを5曲追加し、異なるアートワークが採用された日本盤が今年の2月3日に発売された。以下ではこの作品について、そして自身のバイオグラフィについてギターのアダム・スラックに尋ねた初インタビューをお届けしよう。
──この取材は2月の東京公演が終了した数日後に行なわれたものです──
グリーン・デイに出会ってからしばらく彼らに夢中だったんだ
YG:ギターはいつ頃から弾いているのでしょうか?
アダム・スラック(以下AS):13歳の頃かな。それ以前はマイケル・ジャクソンなんかをよく聴いていて、いわゆるロックにはあまり興味がなかったんだ。でもグリーン・デイを友達の家のTVで観た途端、ぶっ飛ばされたよ。「これがやりたい!」と思った。で、いとこがベースを弾いていたから、まずはベースから始めたんだ。でも2〜3ヵ月すると、今度はギターで曲を書いてみたくなってね。そこで父さんに、スクワイアのストラトキャスターを買ってもらったよ。以後レッスンは受けずに、ずっと独学でやってきた。18歳になってからは音楽的な視野をより広げて、ブルース系なんかの曲も弾くようになったね。
YG:パンク・ミュージックが原点だったんですね。
AS:ああ。16歳になるまではとにかくグリーン・デイに夢中で、他は全然聴いてなかったよ(笑)。この前のクリスマスに、地元で最初に組んだバンドを再結成して、グリーン・デイのカヴァーを1時間半プレイするライヴをやったんだ。旧友や家族、ストラッツのファンまで来てくれて、13歳の頃の気分が蘇ってきたね(笑)。
YG:最初にカヴァーしたグリーン・デイの曲は?
AS:「When I Come Around」(’94年『DOOKIE』収録)だ。最初にギターで弾いた曲でもあるんだよ。
YG:グリーン・デイ以外のアーティストからも、もちろん影響を受けているんですよね?
AS:ああ。16歳の時にはオアシスにハマった。そこから遡ってスレイドや’70年代のイギリスのグラム・ロックなどを聴いていったよ。
YG:YouTubeに、オアシスの曲をアコースティック1本で弾いている動画がありますよね。
AS:あれはね──俺はこれまで一度も(ミュージシャン以外の)職というものに就いたことがなかったんだ。3週間、ウェイターとして働いたことはあったけど、時給3ポンド(約400円)しかもらえなくてね…。そこで、路上ライヴでバスキングをやってみたら、1時間に15ポンド儲かったんだ。「金がもらえない仕事をすることはないじゃないか」と思ったね。プレイするのは楽しいしさ。オアシスやザ・ビートルズ、グリーン・デイを弾いたり…ニール・ダイアモンドもやったかな。人通りのあるところで、みんなが知ってるような曲をやるんだ。その頃はまだ学生だったんで、平日は学校に行って、土曜日に街に出ていたよ。そうこうするうちにストラッツが動き出した。だから、就職しないで済んだのさ(笑)。
YG:なるほど(笑)。ザ・ローリング・ストーンズのようなR&R系バンドからの影響はいかがですか?
AS:もちろん大好きさ。彼らのことを教えてくれたのはルークだった。特にキース・リチャーズのギター・プレイにはインスパイアされたね。あとブライアン・メイみたいに、正確でメロディックなギター・ソロを弾くプレイヤーも最高だ。そっちの方が今の俺にとって、大きな影響と言えるかもね。
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