カイ・ハンセン(g)とマイケル・キスク(vo)が電撃復帰を果たした衝撃の“Pumpkins United”ツアー開始から早数年、7人編成になったハロウィンのスタジオ・アルバム──その名も『HELLOWEEN』が遂に完成した。彼らが突き詰めてきた“現在”のサウンドを崩すことなく、随所にあの“守護神伝”を彷彿とさせるエッセンスが自然と盛り込まれた全12曲(2枚組の完全版にはさらに4曲を追加)は、新旧のハロウィン・ファンを唸らせる強力無比な仕上がりだ。’21年のヘヴィ・メタル界における最大級の話題作と言っていいだろう。
ヤング・ギター7月号では、30数年ぶりに参加したカイ・ハンセン、長年の鉄壁コンビネーションを誇るマイケル・ヴァイカート&サシャ・ゲルストナーという2部構成によるギター・チーム3名の最新インタビューを掲載。最新作の制作にまつわるエピソードをたっぷりと語ってもらっている。
この取材の際、もちろん最新作レコーディングに使用した機材についても語ってもらっているのだが、実は同時に、それら機材の写真を送ってもらえないかとお願いしていた。するとありがたいことに3人とも快諾。ここで彼らが提供してくれた写真を一挙紹介させていただく。ファンにとっては昔からお馴染みのギターだけでなく、おそらく初公開であろう新顔も多数。インタビューでは言及されていないものもあるので、記事と合わせてお楽しみあれ。
写真は拡大可能です。パソコンではマウスのカーソル、スマートフォン上では指を写真に乗せてみて下さい。
ESP:RV-300KH
カイにとって長年のパートナーとも言えるESP製の“ピンクV”が、今回のレコーディングでもメインになった。ファンにもその姿がよく知られたギターだが、最近になってピックアップはベアナックルの“Juggernaut”に交換されている。
Gibson:Flying V
‘70年代末のモデルであるフライングVは、ソロやオーヴァーダブのレコーディングに使用。ピックアップはセイモア・ダンカンに交換されており、ネック側が“Duncan Distortion”(上下逆さにマウント)、ブリッジ側が“JB Model”。カイによれば「いつだって最高の音が出るギター」とのこと。
Infinity:Custom Model
インフィニティなるブランドによるギターで、ピックアップをEMG“81”(ブリッジ)と“85”(ネック)に交換。オーヴァーダブなどに使われた。なお上記3本以外のギターはピックアップがストックのままになっている。
Epiphone:Dot EB、Fender:Stratocaster、Brian May Guitars:Metal May
具体的に使用した曲やパートは不明だが、これらのギターもオーヴァーダブなどで活用されている。エピフォン“Dot EB”は唯一のセミアコ・ギターで、「スペシャルな音が欲しい時に使った」とのこと。
Marshall:1987
思い切り足が写っているが(笑)、ガンマ・レイの「Rebellion In Dreamland」(’95年)のシングルのステッカーが貼られた、カイのメイン・アンプであるプレキシ期のマーシャル・アンプ。元々『KEEPER OF THE SEVEN KEYS – PART Ⅰ』(’87年)のレコーディング前に購入したもので、まさにあの名盤のサウンドを作り上げた逸品だ。購入した時点でマスター・ヴォリュームとゲイン・セクションを増設するという改造が施されている。セレッション“Vintage 30”入りの4×12のマーシャル・キャビネットで鳴らしている。
Peavey:6505MH
ピーヴィーの20W小型ヘッド。歪みサウンドが素晴らしく、マーシャルの音と混ぜ合わせて使っているという。こちらはヒュース&ケトナーの2×12キャビネットで鳴らした。
Custom Made Pedal:Banshee
スロヴァキアの「エレクトロニクスの天才」という友人とカイが製作したカスタム・ペダル。周波数帯を操作してブースト量を調整できるトレブル・ブースターと、ヴィンテージなフェイザーを合体させたもので、ブーストされた信号がフェイザーの効果を高めたりする他、それぞれの機能を単独で使い分けることもできる。ブライアン・メイのサウンドにインスパイアされて出来上がったペダルで、カイもVOX“AC30”を使う際にセットしていたらしい。
BOSS:GE-10
古いマーシャルなどを鳴らす時には必須という、BOSSのグラフィック・イコライザー。『WALLS OF JERICHO』(’85年)と“KEEPER”2部作、つまりカイ在籍時の初期ハロウィンですでに使われていたセッティングなのだとか。